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中島みゆきの名曲

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0001ジョン・スミス
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2022/02/11(金) 09:12:47.45ID:hN5svhY7
中島みゆきの名曲から物語(ストーリー)を作る
0090ジョン・スミス
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2022/03/19(土) 08:45:50.06ID:KVV8DM/1
「あの人に似ている」

お洒落なカフェで一息ついている。何気なく外の雪景色を眺めていると店員から声を
かけられた。「お客様、失礼します」コトンと置かれたそれは、湯気が立ち上がる
ホットミルク。「これは?」「あちらのお客様からでございます」見ると、

離れた席に居る男性が笑顔で手を振ってくれた。「あの」「はい」「彼にこれを」
たまたま持ち合わせていた飴玉を店員に渡した。年の離れた妹が「これあげる」と
今朝くれた飴玉。丁寧に受け取った店員は、そのまま彼の元へ持っていく。

涼し気な横顔があの人に似ていると何気なく見つめていると、彼と店員が笑顔でこちらを向いた。
彼は貰った飴を私に示してから、その口に放り込んだ。贈られたホットミルクに口をつける。
" 甘い、そして温かい " いつ以来だろう…? このシンプルな飲み物は… 最近の私には、
想像もつかないほど遠くに会った記憶。早すぎるときの流れ...あっという間に変わる景色…

一息つこうとしても… また、口当たりの優しいホットミルクを口に含んだ。ふわっと広がる白いミルク味。
身体の中に染み透る。ほっとするような温度。ホットミルクを、差し入れてくれた男性が、落ち着いた口調で
語りかけて来た。「こちらに座っても、よろしいですか?」「ええ、どうぞ」静かに彼が腰を下ろした。
「ホットミルク、気に入って頂けましたか?」「ええ、ありがとう。とっても美味しいわ」

彼は私と、テーブルを一緒にしながら、持ってきたカップで飲んでいた。「あなたは何を飲んでいるの?」
「僕はカフェオレを頂いています」「そう、とてもいいわね」「ええ、コーヒーもいいのですが、
今日は、なんだか甘い物を飲みたくなってしまいました」と言って白いマグカップを掲げた。

「ここに来るのは、初めて?」「いえ、実は三回目です」「あら、じゃあ、お会いしたことあるかも」
「実は、一度お見掛けしました」そう語った彼の声のトーンも、話し方も、何処か、あの人に似ている...
涼し気な横顔から、時折見せる寂し気な眼差しまで… そして明るく振る舞う処も… 

「実は、一度お見掛けした時、僕の昔の彼女に似ているなぁと思っていたんです。
彼女はホットミルクが好きだったんです。それで…」「実は、私も昔の彼に似ていると
思っていたの。あら、嫌だ。奇遇ですわね!」 " これは偶然 " その後の会話も弾み! 
......あっという間に一時間が過ぎた.........

「もう、こんな時間。じゃあ、そろそろ私、帰ります」「ああ、ありがとう」
「こちらこそ、ごちそうさまでした。とても楽しい時間が過ごせました」
「また、会えますか?」「きっとね、また、会えますよ」
「そうですか、楽しみに、お待ちしています」
0091ジョン・スミス
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2022/03/19(土) 08:52:23.07ID:KVV8DM/1
>>90
10行目「遠くにあった記憶。」に訂正
0092ジョン・スミス
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2022/03/20(日) 09:34:18.62ID:HTz1B1+g
「春までなんぼ」

「人生というものは、全く不思議なもんだよな」「ええ」「お前さんの人生は、
数奇だよな。大検を受けて医大に入り、今やこの街一番の病院の院長だ。それも自分の
過去が知られている。生まれ育ったこの街で、堂々と成功者として生きている。

あの手の付けられない不良だった、お前が更生したことが、今でも不思議て仕方ないんだよ。
何があったんだ!? まあ、言いたくなければ別にいいが、アハハハ」たまたま飲みに行った
居酒屋で、昔、お世話になった、今は警察署の署長と偶然出会い飲んでいた。

「実は私を立ち直らせてくれたのはヨシエなんです」「あの、頭のおかしい、おさせのヨシエ?!」
「あの人、頭おかしくは無いですよ」「あいつは、工場に勤めていて、男に捨てられたのがきっかけで
頭がおかしくなってあんな風になったと風俗担当の刑事がそう言ってたるなんでも田舎の家族が、

ヨシエのあまりの変わりように驚いて帰ってしまったと言う話だ」「田舎に連れ戻され、子供と別々に
されるのが嫌だったんですよ。あの時、ヨシエは17歳だったんです。あの頃の私と同じ年だった。
彼女は何度か私を誘った。背中に赤子を背負うヨシエに「不良のくせに恥ずかしいのか。結局お前もヤクザと同じだ!」

と言われた。そこに精神病院の救急車両が来てヨシエを捕らえ連れて行こうとする。「やめてよ!何するの!」と
ヨシエが騒ぐ。俺はその光景を見て「よせ、彼女は頭おかしくはない。やめろ!てめーらー!!」と救急車の連中を
殴り「お前らに用はない。さっさと消えろ!」と言う俺の背後に居たヨシエが、

「余計なことしないで、この人たちを呼んだのは私なんだから…」その言葉に俺は「えっ!?」と驚く。
すかさずヨシエが言う「もう限界なんだ。この子も物心ついてきた。物心つくまでは、誰にも邪魔されず、
母親としてやりたかったんだ。大事なものがあれば、人間どんなことでも出来る。お前なんか何もないくせに、
もっと人生大切にしなよ」と俺の背後でヨシエが言った。そしてヨシエは連れて行かれた。

子供が生まれて物心つくまで自分の手で育てたかった。そのわずか一年足らずで彼女は人生のすべてを捨てた。
その後、何度も彼女が収容された病院を訪ねました。しかし人に会える状態でないと会わせてくれませんでした。
ヨシエが意図的に会おうとしなかったのか、病院の方針なのか、あるいは本当におかしくなったのか、
ヨシエにはとうとう会えずに終わりました」

「会えずに終わった?」「私がインターンを終え、医師として面会に行った時にはすでに亡くなっていました」
「彼女を治してあげたい一心で医者を志したわけか?」「いえ、単にもう一度、ヨシエに会いたかった。
それだけです。彼女は私に生きることのい凄さを教えてくれた」
0093ジョン・スミス
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2022/03/20(日) 09:43:25.17ID:HTz1B1+g
>>92
9行目「刑事がそう言っていた。なんでも田舎の家族が、」に訂正
0094ジョン・スミス
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2022/03/20(日) 09:48:50.96ID:HTz1B1+g
>>92
4行目「今でも不思議で仕方ないんだよ。」に訂正
0095ジョン・スミス
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2022/03/20(日) 09:56:16.52ID:HTz1B1+g
>>92
末尾「彼女は私に生きることの凄さを教えてくれた」に訂正
0096ジョン・スミス
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2022/03/21(月) 07:13:26.30ID:Cow2GueJ
「明日なき我等」

時速150キロでバイクを疾走する競技、オートレース。この伝統のレース場が65年の
歴史に幕を下ろした「さらば!俺達の船橋オート」のTVドキュメントを見ていた。

「この春、日本から、男たちの聖地が一つ姿を消した」という味のあるナレーションで
番組は始まる...   ー 番組冒頭の船橋オートの優勝戦ファンファーレ ー

最後のレースが開かれた三日間の密着したドキュメントだった。親子二代で通う強者から、
イケメンレーサーの追っかけ、名物もつ煮込み目当ての客など、様々な人たちが押し寄せる。

日本に6競技場しかない公営ギャンブルのオートレース場の一つ船橋オートレース場の閉鎖までの
三日間のドラマ。中でもオートレースは競輪、競馬、ボートの4つの公営ギャンブルの中で、
最ものめり込んでしまう公営ギャンブルと言われている。

俺は公営ギャンブルは昔、競馬、競輪、競艇、オートと一通り経験していたので懐かしさも
あって画面にくぎ付けになった。大音響の爆音鳴り響く中、身銭を切って声援する人たちの映像。
あの大爆音の中、声援に集まる人たちの熱狂と興奮に久しぶりに熱いものを感じていた。

そんな65年間存続し続けたオートレース場が閉鎖される。1日目の第1レースから、初日は雨...
SGやG1になると、必ず、来ると言う車いすのおじさん。3連単4点を1000円づつ買うと言う
買い方をしていたけど、このレース、惜しくも外していた模様...。

また40年通ったファンのおじさん...そして食堂のおばちゃん達...
そんな関わって来た人たちの人生を思うと久々に熱いものがこみ上げて来た。
あの有名レーサーの登場に観客騒然!白熱のレースに空前の盛り上がりを見せていた。

爆音の中で眠る子供のシーン。名残惜しそうに、食い入るように白熱のレースを見つめる観衆。
「この船橋オートの爆音。このバイク音の響き方、他では味わえない。それは船橋が
他の場に比べスタンドの壁が走路に近いからだ。だから反響の仕方が違う。川口、伊勢崎、

浜松など他の爆音はもっと遠くに聞こえる。このバイク音はTVでも、通いなれている者には
「あ、船橋だ!」と分かる」そんな話を、お父さんが亡くなって最終節一緒に来れなかったと、
お父さんの遺影と一緒に来ていた男性が語っていた。そして遺影に語りかけていた...

...最終走路、走路に向かって...深々と頭を下げるおじさん...
多くの人たちの思いが詰まった一つの場所の終わり...選手にも、レース場にも、

...名残惜しむ多くのお客さんにも...それぞれの人生ドラマがある...
 ...蘇る昔、通った遠い記憶...さらば、船橋オート… ありがとう...
0097ジョン・スミス
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2022/03/22(火) 07:37:00.17ID:luGwnbtv
「愛よりも」

親しい編集者の女性とカフェにいた...
「以前にも話したことがあると思うけど、小さい頃から同じ夢を見るって話…
多摩川の河で銃声を聞いたと言う夢のことさ」「覚えているわよ。それがどうしたの?」

「警察官だった親父の自殺の原因が知りたくて、親父の上司だった人に色々と調べてもらったんだ。
そしたら二十五年前、署の始末書に親父の名前が載っていたんだ。思った通り銃弾一つ紛失させている。
僕が幼い頃、聞いた銃声は夢ではなく現実だったと思う。そう思うようになったのは、僕が雑誌記者

として銀座の高級クラブで " 戦後暴力団・組長列伝 " の取材中にヤクザ抗争に巻き込まれそうになったことが
あった。いきなりドアを開け、敵対する勢力のヒットマンが入って来て、組員に間違われて撃たれそうになった。
あの時、" 突然! " 僕は以前にも同じ様な経験をしたような感覚がいきなり脳裏を襲った! " 夢 " だと思って
いたあの光景が、突然、幼い頃の記憶が蘇ったんだ!三歳ごろ河川敷の原っぱで三輪車に乗って遊んでいたんだ。

そんな時、いきなり銃声が聞こえたんだ。そして僕は見たんだ」「一体誰だったのよ、その人?」
「親父だ! 警察官をしていた親父だよ」「な、何で、お父様が?! 殺された人は?!」
「おふくろだよ。今となっては、詳しいことは分からない。記憶が蘇ってから警察の資料室で調べてもらった」

何故、親父が母を殺したのか、理由は、今となってはわからない。愛していたからこそ、生真面目な父は、
母の生き方が許せなかったのか、幼い記憶にある銃声後、振り返った父の姿、泣き顔が忘れられない...
親父を恨むつもりはない。ただ、このまま総てを忘れてしまうことが出来ない。ただそれだけだった。

警察の資料室で父の上司だった桜井さんに調べてもらっていた。「戸倉由紀。確かに、その写真と同一人物だね。
売春で三回逮捕されている。担当は君の親父さんだ」「修一と言う三歳の男の子が居ますね。僕と同じ名前です」
「だからと言って、その子が君で、この女が君の母親と言う証拠はないんだよ。まして、この女は亡くなって

証拠もない」「僕の母です。多分、間違いないと思います」「修一君、君はどうかしているぞ、いいかよく聞け!
君の親父さんは立派な警察官だった!! 何故、自分の親父を信じられないんだ!!!」「僕は本当のことが知りたいんです
分かってください。僕の母親なら、どんな生き方をした人であろうと、僕は母さんと呼んであげたいんです」

その後、殺害現場である河川敷の本格的調査、探索が始まった。「どうして父は、自首しなかったんだろう?」
「それは愛していたからこそ、あなたを引き取って育てたんだと思うわ。愛していた人の子供だからこそ、
自分の手で、一人前になるまで責任を持って育てようと決心したのよ」「そうか、それで僕が大学を卒業した時、

自ら命を絶った。責任を果たしたと感じたんだな」「そうよ。殺人の時効がとっくに過ぎた二十年後、罪を
裁けるのは自分しかいないもんね」親父とおふくろにどんな事情があったかは、今となってはわからない...

