K系において
x=0に観測者K' x=2Lに観測者K''がいた。
K',K''はともにKに対して速度Vで運動する。
x=Lに物体は存在している。
物体の存在座標はガリレイ変換すると
K'系においてx'=L-Vtに存在
K''系においてx''=-L-Vtに存在。
この時に物体はK'系においてK''系においても
観測者からの物体までの距離はVによらず
観測者を平行移動した場合と同じであるから。
観測者間での物体の位置の不一致はあり得ない。

ところがローレンツ変換をすると
物体の存在座標は
x'=γ(L-Vt)
x''=γ(-L-Vt)
である。
逆変換が成立することを考えれば
K系とK'系およびK''系どちらから見ても同じである。
物体の座標はローレンツ変換される。
つまり、物体はガリレイ変換時と比較してK'系の原点からは正方向に遠方に存在。
一方K''系を考えても、物体の座標はローレンツ変換されるので
物体はガリレイ変換時よりもK''系からは負方向の遠方に存在。
ガリレイ変換自体が平行移動と同じ効果を持ち
観測者間での物体の位置の不一致はあり得なかったことを考えると
ローレンツ変換を行うと
K'系にとっては物体はガリレイ変換時よりも正方向へ移動しており
K''系にとっては物体はガリレイ変換時よりも負方向へ移動しており
K'系とK''系では物体の位置として指し示す場所がずれるということが生じる。
同じ慣性運動をしている、要するに座標系を共有しているような状況でも
観測者によって物体の位置がずれてしまうということになる。