そんな時、「おい! 何かあるぞ! 骨の様なものが」「頭蓋骨だ! 間違いない人の骨だ!」
「あたし、これ記事にするのやめるわね」「あ、ありがとう。俺、ちょっと、おふくろに会ってくるよ!」
0098ジョン・スミス
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2022/03/22(火) 07:41:57.25ID:luGwnbtv
>>97
3行目「多摩川の河原で」に訂正
0099ジョン・スミス
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2022/03/23(水) 08:04:47.23ID:30MqwR1f
「やまねこ」

「松沢、五か月だぞ!」「え!? まさか・・・!!!」
「産む産まないは、お前の自由だ! 監獄法12条により、満1歳までは獄舎で、
育てることも出来る・・・どうする?」「...」私は刑務所で子供を産んだ。

「被告人、松沢由香は内縁の夫、大崎宏の腹部を一度ならずも、二度三度と刺した
事は傷口から見ても疑う余地はありません! 更にその残虐な犯行の後に、被告人は、
自分の住むマンションのベランダに出て、愛人に電話をしていた。これらの点からしても、
計画的、かつ、充分なる殺意を持って夫である大崎宏を刺し殺した事は明確である」

私だって、好きであんなことをしたわけじゃない。それなりの理由があったのに・・・
誰も、その理由を代弁してくれない。私があの男と最初に会ったのは十二年も前だった...

あの男はヤクザだった。その日以来、あいつは私のヒモ。私はあいつが出資して作った
店のママとして、夜の世界で働くようになった。お店が私の全てになり、店が自分で、
自分が店。そうして、この世界で生きて来た......

「弁護人として、検察側に一つお願いします。被害者である大崎宏は内縁の夫でもありませんし、
あたかも、戸籍上、正式な夫であるかのような印象を与えるような呼び方はお止いただきたい。
ましてや、大崎宏が善良な夫の典型であったかのような意図的な発言はお止めいただきたい。

彼は広域暴力団の中堅幹部であり、被告人に対して日常的に殴る蹴るの暴力を働き、組との折り合いが、
悪くなり、収入源を失った最近では、店の売り上げを持ち出して、被告人の生活さえも、圧迫させつつあったのです」

弁護人の弁護が終わり、被告人の最終陳述。裁判官が「被告人は証言台の前に立ってください」
そして裁判官から「これで審理を終える事になりますが、最後に何か言いたいことはありますか」
判決言い渡し。右の者に対する、殺人被告事件について、当裁判所は検察官白石健吉出席の上、
審判して次の通り判決する。 【 主文 被告人を懲役八年に処する 】

ーーー あれから八年が経った。「松沢! 所長室へ行くように」「は… はい!?」
言われるまま、所長室へ行くと所長が「覚えているかな、ワシのことを」「はい」
「いよいよ出所だそうだね、おめでとう。八年は長かっただろう。よく頑張ったね!

ひとつだけ聞いていいかね。子供に会いたいか? 君が産んだ息子は今、あるところで元気に
育っている」「...」坊やのことは、思わなかったことは一度もなかった...

一度でいいから、この胸の中で抱きしめてみたい。名前も知らない私の子供...
どんな顔をして、どんな声を出して、どこで生きているの? ・・・
一度でいい、一度でいいから、その名前を読んでみたい......

刑期が終え出所の日が来た...。
「色々と、お世話になりました」「元気でね」「ありがとうございます」

爽やかな春風と共に桜吹雪が舞う並木道 ... 雪のように桜の花びらが舞う中...
その先に、所長と一緒にいる " 幼く可愛い坊や " の姿が見えた......
" 落ち着いて " と自分に言い聞かせる。そうだ、まず、これを聞かなければ、

幼い坊やに近づいて、坊やの目線まで膝を折って「お名前は...?」
「すすむ!」「そう、とってもいいお名前ね!」
0100ジョン・スミス
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2022/03/24(木) 07:30:53.61ID:cCOZrUgO
「泣きたい夜」

三つ下の妹が亡くなった。自ら命を絶った...
妹はいつも笑顔で悩みなんて口にしたことがなかった。
悩みなんてこれっぼっちも見せない。そんな子だった。

妹は成績は散々だったけど、いつも明るく元気な妹だった。
コミュニケーションが苦手な私は、そんな妹がとても羨ましかった。
何が原因だったのか? いくら考えてもわからない...

ただ行き場のない気持ちと、伝えたい思いが、今更のように押し寄せてくる。
いつも明るく元気だった結衣ちゃん。お姉ちゃんは、今でも信じられません。
現実を未だに受け入れられません。お母さんは毎日泣いています...
何があったか知らんけど、お姉ちゃんは、結衣ちゃんに生きててほしかった...

結衣ちゃんは、普段の笑顔の分、たくさん傷ついとんの、お姉ちゃん知っとった。
それなのに、何にも出来んかったお姉ちゃんは弱いね。ただ、今になって言えること見つけた。
お姉ちゃんは、あんたがめっちゃ羨ましかった。3っも年下なのに、お姉ちゃんより

しっかりしとる。けどさ、お姉ちゃん、羨ましかっただけで、あんたのこと、嫌いやない。
大好きやもん!大好きやけん!! 生きて欲しかった!!! 世の中は、理不尽で、不条理。
みんな自分の事しか考えてないけどさ。どんなに辛くても、ただ、生きとって欲しかった。

お姉ちゃん、いつもと違うあんた見て、あんたに「笑え!」って言ったのが、いかんかったん?
笑いよっても、しんどかったらいかんやん。あんたあほやん? 何で一人で抱え込むん?
何で相談してくれんかった? お姉ちゃん、そんなに頼りなかった? 誰かに嫌われるの、

確かに怖いね。お姉ちゃんも怖い。けど、みんなに愛される必要はないんよ。そう、すべての人に
愛されようとする必要はないの。みんなのヒロインになる必要もない。あんたは、お姉ちゃんの
ヒロインやったのに。苦しくても、悲しくても、泣いてもいいから、泣きたい夜には、

一人で泣かないで、お姉ちゃんを訪ねて来て欲しかった。お姉ちゃんの傍に来て欲しかった。
電話でもいいから、一人ですべて抱え込まないで打ち明けて欲しかった。電話口で、いつもお姉ちゃんを
心配させないよう気丈に振る舞っていた結衣ちゃん。お母さんも、お姉ちゃんも、結衣ちゃんが命やったんに。

今となってはこんなこと、言ってもしゃーないけどさ。何で結衣ちゃんいないの?
お願い、神さん! 結衣ちゃんの顔、もっぺん見せて。泣いとってもいいからさ。
思い切って抱きしめちゃるけん! ーーーーーーーーー 
0101ジョン・スミス
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2022/03/25(金) 07:36:53.37ID:/tWU5iZp
「儀式セレモニー」

「後ろに乗れよ!」差し出すヘルメットを思わず受け取ってしまった。
風の膜を突き破ってバイクは走り出す。狭くて細いタンデムシート。怖くて体が震える。
「俺に掴まれよ!」前から彼が怒鳴ってくる! 道に溢れる車… 車...

ビルと街路樹が現れては後ろに流れていく...市境に架かる橋を渡ると、大きなカーブ。
抜けると、少しRのきつい右カーブが連続して、道は峠へ向かっている。

後ろから彼にしがみついて、おでこを背中に着ける。背中なのに、彼の心臓の音が響くようだった。
「ねぇ」とその心音に向かって声をかける。聞こえないと思ったら返事が来た。また右カーブ。きつい。
バイクは、ガードレールに突っ込みそうなスピードでカーブに飛び込むと、燕のように急旋回する。

後輪が一瞬滑る。「カーブが来たら、ちょっと身体を倒せ!」「スピード落としてよ!怖いよ!」
「俺らは、このくらい。生き急がなきゃ、きっと間に合わないよ!」「分かんないよ。何言ってるの!?」

その間にも、バイクは傾いたままカーブを越えて、その先の直線に向かって唸りを上げて
加速していく。視界が平行になって、耳元でキーンと金属的な風の音がする。

峠に入ってようやく、彼はスピードを緩めた。ヘッドライトに金粉のような夕陽に
照らされた樹々の葉が舞って反射する...
「ねぇ」「何?」「私…」と言いかけたが、言えなかった...

彼もその後、沈黙し、もう一度、言おうか迷った... バイクは再び加速する…
展望台の先の灯りが、樹々の間から、私達二人を先導するように揺れて光っていた。
   ...単車の背中から...みつめた夕陽に...さよなら...
0102ジョン・スミス
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2022/03/26(土) 07:53:04.51ID:qNnMwM3G
「春なのに」

旅立ちの日でもある卒業。儀式が行われる当日は、別れ一色に染まる日。
明日からはこれまでのように会えない。それでも、絶対に会えないわけではない。
連絡先を交換すれば、また会える機会もある。今日というこの日だけが、
別れの理由ではない。

私に気づいてやってきた彼。
いつも通りの優しい笑顔で「会えなくなるね。寂しくなるよ」と
差し出された彼の手をそっと握り返す。ヤバい。すっごい " ドキドキ " する。

明日から毎日、顔を合わすことはないことに、彼も寂しさを感じているみたい。
でも、その寂しさは私のとは違う感じがする...
卒業という特別な高揚感の中で感じ、口にした言葉なのだろう...。

友達から、大きな声で呼ばれる彼。
「じゃあ」と軽く手を上げて友達の所に駆けていく...
結局はボタンをくださいと言えなかった。。。
心臓に近い第二ボタン…

私に見えているのは彼の背中…
ここで泣いては、いけないことはわかっている...... 。
あんなに寒かった冬から暖かい春へと変わった季節…
でも、素直に喜べない自分がいる。

移り変わる空を見上げては、こぼれそうな涙をこらえる。
心の中では、彼と二人で迎える春を想像していた...
夢のようなその思いは、春と共に消えてしまった。

周りに誰もいなくなれば、涙をこらえる必要もない。
あのお店なら、いつも通りに逢えると信じていた白い喫茶店。
結局、最後まで彼に本当の気持ちを素直に伝えることが出来なかった...
憧れだった彼への淡い恋心。届かなかった恋......... 。

 。。。 窓の外には、無数の桜の花びらが舞っていた 。。。。。。。。。
0103ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/27(日) 12:58:51.61ID:e58bYCwh
「紫の桜」

寺の境内には江戸彼岸系の見事なしだれ桜が境内いっぱいに枝を
垂らしていた。この日は、ほぼ満開で、既に花の色が白くなっていた。

背丈も幹の太さも枝張りも、ほぼ同じ様な姿の二本の桜。
互いに寄り添うように咲いていた。姿から夫婦桜と呼ばれていた。
樹齢200年。しかも、そのうち1本は連理の桜と呼ばれ、
二本の樹が根元で一つに繋がっていた。仲睦まじい姿から名付けられた夫婦桜。

境内いっぱいに樹齢100年、200年の江戸彼岸桜系の枝垂れ桜たち
夜間のライトアップされた枝垂れ桜。光の加減で、その静かな夜の薄闇の幻想的雰囲気の
紫の桜に見える夜桜。

今夜は強い月明りがライトアップされた枝垂れ桜だけではなく、
周りの樹々たちを照らしていた。夜なのに明るい。樹々や葉が微かに揺れていた。

月がこうこうと道を照らしているため、歩くのに全く困らない。
歩くこと20分、小高い丘の上に、月明りに照らされた樹齢300年の
枝垂れ桜が穏やかな春の夜風に美しく揺れていた。
「今年は、もう見られないかと思った」

私は愛おしそうに幹に手を触れ上を見上げた。
その枝垂れ桜は既に散り始めていた。
昨日、一昨日と寒い日が続き、やっと今日一日、暖かな日になった。
そこで、最後の蕾が一気に咲き、もう散り始めていた。

明日からは、また雨だと言う。今年は、今日が一年のうち、たった一日の見ごろなのだろう。
私はコートを脱ぎ、枝垂れ桜の根にそれを置き、仰向けに寝転んだ。

そのまま桜を見上げる。桜の花びらが、ひらひらひらひらと舞い落ちる。
次から次へと舞い落ちてくる。その花びらは月明りでキラキラと光っていた。
桜の花も、その幹も、満月に照らされて、静かに光っていた。
0104ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/28(月) 09:42:53.75ID:zliNpN0r
「桜らららら」

ーーーーーーーーー 僕は今日、恋をした...。
何の変哲もない教室で、今、窓の外を眺めているあの子を見て・・・

「なぁ、ケンジぃ〜? 今日から、転校生が来るって聞いたか?」
「そうなの?」「女子らしいぜ! 可愛い子だったらいいなぁ〜」
「ふ〜ん。そ〜うなんだ」バシッ!と " 突然 " 叩かれた!
「なんで! 叩くんだよ? 痛いな」と僕。

「あったり前だろ! 少しは驚けや! 転校生だぜ! 転校生」
「ま、普通じゃないの? なんか、ちょうどそんな時期なんじゃないの?」と僕。
「へっ! まあ、いいや。んじゃ、もうすぐ先生が来るし、また後でな」
そう言って、タイキは自分の席に戻っていった。

ちょっどその時、先生が入って来た。
「みんな、席に着け〜 !」ガヤガヤと騒いでいたクラスメイト達が、
ゾロゾロと席に着いた。
「よ〜し、知っている奴もいるかも知れないが、今日、このクラスに転校してきた
生徒を紹介する」「先生〜! 男子ですか〜 ? それとも女子ですか〜 ?」と
男子の一人が聞いている。

「おう! 女子だ! 燥ぐなよ男子!」と先生は言う。
「ひゃっほう!!」と途端にクラスの中の男子が騒ぎ出した。僕一人を除いて。
すると、僕の前に座っている女子が話しかけて来た。
「あれ! 松田君は、燥がないの?」

「まあね、よくある事だし、別に」
「こらっ! 少し落ち着け男子! さあ、佐々木さん入って来てくれ」
ガラガラとドアがゆっくり開いた。
「佐々木希です。よろしくお願いします」
0105ジョン・スミス
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2022/03/29(火) 12:05:27.71ID:9HzKytUT
「黄砂に吹かれて」

私は三年付き合っていた彼と別れて傷心を癒すためのたびに出ていた...
今、敦煌に居る。敦煌と言えば壁画。壁画と言えば敦煌。中でも、
その花は飛天。かってNHKが1980年頃に放映したシルクロード…

あの天の衣で天空を自由に飛び廻る天女… シルクロードを見て以来、
一度は行ってみたいと思っていた敦煌。とうとう来てしまった...

鳴沙山から月牙泉の眺望… 鳴沙山とラクダの列… 鳴沙山に沈む夕陽とラクダの群れ…
月牙泉と楼閣… 鳴沙山が美しい曲線を描いている...。

鳴沙山の麓にあるオアシス月牙泉には、何千年も絶えることなく湧き続ける不思議な泉がある。
地下を深く流れる澄んだ水… 泉の傍の楼閣と砂漠は敦煌の代表的な景色......
時折、吹く風に吹かれて思いを巡らせていた......... 。

砂を手に取ってみる。手に取った僅かな砂が風に流されていく.........
黄砂に吹かれて 彷徨う旅は 地下を深く流れる 澄んだ水に似ている 終わりのない旅
微笑みずくで終わらせた恋が 夢の中 悲鳴上げる... 

あなたに似ている人もいるのに あなたより優しい男も この砂の数よりいるのにね 旅人

「嘘つきむ」「嘘つき」「嘘つき」込み上げる...
あなたから少しでも遠くに離れたくて...遠くへ向かう旅に出たいの あなたから遠い国まで
誰にも会わない国まで 黄砂よ何故...嘘...見破るの...旅人...
0106ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/29(火) 12:09:16.91ID:9HzKytUT
>>105
下から3行目「嘘つき」「嘘つき」「嘘つき」に訂正
0107ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/29(火) 12:17:52.47ID:9HzKytUT
>>105
1行目「癒すための旅に出ていた...」修正
0108ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/30(水) 10:41:11.79ID:u8okJ/H5
「肩幅の未来」

「沢田さんてさ、営業先の子と付き合っているらしいわよ」
「私は、同窓会で再会した元カノと、ヨリを戻したって聞いたわよ」
「ちよっと、それよりもっと驚くことがあるわよ!」
「なになに、なによ!」

「福山君、エリちゃんと腕組んで〇〇〇カフェへ入るとこ見たのよ!」
「ええーっ!それは流石にマズイんじゃないの?」
「そうよ、めぐみさんと付き合っているのに、エリちゃんも、どういうつもりなのかしら...ねぇ」

・・・あの日、会社のパウダールームで交わされていた会話を… 聞いてしまった...。
よりによって、エリちゃんとは、エリちゃんは入社したばかりで私の直接の部下だった。

ケンカなんていつもだった。嫌いなんて言わなかった。ちょっと甘い、ちょっと苦い、夕暮れの溜息...
三月の終わりの日曜日、午後五時、彼とよく行っていた甘い香りが漂う「○○〇カフェ」に私はいた。
入口から、真っ直ぐ進んだ左角に設けられた空間は、お一人様ブースだ。その中の一席に私は座る。

この席に居ると、入口から奥まで店内の様子がよく見える。お店のメインである二人席、四人席は、
可愛い女の子達が、楽しそうにおしゃべりしている。そのテーブルには、色とりどりのトッピングがされた
パンケーキが並んでいた。このお店はいつも賑わっている。パンケーキブームで有名になったお店の姉妹店
と言う事もあり、単純に、ここのパンケーキが美味しいからだと思う。特にふわふわパンケーキが美味しい。

家から遠いが、ここの所、私は毎日通っていた。ただの一つを除いて、他のメニューすべて制覇した。
その最後の一つは、meet キャラメルパンケーキ。いつか彼と一緒に食べるはずだったパンケーキ。
今日注文したパンケーキはベリーベリーパンケーキ。イチゴとブルーベリー、ラズベリーが山盛りの
生クリームの上に、さらにこれでもかと乗っかっている。セットのドリンクはグレープフルーツジュース。

一番のお気に入りメニュー。甘いもの食べている時が一番幸せ… 店内に流れる曲も変わった...
今、その曲の歌詞が心を締め付ける...ナイフとフォークを手にしたまま、唇を噛みしめて上を向いた。
下を向いたら、きっと泣いてしまうから......そんな時! 入口の自動ドアが開いて、
身に覚えのあるカップルが入って来た!  ー " 彼とエリちゃん " ー だった!

      ・・・・・・・・・ 慌てて顔を 下に向けた ・・・・・・・・・
0109ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/30(水) 10:56:25.04ID:u8okJ/H5
>>108
3行目「ちょっと、」に訂正
0110ジョン・スミス
垢版 |
2022/03/31(木) 12:49:54.19ID:XvOvxaLs
「見返り美人」

「お前さ」「うん?」「お前の家、別に貧乏じゃないんだから、たまには服装の事、
気にしたら?」「おかしいかな?」「あのアパートだって、今時、あんな汚いとこないぜ」
「そうかな… でも、私、別に気にならないし、いいんじゃないの、ハハハ」

「友達として、たまには遊びに連れて行ってあげたいけどその恰好じゃな」「別にいいよ」
「お前、午後、アトリエだろ、俺引き続きここだから、じゃな」「森君!」「何だよ?」
「誘ってくれてありがとう。嬉しかった」「あぁ…」

東京に出て来て、三年にもなろうとしていながら、阿佐ヶ谷にあるこのアトリエと、予備校、
そしてアパートの間を、行き来するだけが私のすべてだった...

「お前、結構可愛いんだからさ、もう少しオシャレしろよ! そうすりゃ、色んなとこ連れて行ってやるぜ」
「ありがとう。でもいい。森君も私の事なんて気にしないで、こうやって、気か向いた時だけ来てよ」「…」
「あ…、お金?」「悪いなぁ、余分があったら、少し回してくれよ」「いいよ。10万円あるから好きなだけ

使って、私、アパート代とインスタント食品のお金さえあればいいもん」「そう…、じゃあ、3万円だけ借りるよ。
あんまり借りちゃうとな…、ほら、今までの分、結構溜まっているし、へっへへ」「遠慮しなくていいってば、
全部持っていきなよ。ある時に返してくれればいいって」「でも、そう? じゃあ、遠慮なくお借りします」

「…」「どうしちゃったの? 急に黙り込んで?」「私の昔の事…」「男の事か?」「そう高校の時、めちゃくちゃ
好きな人が居たの…」「それで…」「私のこと騙していたの。私、ほら、宮崎の銀行家の娘だから、財産目当てって

言うか、せこい男だったな、私は別にそんなこと、どうでもよかったんだけどね。結局、父親がその人に手切れ
金渡して、私も故郷に帰れない身というかさ、田舎だから噂話が、町中駆け巡ってさ…」
「お前も可哀想な奴なんだな。俺、お前のこと好きだよ」

その後、一週間が過ぎ、森君が仲間とつるんで私が働いている弁当屋の前を歩いて通り過ぎようとした時... 
森君に気づいた私は、弁当屋の作業着で「森君!はい、お弁当!」と渡そうとした時、森君の友達の一人が、
「プッ! あれ森の女かよ? 妙な奴!アハハハハ」「アハハハ」 ...あの時から、森君は変わった...

「俺に恥かかせやがって!」って何かにつけ暴力を振るうようになった...
「お前、見ていると心底滅入るぜ! 人に反抗することないのかよ! お前が、
一度でも来るなと言うなら来ないんだけどよ! 抱いてやるから! 金をくれ!」

「ない!この前、今月分、全部持って行ったじゃない」「なきゃ、作れよ! 
弁当屋なんかで働かなくても女なら、もっと効率のいい稼ぎ方があるだろう!」
「好きで、こうしているわけだから、ほっといてよ!」

ーーー それから一週間が経った...「おい! あんなのいたっけ?」「すげえ美形!どこのクラス?」
そんな予備校で森君と会う。「お前、あの砂場!?」「そうだよ」「し、信じられねぇ?」
「お望み通り、オシャレしてきた。整形なんかしてないよ」「うん、分かるよ。お前ちゃんと
化粧して身なりを整えれば、綺麗になるのは知ってはいたけど、それにしても...驚いたよ」

「じゃあ、頑張ってね。森君」「…」森君には感謝している。世の中にはこんなにも
くだらない男が居るってことを教えてくれたんだもの。無駄な時間を過ごすことも、
社会に出る為のモラトリアム期間と捉えれば、自分を見つめる為には必要なこと。

私は脱皮する .........これから新しく生まれ変わるんだ ...
0111ジョン・スミス
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2022/04/01(金) 13:45:26.46ID:Dot9sB5d
「一期一会」

僕が高校受験の日、列車事故により知らない駅で降ろされてしまった時のこと。
一人のお姉さんが「どうしたの?」と声をかけて来た...。

「高校の受験に行きたいんですけど、今どこに居るのかも、全くわからない...」と
話すと、そのお姉さんは即座にタクシーを捕まえて、僕を連れて行ってくれた...

千円位しか所持金がなかったのですが、せめてものお礼にと渡そうとした際、
「受験頑張ってね」とやんわりと拒否され、タクシーを降りる際に、
お礼を言おうとした時にも、「じゃあね」とすぐ去って行かれました...

二度とお会いすることは無いと思うのですが、あの方の様な素晴らしい大人になりたいと思いました。

その後、社会人になった時、こんな出会いもありました...
旅行先でたまたま入ったカフェレストランで歳は六十くらいの見知らぬおっちゃんと相席になり、
ご飯を食べながら世間話をしていました...そして食べ終わった時の事。

「お姉ちゃん! ここお勘定、二人分やで!」とそのおっちゃんが店の店員のお姉さんに言う。
僕は慌てて「そんなことして貰う訳には!」と言うと、僕を制して、おっちゃんは曰く
「いいか、世間は順送りや、わしも若い頃は、色んな人に、色んなことして貰ってきてるんや、

あんたもして貰ってる筈や、だから、わしは、それをちょっとずつ返す番や。で、あんたが、
返す番になったら、次の人に、返してくれれば、それでええんやで!」

 一期一会の良き出会いを大切にしたいと思った瞬間でした .........
0112ジョン・スミス
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2022/04/02(土) 14:11:55.36ID:Aap1v59C
「気にしないで」

… スマホが鳴った … 
「あ、俺だ! あのさ、この前のこと、悪かったよ。反省しているよ俺」
「… そう」と私。

「だからさ、良ければ又、会ってくれないかな? この前、あんなことで、
あんまし話も出来なかったし...」「...」

「あ、もちろん部屋でなくてもいいんだ! 外で、頼むよ。俺、あれから色々あって、
君に話したいこと、いっぱいあるんだ!」

「駄目よ。悪いけど、私、今忙しいんだもの... もう寝るから私、切るわよ」と
スマホを切った。

翌日の雨の夜、夕食の後片づけや洗い物をしていると、玄関のチャイムが鳴った!
「どなたですか?」… 今頃、誰だろうと思いドアを開けると、いきなり
「あなたね!」見知らぬ女の人が叫んだ!
その女は冷ややかに、感情を押し殺した表情で切々と語り始めた...

「あなたと主人のこと、主人から聞きました。銀座のあなたのお店で知り合い
通ううちに、親しくなったとのこと。軽薄そのものですね。おまけに身の程知らずに、
主人と結婚したいとおっしゃったとか、図々しいにもほどがあるわ!」

「あなた方は所詮、男たちの一時の遊び相手! あなたの言ったことを聞いて、
主人もあきれていますわよ。そりゃあ、主人はいい男ですよ。私が惚れたくらい
ですから、あんたなんかの他にも主人に言い寄って来た女は沢山いましたから...
私は離婚しません! 主人の浮気は、一時の麻疹みたいなもんですから、

直ぐに間違いに気づき、私の所に戻ってきますよ。あの人は、私が居なければダメなのよ。
そう、そんなダメな人なの。色んな意味でね! あの若さで、あのポストまで行けたのも、
私の父が関係しているの。だから主人は現在の地位や財産を捨ててまで、あなたみたいな
性悪女と一緒になるほど世間知らずではありません!」

   ーーーーーーーーー 主人は、私と別れたら、すべてのものを失うんですよ!
0113ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/03(日) 16:31:28.64ID:64Jmcrke
「こどもの宝」

...遠くに見えるのは...見覚えのある少年...私だ...遠い昔を抜け出して...
...私に気づかず...私の隣で...背伸びして佇んでいる...私を知らずに...
...私にもたれて...遥か未来を眺めている...私を見上げる...私は目を逸らす...
...遠い私を抜け出して...あの子の宝は何だろう...あの子の願いは何だろう...
               〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜 
           ーーー 手術室 ーーー [手術中] ーーー
    ... ピッピッピッ ... ピッピッピッ ... ピッピッピッ ...

ーーー 「先生! 脳波が弱り始めました!!」 「うむ...」
「先生! 血圧が下がり始めました!!!」「脳波は?」 ーーー

 ーーー 病院の待合室 ーーー
「社長、岡田さんのご家族の方は、いらっしゃらないようですが、私が車で迎えに
行きましょうか!?」「その必要はない。奴には家族はいないんだ。一人で生きて来た。
俺もこの会社で長く生きて来たが、あんなに生きるのが下手な奴は見たことがない。
俺みたいなのが、まだ生きているのに奴に先に逝かれたらたまらんよ」

「社長、そろそろ磯村先生とのお約束の時間になります」「ここを離れる訳にはいかん!断ってくれ!」
「社長、でも!?」「岡田を何だと思っているんだ! あの岡田宗助は、日鈴自動車の創設時からの
メンバーの一人だぞ! 世界五位の会社を作り上げた最大のエンジニア、我が社の礎を築いた一人だ!

 陰の功労者だぞ! 岡田は中学しか出ていないんだ。うちの会社に特別行員として採用された」
「聞いたことあります。戦後、我が社にも特別制度があり、成績が優秀な青年に会社が独自で
三年間の教育をさせる制度ですね」

「あいつは頭が良かった。大学を出ている俺と同期入社だったが、とてもあいつにはかなわなかった」
「うちの会社の技術は、ほとんど、あいつが作り上げたものだ。俺はただ、あいつの技術開発の功績を
貰って出世していっただけだ。あいつが居なけりゃ、この会社も、俺も、ここまでにはなってはいなかった」

「なぜ? 岡田さんは出世を拒み、現場にこだわったのですか?」「それは俺にも、よくわからん。
現場で若いもんに技術指導や一緒に仕事するのが好きだったな」

 ーーー 手術室 ーーー [手術中] ーーー 点灯していた明かりが消え ーーー
手術を終えた医師が「ご臨終です」「そうですか…」と社長。「ご家族の方とか、身内の方は?」
「いません。戦後一人で生きて来た男ですから...」
... 働き続けた一生だったな...岡田、長い間、会社の為に貢献してくれて、
ありがとう...   
   ーーー 会社の為に、一生をささげた人生だったな... ゆっくり休んでくれ ーーー
0114ジョン・スミス
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2022/04/04(月) 13:51:42.93ID:y90YlE6J
「強い風はいつも」

「沖縄に行かない?」といきなり母から電話で聞いてきた。
当時、大学三年で就活で忙しかった僕は「忙しいから駄目!」って断ったが、

母はなかなか諦めない「どうしても駄目?」「今、大事な時期だから、就職、決まったらね」
「そう...」母は少し残念そうに電話を切った。急に何だろう...と思ったけど、
気にしないでいた。それから半年後に母が亡くなった...癌だった。

医者からは、余命半年と言われていたらしい。医者や親戚には息子が今、大事な時期で、
心配するから連絡はしないでくれと念を押していたらしい...

両親と三人家族で中学の頃、父が交通事故で他界。パートをして大学まで行かせてくれた母。
沖縄に行きたいと言うのは、今まで僕の為だけに生きて来た母の最初で最後のわがままだった...

叔母から、母が病院で最後まで持っていた僕が小学生だった頃の絵日記を渡された。
パラパラとめくると、写真が挟んであるページがあった。絵日記には「今日は沖縄に
遊びに来た。海がきれいで雲がきれいですごく楽しい。ずっと遊んでいたい! 
旅館に帰ってから、全身が焼けてむちゃくちゃ痛かった」と言うようなことが書いてあった。

すっかり忘れていた遠い幼い記憶が蘇って来た.........
今度は、僕が大きくなったらお金を貯めて両親を再び沖縄に連れて行ってあげるんだと
言うようなことをこの旅行の後、母に言ったのだと思う......
母は、それをずっと覚えていたのだった.........

その絵日記に挟んである写真には、自分を真ん中に砂浜での家族三人が楽しそうに映っていた...
僕は母が電話をしてきた時、どうして母の唯一のわがままを聞いてやれなかったのか...
もう恩返しすることは出来ないと思うと... 急に涙がぶぁっと溢れて来た...
0115ジョン・スミス
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2022/04/05(火) 11:22:53.01ID:V8XvuDb3
「小石のように」

ピッピッピッピッと呟く… 野鳥のさえずりを風が運ぶ…
林の中で、時折、バタバタと鳥の羽ばたきの様な音が聞こえる...

樹が狭い地面にひしめき合って、腫れ上がったようにこんもりしている。
笹の葉が、さやさやと風で揺れる… 風が木の枝をザワザワ揺すって通り過ぎる中...

樹の間を抜けると、禿た頭のように、何もない山頂に着いた。
ーーー 「雲一つない晴天だ!」 ーーー 陽射しが強い ーーー

「眺めがいいでしょう」
「いいねぇー」

夏になれば、芝生が生い茂っているのだろう...
...街が眼下に見下ろせる...区画された田園は美しい......
僕たちは、暫くそこに立って、美しい景色に見とれていた......

.........風の音... 鳥のさえずりしか聞こえない...
息を吸い込めば、その音、そのさえずりさえも身体に取り込めそうだ......

傾斜の急な波立ち、飛沫が上がっている渓流の早い流れは、下流の方の谷川の
せせらぎまで心地よい音を立てて流れている......

......柔らかい春の風が、足元をなぶって通り過ぎる......
水筒に入れたお茶を一口飲む。山で飲むお茶は、いつも飲むお茶の十倍美味しく感じる...

山で食う握り飯は格別に美味しい... 透明に澄んだ山の空気...
目の前に広がる雄大な景色... 疲労感と表裏一体の確かな充実感...
何を食べても、何を飲んでも「うまい!!」と感じさせる...

そよそよと春風が吹く爽やかな春の休日。午前八時前、登山口に到着した。
防寒具や食料を背負い、でこぼこの坂道や岩場を何時間も歩き続ける登山。

砂利や泥に足を取られ、息があがる中、樹々の枝葉をかいくぐって漏れるように
射し込む木洩れ日。。。。。。。。。苔...小川のせせらぎ......

立ち止まり、目を凝らし、耳を澄ませて...大自然を肌で感じる醍醐味。。。
山頂で食う最高のお昼ご飯。雄大な景色をバックに、果てしなく広がる空の下...
大きな岩の上に腰を下ろし、雄大な景色を見渡しながらパクパクと豪快に食らいつくおにぎり。
こんな絶景を見ながらのおにぎりは最高だ! 最高の贅沢、醍醐味。。。
0116ジョン・スミス
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2022/04/06(水) 13:31:01.85ID:uSGC1yyq
「愛から遠く離れて」

「お疲れさん。みんな休んでいいわよ。 あっ! お客さん。お茶でしたら電話で
言ってくだされば」「いや、お茶はいらない。君が昨日、私に言ったことを確かめに来たんだ。
一晩、二万円で客と付き合うと言ったこと、あれは、本当なのかね」「は、はい」
「今晩、私の部屋に来てくれるかね」「はい」  ... ... ...

やはり気づいていない...もし、人生に過去と言うものがなかったら、私はまた違った生き方を
していたに違いない...私がとった初めての客。部屋に戻ると「あ、おかみさん」「あんただけには、
してほしくなかったよ。あんなこと」「すみません」「謝ることはないさ、案外、私は心の中じや、
喜んでいるのかもしれないよ。あんたが客をとってくれたら、この辺の男たちも、うちに泊まりだすよ」

「やっぱり、あの人を客には出来ませんでした」「!? せっちゃん...もしかして、あの客、ここに来る前、
あんたの...」「ええ、三日間も泊まっていながら、私の顔さえ忘れていました。この十年間、私はあの人を
忘れる為だけに、ここで生きて来てバカみたい...」「じゃ、何故、そんな男と寝たんだい。何故、そんな

馬鹿なことを」「抱かれながら、お前が私を忘れたように、私もお前のことなんか忘れてるぞって、ただの客だと、
心の中で、笑ってやろうと思ったんです」「それで笑えたの?」「何なんでしょうね。男と女って...うっ...
何なんでしよう、一体...」… 私が外村を知ったのは、もう十年も前の事。仕事が終わって、通っていた定時制の
高校の英語の講師だった彼のアパートで「先生、まだ気にしているんでしょ。気にしないでください。私が勝手に

ここに来ているんですから」- 後悔はしてなかったし嬉しかった。 - そんな時 -  大家さんがドアを " 叩く "
「女の人から電話が」「今行きます! 君は帰った方がいい」「はい」- もう来ちゃいけないんだ… そんな時、
机の上にあった腕時計。「先生! これ、頂けませんか?」「そんなおもちゃの腕時計、いいよ。いずれちゃんとした
腕時計買おうと思っているから。でも、どうしたんだい。急にそんなもの欲しがって?」「さようなら!」と私は駆け出して行った。

暫くして先生のアパートの外から、明かりのついた部屋でカーテン越しに男女が抱き合っている姿影を見る...
後悔はしていなかった。ただこの街を離れたかった。でも戻る事なんてなかった...そんな過去を回想をしていると...

「お客さんがお帰りだよ」とおかみさんの声。「こちらに来る機会がありましたら、ぜひ寄らせていただきます」
「ありがとうございます。帰りは、真っ直ぐお帰りですか?」「いえ、ちょっと船で花崎まで行って、列車に乗り換える
つもりです」「そうですか」そんなおかみさんとのやり取りを聞いていた私は「では、船着き場までお送りしますわ」

船着き場まで一緒に歩いている途中、「どこかで君と会ったことはなかったかな?」「いえ...」「そう...」
しばらく歩いて船着き場に着く。「あの、お客様、腕時計をお忘れでは?」「いゃあ、元々、僕は腕時計をしないんだ」
「そうですか」「昔は貧乏でね、腕時計も買えない時期があってね。あの頃を忘れないように思って、腕時計はしない

ことにしてる。そう言えば、おもちゃみたいな腕時計をしていた時期もあったな。アハハハ」荷物を渡す時、
私がしている腕時計を見て「?!!...も、もしかして、き、君は...」...タンタンタンタンと船着き場から
船が出ていく.........タンタンタンタン...見送った後、もし、人生に過去というものがなかったら...
腕時計を海に捨てる...過去を引きづって生きて来た時間...私はようやく過去の時間を捨てられる.........
0117ジョン・スミス
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2022/04/06(水) 17:14:28.87ID:uSGC1yyq
>>116
7行目「私は心の中じゃ、」に訂正
14行目「何なんでしょう、一体...」に訂正
0118ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/07(木) 14:40:43.85ID:c56UfROf
「彼女によろしく」

「ねぇ、私たち、そろそろ別れない」
「突然、何言ってんだよ! 俺たちこれからも、ずうっと一緒だぜ!」
「彼女によろしくね!」

「誰だよ、彼女って! 俺に、そんなのいないぞ! 何か、勘違いしていないか?!
おい! 何だよ! どうしたってんだよ?!」
ーーー " そこで 目が 覚めた " ーーー 

彼女に突然別れ話を言われてから、変な夢を見るようになった...
起床後に身体に残る鈍い疲れも大分取れた。クーラーボックスを肩にかけ、
竿を担ぎながら、釣り場へ向かう。今日はよく晴れている。海面には
朝日が当たり、無数の小さな眩い光が規則的に生まれては消えていく…

突き出した岬と、防波堤に挟まれて入り江のような形になっているそこは、
元々漁港だったのだろう。コンクリートが、打たれ波打ち際の傾斜ではその名残か、
朝焼けを浴びて、オレンジが強くなったブイが揺れている。

バイト先の店長から、聞いたこの場所は、釣り場としては穴場らしい。
だが、既に先客がいた。「何で? お前がここにいるんだよ!?」
レジャー用の小さな椅子に腰掛けて釣り糸を垂らす女の姿を見たとき、
思わず叫んでしまった!

「別にいいじゃん! 何で? ここで釣りをするのに、許可がいるの?」
保育園からの幼馴染の絵里だった。

「うるせぇ! とにかくお前が居るなら、俺は帰るぞ!」
「いいけどさ、帰ってこれからずーっと家でゴロゴロするの?」
絵里に背を向けて立ち去ろうとしたが、そう言われて思わず立ち止まり、
竿と仕掛けを準備し始めた。

「ジャジャジャジャーン! こんなに大きいのが連れちゃったわ!」と
俺に見せながら絵里は大はしゃぎしていた。
0119ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/07(木) 14:45:32.70ID:c56UfROf
>>118
下から2行目「こんなに大きいのが釣れちゃったわ!」に修正
0120ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/08(金) 18:58:40.12ID:vS19w5uq
「裸足で走れ」

昭和○○年、僕が中学生の頃。
僕はいじめられっ子だった...。
靴を隠されるのは、もう慣れっこだった。

放課後、校庭の隅に呼ばれて、訳もなく殴られたり、
ズボンを脱がされたり、毎日、何らかの嫌がらせを受けていた...
でも、今日は、許せないことが起こった。

それは昼休みに起きた。僕の家は、母子家庭で貧乏だった。
お金がないのに入学祝で母が、僕の為に態々高い方の革の学生鞄を買ってくれた。
だから、いつも大切に使っていた革の学生鞄。そんな革の学生鞄を壊されたのだ。

中学校で必要な筆記用具を面白がってバキバキに折られたり、踏んづけられたりされた。
教員室に行き担当の教師に、このことを言ったが、取り合ってくれなかった。

教室に戻ると、僕の机の上には、案の定に
「バカ、死ね、クズ、カス、ゴミ、ゴミクズ、学校にくんな・・・」
等々がマジックで書かれてあった。

もう我慢が出来ない! 僕は、堪忍袋の緒が ・・・ 切れた、、、、、、!!!
僕は、コンパスを握り絞めていた! コンパスの先でぷっさ刺そうと思っていたのだ!!
だけど、それは出来なかった。

ごっつい腕に、強く捕まれたからだ!! 振り返ると、
そこにはクラスのリーダー的存在の矢吹が真剣な表情で僕を見つめて言った。
「今、それをやったら、今までの我慢がすべて無駄になるぞ!」

「こんなの俺が消してやる」と机に書かれた落書きを消し始めた…
そして矢吹は机の落書きを消しながら僕に言った。
「そんな危ない物使ってやったら、今までの我慢がすべて無駄になる。

運悪く相手を殺したりでもしたら、一生棒に振るぞ!お前のその後の人生台無しに
してしまうほどの相手か? 一生面倒見なければならない傷害を負わせても同じだ。
後で後悔して悔やむのはお前の方だぞ! 相手に取られて、お前が怪我しても損だ。

余計憎しみが深くなる。だから、そんな危ないものは二度と使うな。分かったか!
いいか、お前は頭がいい。もっと努力して頑張って、立派になって、
いつかあいつらを見返してやれ!」
0121ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/08(金) 19:11:46.94ID:vS19w5uq
>>120
16行目「ぶっ刺そうと思ったのだ!!」に訂正
0122ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/08(金) 19:43:22.92ID:yyNP57Iy
スターグループをご存知でしたか?
0123ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/08(金) 21:06:23.52ID:vS19w5uq
>>122
知りません。何ですか?
0124ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/09(土) 08:01:11.78ID:7zbW6Lwt
>>120
下から3行目「そんな危ない物を使おうとするな。お前の母ちゃんが悲しむぞ!分かったか!」に訂正
0125ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/09(土) 15:47:59.76ID:7zbW6Lwt
「海よ」

耳元で、しきりに風が鳴っている...
まだ冷たく、たっぷりと潮を含んでいる
波は音を立てて砕け、そして勢いよく退いていく…

白く細かいしぶきが眩しく光る。。。。。。
辺りには人影がなく、広い入り江の波打ち際を低く飛んでいた
カモメが遠くに見える灯台の方へ飛んでいく…

一面に輝いた海が、キラキラと霞んでいるように見える静かな海…
そんな海は色んな顔を見せる。。。
晴れて風もないのに、海岸に大きな波を打ち寄せる。。。

夕暮れ近くになると、斜の光線を受けた静かな海は、
色の褪せた鈍い光沢を放つ...

...遠くに見える灯台......
ずんぐりと黒く、ちょうど鐘をすっぽりと伏せたような形をしている。

日が沈み… 薄い残照の中に青みが流れる...鐘の取っ手の部分にオレンジ色の
ライトが灯り、それがゆっくりと回り始める… 灯台の回る灯りが夕暮れの中、
辺りを照らし始めていた.........

 ...思春期の頃、泣きたい時は、いつも夕暮れの海に向かって語りかけていた...
そんな私も、まだ幼く小さい頃は、夜の海がとても怖かった。

そんな海の声を恐ろしく感じなくなったのは、
いつ頃からだろうか...
0126ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/10(日) 11:28:58.23ID:j3l2+Xpm
「恋文」

教室に行くと座席表が書いてあった。
私の席は廊下側の前から二番目。彼は窓側の一番後ろの席。離れてしまった。
でも、同じクラスでよかった。

クラスになじんできた頃、私と彼はいつも一緒に帰っていた。
元々口数は少ない彼。でも、最近はあまり話したがらないというか、
クラスにいても、もちろん帰り道でも全然話さない。なんで?

その日のメールで「話せなくてゴメン!」ってきた!
私は「ううん、私もだから、気にしないで!」と返した。

それから彼が学校に来る日が少なくなっていった。
誰に聞いても理由が分からなかった。
でも、毎日メールをした。理由を聞いても風邪としか言わなかった。

ある日、彼の友人が私に言った。「あいつ、癌で入院しているよ」
それを聞いて私は驚き泣き崩れた。泣いた。声を上げて泣いた。
何故、私に本当のことを言ってくれなかったのか...

お見舞いに行こうと思った。でも、友人の話だと、彼は私に会いたくないらしい。
癌の抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け、私に見られたくないらしい。
それでも私は毎日メールをした。一回だけ来たメールが  …「アリガトウ」… それだけだった。
それ以降、メールの返事は来なかった...

後で振り返ると、このメールが彼とのやり取りの最後の言葉になったのだった...
何もしてあげられないもどかしさから、ただ、学校で起きた一日を彼に送り続けた。
そして良くなることを願った。

ある日、先生が言った。
「文化祭が終わってから、4日後に亡くなった」と。
初めて知った。ちょっと具合が悪くなったと言う話を私達は聞いていただけに
周りの友達はみんな泣いていた。

家に帰ったら一通の手紙が届いていた。消印は文化祭の次の日。
母に問い詰めたら、「今日届いたのよ」と母は言った。
私は手紙を握りしめて自分の部屋に走った。
ベットの上に座り、手紙を読んだ。

「マミヘ この手紙は、文化祭が終わって三週間後に届けられるようにしてあるんだ。
これを読んでいる時は、俺は、もう、この世にはいないかな。マミにはたくさん謝ん
なきゃいけないことがある。学校で喋れなかったし、一緒に帰る時も話せなかった。

今、俺すごく怖い。いつ死ぬかわからない。でも、これだけは言っておく、
マミ、好きだよ。君が大好きだ! だから俺を忘れて、素敵な恋をしてください。
 今まで、ありがとう」
0127ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/11(月) 14:15:12.01ID:HSLyvgs6
「た・わ・わ」

今日も元気に揺れてるおっぱい! 男なら誰しも好きなオッパイ!!
今日も俺は放課後の教室の窓から… それを眺めていた...

そう、俺のいる二年三組の教室の窓からは、ちょうどグラウンドが見える。
そこで陸上部の女子たちが元気いっぱいに練習していた。

彼女たちはTシャツに短パンという薄着で、跳んだり走ったりを繰り返している。
そしてその動きに合わせてTシャツの下で揺れるおっぱい…
なんて素晴らしい眺めなんだ! ひとりニヤニヤしながらグラウンドの女子を見ていたら、

 " バシッ! "  いきなり教科書で叩かれた! 振り向くとユキだった。
「お前! いきなり何なんだよ?! びっくりしたな、脅かすなよ!」
「何って、マナブが陸上部の女子をいやらしい目で見ていたから、からかいに来たに決まってるじゃん!」

「別に、変な目で見てたわけじゃないぜ。運動部の連中、今日も頑張ってるなぁ〜 そんな感じ…」
「嘘、ウソつけ! 顔がゆるゆるだったぞ!」ユキは後ろから手を伸ばし、俺のほっぺをいきなりつまむ!
「ウッせーな! 俺が、いつどこで何をしようと、どんな顔しようと、お前には関係ねぇーだろ!」
「あるよ」「えー!」…背中に当たる胸のふくらみ… この感触 …

「こうしてマナブの背中に当たっているでしょ。私のおっぱい」と言いながら、ユキは更に俺の背中に
胸を押し付けて来た… おおう・・・おっぱいが、おっぱいが俺の背中に当たる!!

「陸上部の女子のおっぱいを見ていたでしょ」「え、あぁ… はい」「おっぱい好きでしょ」「あ… はい」
「もっとおっぱいを感じたいでしょ」ゴツン! 痛っ!!  ーーー " 目が覚める " ーーー

電車の座席端に座って眠り込んだ為、座席端のポール(握り棒)に頭が当たり目が覚めた!
ーーー ガタンコトン、ガタンコトン轟音が鳴り響く ーーー 変な夢を見た。
......... 俺は久しぶりに旧友たちと飲んだ帰りだった。

無茶な飲み方をしたせいか、睡魔に襲われコクリコクリと舟をこいでいたのだった...
......こんな夢を見たのも、旧友達とこんな会話からだった...

「お前、ユキちゃんのおっぱいに転がったんだって(笑)」ワハハハ あははははとみんなが笑う…
「まったく、おっぱいってのは罪づくりなもんだ。おっぱいに惑わされ、ハメたつもりが、ハメられて、
ガキが出来たら、カアチャンというなんていう違う生き物になって、男の稼ぎを全部持っていっちまう(笑)」
おっぱいは、実は人類史上最強の生物兵器じゃないかと・・・」ワハハハハハハ・・・ 
0128ジョン・スミス
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2022/04/11(月) 20:04:57.24ID:3cYLGYCw
スターグループなら全国に系列店があるから安心
0129ジョン・スミス
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2022/04/12(火) 15:50:52.22ID:RK+Tyt4N
「フォーチュン・クッキー」

頭が痛くて痛くて、明るいうちから
布団に入って朦朧としていた...
4歳の娘、完全放置。

ご飯も買って来た納豆巻きをテーブルに置いただけ。
「ママね、おくちあけてね! いっこだけでもね。たべたらね、げんきになるんだよー」と
言いながら、ちょっとお醤油をつけた納豆巻きを私の口に入れて言った娘。

ちゃんと歯を磨いて、パジャマに着替えて、居間の電気を消してから、
「よーし、めぐもいっしょにねてあげるからね!」と潜り込んできた娘。

「なっとうまき、まだのこしてあるからね。あとでおきたら、きっと、
おなかすいているから、たべるんだよ!」と言って眠りにつく娘。

夜中、少しは良くなって回復してきたので起きたら、テーブルの上に納豆巻きがない。
あちこち探してみたら・・・
冷蔵庫の野菜室の中に、輪ゴムでぷきっちょに封をした納豆巻きのパックがあった。

大型冷蔵庫に最近買い替えたばかりで、普通の冷凍室には、手が届かなくなったから、
何処に仕舞ったらいいか娘が一生懸命考えている様子を想像したら・・・ちょっと、ウルっときた。

今朝、目覚めて最初に「ママ、もう、あたまいたくないの?」
「もう、大丈夫よ!」「わぁあ、よかった! げんきになって!」

「ママ、ママ、こんなのでてきた! これなんて、かいてあるの?」と娘。
昨日、娘と行ったディズニーランドで買って来たフォーチュン・クッキー。

そんなクッキーを最初に開けて食べた甘菓子から出て来た紙を持ってきた娘。

-「これ!」- と娘が持ってきた紙を見ると、
      ーーー { Happiness brings by your daughter } ーーー
0130ジョン・スミス
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2022/04/12(火) 16:04:08.36ID:RK+Tyt4N
>>129
6行目「私の口に入れて居間の方へ走っていった娘。」に訂正
0131ジョン・スミス
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2022/04/13(水) 15:44:53.61ID:uTgerIF0
「木曜の夜」

その人の顔を見れば、良く知っているはずなのに...一体、誰だったのか、
まるで思い出せない...。

休日なので、私は化粧もほとんどしないまま、ラフな格好で近所のスーパーに
買い物に来ていた。誰だったか、誰なのか… 思い出せないまま・・・
色々考えたが、中々思い当たる人はいなかった。それでも、何とか思い出そうと

考え込んでいたら「まみ! ちょっと前見て!」とレジの列が進んでいるのを注意された。
今日は、仲の良い友人とスーパーに買い物に付き合っていたのだった。
私が気になっていたその人は、隣のレジに並んでいた。

「どうしたの? 誰か知っている人でも居たの?」
私がその若い男性を、ジッと見ていたことに、気づいた仲の良い友人めぐが聞いてきた。
「ううん、何でもないわ。ちょっとね」私はなんだか、照れ臭くなって慌てて首を振った。

…それにしても、一体、誰だっけ? もしかして、知り合いに似ているだけで、
実は別人なのだろうか… あるいは、どこか芸能人に似ていて、それで知っているような
気がするだけなのかもしれない… それとも、本当にテレビに出ているタレントだったりして…

だけど、そんな感じでもないな… 絶対に知っている人だ! どこかで、会ったことがあるのは確か。
それがどこなのか、全く思い出すことが出来ない… 私はめぐに気づかれてしまうのが恥ずかしくて
あまりじろじろと見つめる訳にもいかなくなった。今度は横目を使って、こっそりと確かめる。

買った商品を、レジ袋に入れながらも考え続けていたら、卵のパックを一番下に入れそうになって、
又、めぐから注意されてしまった。結局、店を出るまでに、それが誰だったのか思い出すことは出来なかった。
それに向こうは、私のことなど、まるで気にもしていないようだった。知り合いだと思ったんだけど、

やっぱり、気のせいなのかな… 「ハンサムな人だったね。まみは、ああいう人がタイプなんだぁ〜」と
いきなりめぐから言わて、私は " ドキッ " とした! 私の視線と態度でめぐは気づいていたのだった。

冷やかすように、そう言われると、そんなつもりは全然なかったのに、私は自分でも、
耳まで赤くなっているのが分かった。「何言ってんのよ。そんなわけないでしょ!」

「ああぁ、卵が割れちゃう… ごめんごめん、冗談よ!」照れ隠しに私が、
買い物袋を乱暴に振り回すと、めぐは慌てて謝ったが、その声は何処か楽し気に聞こえる。

- 仕事帰りの駅のプラットフォーム - プラットフォームの時計を見上げると、夜11時だった。
木曜の夜11時半、  " 突然、私の脳裏に浮かんだ!"  そうだったか、あの人だった!

昨日のスーパーで見かけて気になっていたひと。引っかかっていた疑問が、突然解けると、
実にスッキリした気分になった。いつも仕事帰りのスーツ姿しか見たことがなかった。
あんなラフな格好の姿が記憶と結びつかなかったのだった...。

分かってしまえば、本当にあっけない。あれは… いつだったか、木曜の夜11時半、
駅のプラットフォームのベンチに腰掛けていた私に、声をかけてくれて、一度だけ
お話した人だった。すっかり忘れていた。顔もうろ覚え。でも、会話してて、
その時は、楽しかったし息の合う人だった。でも、それっきりだった。

偶然、たった一度しか、会ってお話しか、したことなかった彼...
......何故か、不思議と、心に引っ掛かり気になっていたひと。
0132ジョン・スミス
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2022/04/13(水) 15:57:43.87ID:uTgerIF0
>>131
下から11行目「夜11時半だった。」に訂正
0133ジョン・スミス
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2022/04/15(金) 11:42:44.86ID:FzfVrjPx
「熱病」

私は昼休みによく屋上でお昼にする。ここはほとんど誰も来ない。
いわゆる穴場スポットと言うやつだ。ただ一人を省いては...「やっぱり居た!」
私が屋上のドアを開けると、前髪がうっとうしい男の子がこっちを向く。

私は彼のもとへ歩いていく。「よう!太田!! 元気か!」
彼の名前を呼びながら、私は彼の横に腰を掛ける「ここで飯食っていいか?」
私はパンを右手に、そう聞くと、彼は無言のまま頷く。

私は「ありがとうよ!」と許可を貰うと、パンの封を開けて口へと運ぶ。
私がパンを食べていると、彼は弁当箱を取り出して蓋を開ける。

私は彼の弁当箱の中身を " 覗き込む! " 
そこには栄養バランスを考えた中身が綺麗に並べられていた。
私は「いつもながら、本当に愛情こもった弁当だよな」と彼に話しかけるが、
彼は返事もなく、お弁当を食べ始める。

「それ、太田のお母さんが作っているのか?」と私は彼の顔に近づけて話しかける。
彼は首を横に振る。「まさか、太田?! お前が作っているんか?!」
彼は無言のまま頷く。!!「すげーな! お前! 私なんか、卵焼きも、ろくに出来ねーのによ!」
私の話を聞いてか、彼の口元が少し緩んだ気がした。

これを機にと、私は恐る恐る口を開く「なあ、ちょっと、ちよっとだけ、貰ってもいいか?
ちょっと待って! 私! 箸、持ってないわ!!」私のその言葉に、彼は手を止める。
暫くして、彼は箸を自分の口に持っていこうとすると、私は、とっさに彼の手を掴む!

「太田! その、ごめん!」と私は我慢できずに、彼が持っている箸に向かって、自分の口を
持っていき、そのまま食べた!「う、うっま! … ご、こめんな?」…
 … 私は自分の顔が赤くなっているのに気づき、目を背ける …

...暫く無言が続く... 私は立ち上がって「なんか、ほんとごめんな。でも、美味しかったよ。アリガト」
「あ、あの...別にイヤとかじゃなかったから。その...」と彼が言葉に詰まった時、一瞬、
不意に風が吹き、前髪が顔にかかり、うっとうしい。

私は「うん、やっぱりお前、髪切った方がいいよ!」と彼が髪を整える姿に笑いながら
「また明日な!」と一言だけ残して私は屋上を後に教室に帰っていく。
ー 何か、不思議と彼にドキドキする自分がいた ーーーーーーーーー
0134ジョン・スミス
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2022/04/15(金) 11:57:39.44ID:FzfVrjPx
>>133
初めに
「私は上が厳しい兄で、下がやんちゃな弟の男兄弟二人に挟まれて育った為、
幼い頃から、おてんばな男勝りな性格になった。」追加
0135ジョン・スミス
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2022/04/15(金) 12:09:42.87ID:FzfVrjPx
>>133
下から8行目「… ご、ごめんな!」… に訂正
0136ジョン・スミス
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2022/04/16(土) 10:45:42.69ID:JN3AlxnM
「風の笛」

私は継母。一緒に住むようになって一年が過ぎました...
息子は、なかなかお母さんと言ってくれない。

つい最近、あなたはお母さんではないからねと息子から突き付けられることになる。
家族で夕食を食べている時、不意に息子が「お母さんはさ…」と亡くなったお母さんの
話をしだした。亡くなったお母さんの話をしてほしくないと全く思っていなかったので、

私は構わなかったけど、夫が焦って、食事の後で「ごめんね。まだ子供の言う事だから
気にしないでくれ」と言って謝ってくれた。

...何気なく結婚して間もない頃、夫に言われたことを思い出した.........
この結婚に賛成してくれた息子だけど、息子曰はく「俺のお母さんは、俺を産んでくれた
お母さん一人だけだから」と言われたと...... 

「でも、気にしないでくれ、子供の言うことだから... 君なら息子の気持ちを変えられると思っている。
心配していない」と最後には夫が慰めてくれたが.........

確かにそれは凄く当たり前に聞こえたし、私の心は納得したけど、胸の奥に何かが突き刺さっていた...
純粋な分だけ、当たり前だと思えるだけに、突き付けられた変えようのない事実として時々私をざわつかせた。
息子が言ったその言葉を夫から伝え聞いた時は、「うん、それはそうだね」と頷いたけど、
心の中では多分、随分ザワザワしていたんだと思う...

その場では平常心を装っていたが、お風呂に入っていたら涙があふれ出た...
一人になったら泣いていた.........

そんな折、息子が最近、泥まみれで帰ってくることがあった...
「何があったの!?」と尋ねでも、何も答えてくれず、すぐ風呂場に行く。

一緒に帰宅した娘が私に・・・
「お母さん、お兄ちゃんね。いじめっ子に、お前の母ちゃん! まま母なんだろ!
本当の母ちゃんじゃないんだろ!」と五人組のいじめっ子にいじめられていたと...

それで泣きながら、お兄ちゃんは
「お母さんは、お母さんはな、、、お母さんは俺のお母さんだ! 世界一のお母さんだぞ!!
文句あるか! この野郎!!!」と、取っ組み合いの喧嘩をしてきたんだと言う事を知った・・・

 ・・・ 言葉が出ない ・・・ 
「お母さん! ・・・実はね、お兄ちゃんから、口止めされているの・・・お母さんに、言っちゃダメって!」
0137ジョン・スミス
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2022/04/17(日) 10:07:32.61ID:c1ZMnEnS
「たかが愛」

「ありがとう… 光栄だな。関口さんにお酌してもらえるなんて...」
「関西支社に行っても、お体に気をつけて頑張ってください」「ありがとう」

休日を利用してデートしていた。彼は明るく、話もうまく、むしろ私なんか興味を
持たなくとも女性はいくらでも他にいるだろうと思っていた...

家に連れて行き、父に引き合わせたこともあった。父も彼を気に入ってくれた。
多分、結婚してもいいと思ってくれていたと思う...でも、私は...。
「みわさん! 一体、どうしたんだ?! 説明してくれ! 一つだけ聞かせてくれ!
俺のどこが、気に入らなかった?!」…「...ごめんなさい... さようなら...」

… ごめんなさい... これでいいんだ… 私が諦めればいいだけなのだから…
 
ー 帰宅 ー 私「ただいま」父「おかえり」- 私は決して父に悲しげな顔を見せたことは無かった...。
母が出て行ってから、シングルファザーの男で一つで、育ててくれた父が脳梗塞で倒れてから...
後遺症が残りリハビリ中の父を一人には私には出来なかったのだ。彼には、私の父の事を理由にはしたくなかった。
私が我慢すればいいこと。たかが愛じゃないか。悩んだ末、私が決めたことだもの.........

「みわ」「あ、お父さん! 遅くなって、ごめんね! これから作るね」
「前野君、大阪に転勤するそうじゃないか」「え! … お父さん! どうして、そんなこと知ってるの?!
そうか、前野君ね… お父さんの所に言ってくるなんて、男らしくない人だわ」

「みわ… 」「何、お父さん?」「...あの時の、お前の顔、今も忘れないよ」「いつの時の?!」
「お前が、前野君を連れて来て、私に紹介してくれた時の顔だよ」「だ、誰だって、恥ずかしいものよ。
付き合っている男性を親に紹介する時は...」「恥ずかしがっていると言うんじゃなくて、何か、

ほっとした顔をしていた。穏やかで、実にいい顔だった...あんな、お前の顔を見たのは、
あの時以来だったな...」「あの時?!」「私が仕事の都合で早く帰れた時だ。雨が降っていて、
お前は、まだ小学生で雨の中を走って帰る途中だった...そんなお前を傘に入れ、雨宿りした

甘味屋で見せた時の顔だ・・・『美味しいか?』と私が聞いたら、『うん!』とお前が答えた。
その時のお前の嬉しそうな顔...」「...そ、それは、お父さんと久しぶりに散歩したからよ」

 ー「みわ... 彼の傘に入ってみるのも… 悪くないと思うなぁ〜 私のことなど心配しなくていい」
「お父さん! ・・・ うん!」ー たかが愛と諦めかけていただけに...捨ててしまえない… たかが愛
彼も同じ気持ちだったことを父から知る ...涙が止まらなかった...... 
0138ジョン・スミス
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2022/04/17(日) 10:15:17.45ID:c1ZMnEnS
>>137
12行目「父を一人にすることは私には出来ない…」に訂正
0139ジョン・スミス
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2022/04/18(月) 08:27:01.48ID:21JT9kJF
「友情」

「俺、戸塚っていうんだ! よろしくな。まだ17歳か、若いんだな。アハハハ。
この部屋の半分、使っていいからよッ! 遠慮なんかするなよ。一応、俺が先輩だけど、
一緒に働く仲間だから上下関係ナシで行こうぜ! アハハハ」
僕は引っ越しサービスの運送業に就職した。

「おお、着いたよ。それにしても豪邸だね。さてと、一仕事だ! ケンちゃん」「はい!」
「気を付けてくださいよ! この大理石のテーブルは、わざわざイタリアから取り寄せた
ものなのよ。入口も気をつけてね。そのドアは、ノルウェーで作らせたものですから」と奥さんの声。

「ご苦労さん、ご苦労さん」と旦那さんの声に、奥さんが「あなた、この方々にイチイチお礼を
言う事なんかありませんよ。これが、お仕事なんですから、ね! 運送屋さん」「は、はい!」と
言って旦那さんの顔を一瞬見ると、ー " 赤瀬だ!" ー 重いタンスを持ち上げている時だった!

ズルッ!「ケンちゃん! 力を抜くな!!」ギグッ!! ぎゃっ!! 「あ痛ッ! あ痛たたたた…」
「戸塚さん!! すみません!!」「大丈夫、家具に傷つけていないでしょうね。傷つけたら弁償して
もらうわよ!」と奥さん。その後、一応一通り仕事をこなし帰宅した。戸塚さんは、ぎっくり腰で、
病院に入院することになった。

「すいません! 僕が不注意だった為に・・・ 申し訳ありませんでした」「気にするなって、
大丈夫、これくらいなんでもないって。それに俺、四十半ばだし、今までの無理が祟っているのよ。
でも、どうしたわけ? ケンちゃん、あそこのオヤジ見て急に驚いて力が抜けちゃったみたいだったけど…」

「え、ええ」「知っているのか?!」「知っていると言うより、忘れようとしても、忘れられない男です。
あいつの為に、姉ちゃんは死んじゃったもんだし、僕だって故郷も出ることなかったんです。
ちょうど五年以上も前のことです…」...あの男は突然、僕たちの山小屋にやって来ました...

「酷いもんだ!」と赤瀬。「先生! 問題ありますよね。留蔵じいさんは、別に悪気で子供たちの
面倒見ているわけじゃないんですが…」と同行した役場の助役。「あたりめえだ。オラはただ、
親に捨てられて不憫に思って世話しているだけだ。好きでやっているわけじゃねぇ。
ひでえ、親になると、ここの噂聞いて、入り口に、ほっぽとくのもいるんだ!」と留蔵じいさん。

「我々役場としても、決して、ほっといたわけではありません! 前々から、何とかせないかんと
思っていましたが、いかんせん予算がない為、こんな状態でして」と助役。
「助役、私が、人肌、脱ぎましょう。この子たちを見た以上、ほっておけません! ただし、
私に任せていただきたい」と赤瀬。「留蔵! おめえからも、お願いしねぇか!」と助役が言う。

「だって、おらぁ、別にっ!」と留蔵じいさん。- 当時、赤瀬金一は売り出し中の教育評論家だった。-
この男が何をしょうとしているのか!?、留蔵じいさんも、僕ら身寄りのない子供達もわからなかった...

留蔵じいさんは山小屋をやり、親に捨てられた子供達の面倒を見てくれていた。ある意味では、
自分たちを捨てた親以上に、家族として自然に生活していたのかもしれない。赤瀬は、月に、二、三度、
知らない人たちを連れて来ては、僕たちに一切関わらずに帰っていくだけだった...。

それがテレビ局の人達で、全国放送されていたのだった。赤瀬はTVの前で「社会の矛盾、教育の矛盾が、
この子たちにも表れていると言う事です! 綺麗ごとや卓上の空論ではなく、私のように自らも、
身を汚さなければ、教育なんか出来るものではありません! この子たちは、私の生きた教育論に

則って生活しています。見てください! みんな、いい表情をしているでしよう! 私は、
この子供達の生き生きした顔を見るだけで満足なんです!! 私財を投げうってやっていることに
一度たりとも悔やんだことなどないのです。私はね、こういうものを全国に作りたい! 

教育を通した愛と[友情]の輪をどんどん広げていきたいと思っているんです」と赤瀬はTVで、
さも全て自分がして来た手柄のように言っていたんです。そして僕たちを紹介したTVを通して
全国から集まった寄付などの善意のお金を着服していたらしいんです。三年前、留蔵じいさんが
亡くなる前に僕たち子どもたちの前で言ったことがあるんです。

「あの男からは一文も、貰っちゃいねぇ。あいつに、会っても絶対に頭なんか下げるこたぁねぇ。
愛も[友情]も形じゃねぇ・・・カタチじゃねぇべぇ」って.........
0140ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/18(月) 20:07:17.21ID:21JT9kJF
>>139
下から3行目「僕ら、子供達の前で言ったことがあるんです。」に訂正
0141ジョン・スミス
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2022/04/19(火) 10:24:36.67ID:I1SRcJF2
「成人時代」前編

あの時、俺は出勤中の電車の中にいた。今日は女房が家から出て行く日だった...
朝早くから、スーツケースに衣装を詰め込んでいた...今思えば...

結婚して、六年間...大過なくやってきたつもりだったが・・・
どういう訳か出て行くと言う...分からないと、考えている時だった...

― !!! " ガシャン! " !!! ー 「おい! 何が、起こったんだ!?」
「事故らしいぞ!!!」 ― " 電車内で乗客が騒ぎ出した!! " ―
ー 只今、踏切で事故が発生した模様です。事故の状況が、判明するまで、そのまま、暫くの間、お待ちください ー

- 冗談じゃない! 今朝の会議には、俺の将来がかかっているんだ! -
俺は慌てて電車を降り、急いで隣の駅まで行けば、何とかなるんじゃないか… 
電車が折り返して、運転されるはずと思い… とにかく懸命に隣駅まで、走りに走った! …

 …隣駅に着き、急いで駅員に聞くと、「事故の詳しい内容や、架線等への影響も全くつかめていない状況なんです。
折り返し運転までは、多少、時間はかかると思います」と言う。

「冗談じゃない! 今朝は絶対に遅れては、いけない用事があるんだ!」と俺が言うと、
「まもなく武蔵野西線まで、バスによる振り替え輸送を行う予定です。そちらの線を
利用されたらどうですか、」と駅員が言った。なんとか、時間内に会社に滑り込めるか、
一応、電話をしておくべきだな… 今と違って携帯、スマホのない時代だった...

 振り替え輸送のバスに並んでいた俺は「すみません! 電話して、すぐに戻りますので、
この場所を取っておいてもらえますか?」とすぐ後ろの女性に言うと「ええ」と女性が答えた。
早速、公衆電話ボックスに駆け込み、会社に電話をしょうとするが、いや、待て! 電話は、

やめた方がいい、会議は定刻より多分、遅れると思う… 多少の遅刻ならごまかせる。まして今日の
会議で、提出する計画書は重役達にも、かなりインパクトを与えるはず、態々、遅刻するなんて、
電話を入れるのは得策じゃない… と思い直し、「どうもすみませんでした」と

並んでいた列に戻ると、「ずるいことはやめてもらおう!」と割り込んできたと勘違いした年配の
男性から言われた。「いや、違うんです! 私は最初から、この女性の前に並んでいたんです。
場所を取ってもらっていたんです」と言うと、その年配の男性は「あんたのことは知らん!

後ろに並びなさい!」と言うので「何とか、言ってくださいよ」と列の場所を頼んだ女性に
言ったら「私は知りません」と言われてしまった。結局、仕方なく列の最後尾に並ぶ羽目になった。

- " 待てよ ! " - もう折り返し運転が始まっているかもと、その場を離れ、また駅の方まで走る… 
…駅に着くと…「只今、運転を見合わせています」の放送が流れていた... 
ちょっと、女房のことが気になり、家に電話をするが、通じない… 一体、俺の何が、不満なんだ!

一生懸命、働いて来たし、同期じゃ、トップを走っている… 郊外とはいえ、四十坪の土地と家を
持ち年収740万だ。俺の歳では悪くはない。いや、サラリーマンの一般の水準より、
稼いでいる方じゃないのか… 
0142ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/19(火) 11:09:46.76ID:I1SRcJF2
「成人世代」後編

もう、時間は9:30になっていた。こりゃマズイ! とにかく会社に電話をしなければ、
「企画開発一課の吉沢です。至急、第二会議室の酒井課長に繋いでください!」
こんなことなら、連絡だけは先にしておくべきだった。

「あ、酒井課長ですか? 吉沢です!」「バカ者!! 君は、今朝の会議の重要性が、
分かっているのか?! 役員の方々も、とっくに着いておる!」「申し訳古材ません!
実は、電車事故がありまして...」「言い訳はいい! どんな状況であろうと、
直ぐに来い!! 私は君みたいな部下を持って情けない。とにかく早く来なさい!」

「・・・」「吉沢君! 聞いているか?!」「…私にも、自尊心はあります。この
十年間、昼夜の区別なく働いて来て、たった一度の踏切事故の為の遅刻で、私を
評価すると言うんですか?! …たった一度のミスの為に、ご自分の評価が下がった
為に、部下を無能呼ばわりするんですか?!」「とにかく、来てから話し合おう。

会社に向かっているんだろう?! 今、どこかね?」「...踏切近くにいます…」
「事故があったと言う踏切か!? とにかく、早く来なさい!!!」「...今日は、
休みます。何か、...馬鹿なことして、無意味に時を、過ごしてみたくなりました…」
と言い残し電話を切った。 ...これで、俺の出世は事実上終わった...

...考えてみれば、くだらない時間の過ごし方さえ、分からない人間になっていた...
自分の出世は、世間並みか… 貯蓄は、平均に達しているか… 家は、持っているか…
まるで、心の貧しさを、比べているような幸せ競争に、取り憑かれてきた全てが…
一番くだらない時間だった.........

「踏切事故で、子供が亡くなったらしいわ」「可哀想にね...」と近くの主婦たちが話をしていた。
踏切事故で亡くなったのは子供なのか... 俺も、2年前に子供を亡くしていた...
近くの花屋に行き、花を選んでいると「どなたかのお見舞いですか?」と聞かれたので、

「今日、踏切で亡くなったお子さんに、せめてもの花でもと思いまして...」
「あの子は、可哀想な子でしてね。両親が共稼ぎでね。 いつも一人で、この辺で三輪車で遊んで
いたんですよ」「そうですか…」 ...事故現場に行き、花を供え、手を合わせる...

そうか、今日という日を体験できたのは、とっても有意義だったんだ...
今日初めて、自分を顧みることが出来た。自分の人生を冷静に考える気持ちを
持つことが出来た......

…電車が通り過ぎ… 遮断機が上がると、 " 目の前には、女房がいた! "
「…ごめんなさい... また、戻って来ちゃった!」…「とにかく、どこかで、夕食でも食うか、」
0143ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/19(火) 11:16:09.51ID:I1SRcJF2
>>142
5行目「申し訳ございません!」に訂正
0144ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/19(火) 11:26:48.11ID:I1SRcJF2
>>141
「成人世代」
タイトル間違い訂正
0145ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/20(水) 13:00:29.57ID:CYbZhml9
「狼になりたい」

不適切発言で常務解任と何かと世間を賑わしている吉野家だが、
僕の吉野家デビューは五つの頃でした...

ある冬の朝、親父と漁港で、未だ暗いうちから釣りをしていた。早朝の五時半ごろだったかな、
海風が強い日だった。キンキンに冷えていた。こりゃー無理だって! 話になって、さっさと
片付けていたら、親父が「ケンボー! 吉野家に行くぞ!」って。僕はキン肉マンでしか、
吉野家を知らなくて、親父が連れて行ってくれるんで、それはもう嬉しかったのを覚えている。

近所に吉野家がないから、港から十五分くらい車を走らせる。ちょうど今の時期、海の向こう側に
少しだけオレンジの明かりが見える頃。結露に滲む朝焼けの空気とその重さ。今思えば、僕が子供の頃の
空気は、もっと密度が濃かった気がする。夜明け前の薄暗くてガラガラの道を親父は車を走らせる…

遠くに煌々と光るオレンジ色の看板が見える… そう、それが吉野家だった。片田舎のロードサイドの
吉野家の明かりは、なんか独特の頼もしさがあった。駐車場に車を止め、親父と連れだって入店。

90年代前半の吉野家の空気感は、今みたいなファミリー感はない。大人の男が、黙々と、ただ食うだけの
場所という感じ… 家族席なんてない! U字型のカウンターで、前に小さい埋め込み型の冷蔵庫。
そこにサラダと御新香が冷えている。椅子も、子供なんか一切想定していない高さ。五歳児の僕では座れなかった。

それで僕は親父に抱き抱えられて席に着いた。ちょうど、向かいの席では、近所の漁師さん二人組が、
一仕事を終えて、牛皿とビールを飲んでいた。もう、それは大人の世界そのものだった...

目が合うと、一瞬、" ギロッ " と睨まれたような記憶がある。今思えば、あの時間に幼い子供が来るのが
珍しかっただけだと思う… 子供ながらに " 緊張 " しながら座っていると、親父が「ケンボーは、何にする?」て、
聞いてくる。メニューなんか知らない… で、困った顔して、確か分からないみたいなことを親父に伝えたと思う… 

すると親父が店員にこう伝えた「ギュウドンツユダクダクタマゴトオシンコ、アト、ギュウシャケゴハンダイ」
店員は目の前の冷蔵庫からお新香を取り出して、僕の前に置いた。僕は牛丼を食べる前に、これを食べないと
駄目なのかな?と思ったのを覚えている。僕の目の前に牛丼と卵が! 親父の前に牛鮭定食が差し出された。

どう食えばいいのか、迷っていたら、親父が「一番、旨い食い方を教えてやる!」と言って卵を溶き始めた。
「ほら、一口食って、卵入れる穴を作れ」そう言われて、一口食って " たまげた! " こんなにも旨いもんある?! " 
ってくらいの旨さ! 痺れるくらいの " 旨さを感じた! " すると、親父が「ほれほれ、スペース、スペース」って
言いながら、卵の穴を掘ってくれて、その穴に卵を流し込んでくれた。温かいご飯とつゆの茶色のコントラストが美しい…

黄金色の溶き卵が注ぎ込まれる。「よし、混ぜろ!」って煽る!親父。それでガシガシとかき混ぜた! 
それにお新香を入れてさらに混ぜて口に放り込んだ! ふわっふわっになったつゆだくの卵ごはん!
甘っ辛くて炊かれた牛の旨さと玉ねぎのコク。そして、お新香のさっぱり感が混然一体となった!
旨すぎて無我夢中に食べた! 五歳児なのにペロッとあっという間に一人前を平らげた!!

すると、ふと、親父のものが気になった!「何で、この人は、牛丼屋で鮭を食べているんだ?」と
それで親父に「何で、父さんは、その定食なの?」って、親父は「大人は、これが旨いのさ」と。
そんなもんかーと幼い僕は納得していた時だった.........

 - 向かいの席のオヤジが「ビールはまだかーーーーーーーーー?!」 -
0146ジョン・スミス
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2022/04/21(木) 08:01:56.85ID:t260CkT7
>>145
13行目「U字型のカウンターの内側に小さい埋め込み型の冷蔵庫。」に訂正
0147ジョン・スミス
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2022/04/21(木) 12:10:36.31ID:t260CkT7
「朝焼け」

昨夜から、海の近くのシーサイドホテルに泊まっていた。
私は、繰り返す波の音が気になり… 中々眠りに着けなかった...

普段は、心地よい波の音でも... 今の私には、何故か眠れなかった...

夜が明ける前に、雨で曇った大きな窓ガラスの外を見ると、なんか寒そうだった...
―――――― 一人歩いて海を見に行けば、たどり着く前に凍りそう ――――――

地上で、餌をとっていたカモメたちの何羽かが空に舞い上がり、
小さな群れとなって、グルグルと飛び回っている。そんなグルグルの輪を
描いて飛んでいるカモメたちが、地上にいる仲間たちの上を
かすめるように飛んでいる……

そんな見渡す限りの水平線が、広がるオーシャンビューの部屋から
向こう側に見える赤紫色の雲… 赤く染まった雨上がりの霧の……
朝焼けの海を眺めていた......

あの人は... 今頃は... 例の人と二人......
心も荒んで もう、あの人など 不幸せになれと思う自分がいる。
...昔、読んだ本の中に... こんな日を見かけた...

私はソファに腰掛けた。正面の大きな窓から、真っすぐに陽が射してきて、
久しぶりに浴びる、早朝の光は傷心の身体中に染みてくるようだった...
0148ジョン・スミス
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2022/04/22(金) 10:52:11.04ID:Wp9luPIF
「踊り明かそう」

昭和○○年...
今日は東京へ旅立つ日。俺はホームに立ち、列車が来るのを待っていた...
荷物は既に送ってあるから、背中に背負ったリュックだけ。中々気分が晴れない。
何故なら、隣に見送りにやって来たマミがいて暗い表情をしていたからだった...

しかも今日は顔を合わせた時からずっと、何も喋らず雰囲気も暗い。いつもなら、
太陽みたく明るくて、バカみたいに大声張り上げて冗談でも言ってくるのに...

なんか調子が狂う。ハジメ兄ちゃんがいれば、空気は変わるんだろうけど、軽トラで
僕たちを駅まで送ったら、さっさと帰っちまった。

気を遣って二人きりにしてくれたんだろうけど、俺としては居心地が悪くて
「マミ、退屈なら家に帰っていいんだぞ!? ここまで見送りに来てくれてありがとうな」
「・・・」… やっぱり反応がない … 口を固く閉じたまま。視線を地面に向けたまま。

離れて暮らすことになって、寂しいのは分かる。やがて遠くから列車の音が聞こえて来た。
それはあっという間に、大きくなってホームに到着する。「じゃ、俺は行くからな! これでサヨナラだ」
俺が列車に歩み寄ろうとした " 瞬間 " 、俺は背中から抱きつかれて、前に進めなくなった!

温かさと柔らかな感触、…そして小刻みな震え… 手には強い力が入っていて、引き離すことが
出来ない!「行っちゃー やだぁああああぁーーっ!! 行かないでよおぉぉぉお!!!」
後ろから、泣き叫ぶマミの声が聞こえて来た! まるで子供みたいに激しく泣いてしがみ付く!

当然、列車の運転手さんは " 目を白黒 " させながら、こちらを見ている!
「バ、バカっ! 恥ずかしいことするなよ! 早く手を放せ! 列車に乗れないって!」
「なんで、東京になんて行くんだよぉっ! ハジメ兄ちゃん見たく役場に勤めなよ!」

その間にも、列車の運転手さんはこっちを見て、ドアを閉めるのを待ってくれている。
「俺の将来の選択幅を広げる為にな! じゃあな! 列車の運転手さんが困っているだろ!」と

俺はマミの手を振りほどいた。マミは俺の頭を小突いたり身体を叩く! そして俺は運転手さんに
手を振り合図を送る… すると、運転手さんは小さく頷き、ドアを閉め切って運転席へ…

 ー 直後に、甲高い汽笛を鳴らし、程なく、列車は駅から発車して行った ――――――
0149ジョン・スミス
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2022/04/22(金) 15:06:30.63ID:Wp9luPIF
>>148
下から6行目「ハジメ兄ちゃんみたく役場に勤めなよ!」に訂正
0150ジョン・スミス
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2022/04/23(土) 08:47:31.50ID:u67MXuvr
「今日以来」

僕の小学校は、有名私立校なんだ。みんなお金持ちの子で、
みんな頭のいい奴ばかりで、車で送迎してもらう子もたくさんいる。
でも、僕は学校が終わると、いつも全力疾走で、家まで帰る…

僕の家は母子家庭で、きっとクラスの中で一番貧しくて...
だから、僕の家が友達にバレるのが、恥ずかしかったのだ。

「ただいま!」「お帰り」黙って喫茶店の中を通り過ぎる…
「正一! お客さんに挨拶くらいしたら?!」「いいんだよ、ママ」
この人は常連客の一人で売れない漫画家の吉岡さん。

「本当に、愛想のない子でしょ」「アハハハハハ」と笑っているのが、
これまた売れない作家の外崎さん。この二人がいつもの常連客。
…常々退屈でつまらない男だと母さんは言っていた。人生に失敗した大人たちだと言っていた…

…夜、僕が寝たのを見計らって 母さんは出て行った… とうとうその夜、母さんは帰ってこなかった...
朝学校に行くと、授業が始まる前に、担任の先生から職員室に呼ばれた! 警察の人が来ていて、
「お母さんから連絡あったら教えてほしい」と言う事だった。刑事さんが「君のお母さんは、
何もしていない。一緒にいる男に騙されているだけなんだ! その男は、会社の金を盗んで逃亡しているんだ」

... ショックだった ... 母さんも、人生に失敗した大人の一人なんだ! ...
授業が終わり、その日の僕は、一目散に走って帰った。走りながら、心の中で… もう、家に帰っても誰もいない…
お店も開いていないんだ...母さんは、僕のこと、なんとも思ってはいなかったんだ.........

 - あれ?! -  …誰もいないはずなのに?… 店に[営業中]の看板がかかっていた...
「お帰り!」- なんと!、そこには母さんと、いつもの常連客の吉岡さんと外崎さんが居た!

話によると、会社の金を横領した男は捕まったらしい。母さんは、その男と逃げるつもりだったが、
僕のことが、どうしても気にかかり引き返したと言う… 思いとどまったと言うのだ!
 … 母さんは、その男が会社の金を横領したことは知らなかったらしい … 

こうやって、常連客と自分の失敗談を話しているお母さんを見るのは初めてだった...
僕のお母さんは、見栄や体裁を繕うのが好きで、お金がないのに、無理して僕を今の有名私立校に入れたのだ。

亡くなった父さんは酒好きで、いつも陽気でチャランポランな性格… 僕はそんな父さんが大好きだった...
そんな父さんがある日、交通事故で亡くなった。葬儀が終わり、僕と母さんの二人きりになった時、
遺影に向かって母さんは、「酔っぱらって、ひき逃げされるなんて最低ですよ! おまけに掛けていた保険を

勝手に解約して小遣いに充てていたなんて、呆れてものが言えません! あなたみたいな人を世間では、
人生の落後者と言うんです」と泣きながら語っていた... そんな母さんが、今、失敗ばかりの人生を、
笑いながら語っている...... そんな母さんが、僕は、ちょっとだけ好きになった...
0151ジョン・スミス
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2022/04/24(日) 08:56:35.31ID:QRnESdPH
「伝説」

「今日の試合のヒーロー! 柴崎選手です。試合を決めたサヨナラホームラン
凄かったですね。今日は母の日。良いプレゼントになりましたね」

「はい! ありがとうございます。いい場面で打てて、結果が残せて嬉しいです。
これからも、しっかりコンディションを整えて良い結果を残して、チームの為に優勝争い
していけるよう頑張りたいと思います!」「今日のヒーロー! 柴崎選手でした」

ヒーローインタビューの壇上から降りた俺は、今日が母の日であることをすっかり忘れていた。
――― 幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を女手一つで育ててくれた。俺は、
比較的遅い時期に生まれた子供だった。これといった学がなかった母は個人商店の手伝いみたいな
仕事で生計を立てていた。それでも当時住んでいた土地は、まだ、人情が残っていたので、
何とか母子二人で質素に暮らしていけた。

娯楽をする余裕なんてなく、日曜日には、クリームパンとコーラをよく買ってくれた。それが楽しみだった。
ある日、母が務め先からプロ野球のチケットを二枚貰って来た。俺は生まれて初めてのプロ野球観戦に興奮し、
その日が来るのがウキウキ待ち遠しく、その日の前日は、なかなか眠れなかった。その日の母はいつもより
少しだけ豪華な弁当を作ってくれて、普段、着なれないハレの日の装いで決めて家を出た。

野球場に着き、チケットを見せて入ろうといると、係員に止められた。母が貰ったのは招待券ではなく、
優待券だった。チケット売り場で一人1000円ずつ払ってチケットを購入しなければならないと言われ、
帰りの電車賃くらいしか、持っていなかった僕らは、外のベンチで弁当を食べて帰ることになった。

電車の中で無言の母に「楽しかったよ!」と言ったら、母は「母ちゃん馬鹿でごめんね。母ちゃん、お前に、
何もしてやれなくて... 本当にごめんね」と言って涙をこぼした。俺は、母に辛い思いをさせた貧乏と無学が、
とことん嫌になって、好きな野球をしながら一生懸命勉強した。新聞奨学生として大学まで進み、いっぱしの
社会人になった。それまでなかなか結果を出せなかった野球が、社会人野球で開花し、それまでの努力が

実を結び、やっと能力が評価され、ドラフト6位でプロの世界に入った。これから母に楽させられると思った。
その翌年に母は亡くなった。働きづめの過労死なのか、死因、脳内出血。あまりにもあっけなく、あまりにも短く、
幸せの少ない女の生涯だった.........

今日、プロに入って6度目のヒーローインタビューを受けた。そんな俺にとっての伝説のヒロインはあなたです!
俺を、この厳しい世界で生きていける一人前の人間に育ててくれた母。あなたが、俺にとっての伝説のヒロイン。
何度も、心の中で... ありがとう...... と言っていた.........
0152ジョン・スミス
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2022/04/25(月) 07:54:33.93ID:6pvyNyEj
「糸」

私は、小さい頃からよく祖父の家に泊まりに行っていました。
本当に優しくて、みんなから頼りにされていて、絶対に辛いとか
愚痴ひとつ言わない人でした。

そんな大好きな爺ちゃんが亡くなった...祖父の病名は肝臓癌。
医師から余命あとわずかであること.........

そのことは、私の親夫婦と叔父夫婦だけに告げられていました。
私達孫と爺ちゃん本人とばあちゃんは何も知らず、3年間は今まで通りの生活をしていたのでした。
しかし、段々と病気が進行し、入退院を繰り返すようになっていました......

検査入院だと、本人や周りに嘘をついていた叔父夫婦や親夫婦は、とても辛かったと思います。
爺ちゃんは、お見舞いに行くたびに決まって「いつ帰れるんだ」と聞いてくるので、

「爺ちゃん、元気になったら、又、みんなで楽しく暮らそうね」と爺ちゃんを見舞った際の
合言葉のようにみんなで励ますように言っていました......

お腹が妊婦さんのように膨れ上がり、ご飯が食べれなく息が苦しそうで寝てるばかりでした。
それでも本人は辛いはずなのに明るく笑っていました。そしてそれが最後の入院になりました。
一週間後、爺ちゃんは息を引き取りました.........

そして爺ちゃんの一周忌が過ぎた頃に、父がおばあちゃんに一通の手紙を渡したんです。
おばあちゃんの心の落ち着きを見計らったように・・・ 衰弱し、震える手で書かれた文字は、
書道で師範格であった祖父。そんなお爺ちゃんが書いたとは、とても思えないほど、
弱々しかったのですが、文面から感じられる優しさと慈しみが祖父。爺ちゃんのそれでした・・・

「おばあちゃん元気ですか? 共に過ごした時間は、長いようで短い六十年でしたね・・・。
あなたに会えたこと。そして子供たちを育ててくれたことに感謝します。僕は幸せ者です。
幸せな人生をありがとう。又、会う機会があれば、また一緒に暮らしたいものです」

 ... 爺ちゃんが書いた最初で最後のラブレター ... 
...それを何度も読み返す、おばあちゃんの背中が震えていました ...
0153ジョン・スミス
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2022/04/26(火) 08:26:19.99ID:1QLp/BYf
「リラの花が咲く頃」

春の訪れを感じる一方で、不安定な陽気だった...
晴れになって青空が出ていても、雲が押し寄せて、
雨がぱらついたり・・・ なんて日が多い...ウィーン。

ウィーンも、かなり広い街だから、自分が今居るところが
青空で晴れていても、遠くに見えるカーレンベルグやウィーンの森界隈の
上空には暗い雲があって、明らかに、そこは雨が降っていることが
確認できることがよくある。

まだまだ厚手の上着を着て、歩いている人を多く見かける。
日中の温度が、12℃前後である日が多いこの時期...
ウィーンの至る所で見かける春を感じる花。ライラック。
ドイツ語ではフリーダー。フランス語でリラ。
モクセイ科、ハシドイ属の落葉樹。原産はバルカン半島。

そうアンナがコソボにいた頃... 家の庭に今の季節になると毎年咲いていた花。
アンナは2008年にセルビアから一方的に独立を宣言したコソボに13年前まで暮らしていた。

コソボは人口約185万人。旧ユーゴスラヴィア連邦セルビア共和国の自治州だったが、
独立を目指して、1998〜99年にセルビア治安部隊と武力闘争を展開、国土は荒廃した。
独立後も経済は低迷。国民の1割が1日1.2ユーロ(約163円)以下で暮らす貧困状態で
失業率は56%に及んでいた。

当時、夫が死別し、幼い子供と乳児を抱えて途方に暮れていたアンナは一大決心し、
子供たちを養うため幼い子供たちを連れ、国外脱出し、セルビアを経由して違法ルートで
ハンガリーに入国した。その後、移民の目的地であるオーストリアのウィーンに移り住んだ。

今でも、暮らしは楽ではないけれど、コソボにいた頃に比べれば、当時、幼かった子供も、
今では親の手を離れ自活していて、アンナの生活にも少しはゆとりが出来ていた。

――― アンナは、この季節、この花を街中で目にするたび、祖国のことに想いを馳せるのであった...
0154ジョン・スミス
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2022/04/27(水) 08:28:27.52ID:8w64ofz/
「孤独の肖像」

薄暗い部屋。空気は淀んでいる。シーツからは、もう落ちることのない煙草の匂いがした。
俺はベットの上で寝返りをうった。身体が普段の倍以上重く感じる.........。

そろそろストックしてあった食料も底をついてきた。新しい食料を仕入れなければならない。
しかし、俺はなかなか外に出る気になれなかった。俺は机の上の煙草に手を伸ばした。
あれほど、吸わないと自分に誓った煙草。禁煙もそう長くは続かなかった...

今の心境は、これ無しではいられない気分だった。きっと、俺の肺は真っ黒になっているのだろう。
煙草に火を点け、肺いっぱいに煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出した.........
.........俺の存在理由って、何だろう?

俺は机から財布を取り出し、財布の中を確認する! 幸い食料と煙草を買う分の金は入っていた。
俺は部屋を出て、アパートから一番近いコンビニへと足を運んだ。

そこで、カップ麺やら、何やらをカゴに放り込んでいく…
そして、それを持ってレジへ向かう。
レジの店員と目を合わせることも無く、カゴを置き、一言。「13番3つ!」
店員は、棚から煙草を3箱持って戻ってくる。俺は無言でパネルを押した。

「あ、あの...」と不意に店員が声をかけてきた。俺は心底、面倒臭そうに顔を上げた。
そこで、目の前に店員と目が合う。若い女の子の店員は、不思議そうな顔を俺に向けて言った!
「正晴君...、だよね?!」と、 ...どこか嬉しそうな声...
俺は、久しぶりに呼ばれた名前に、 " 一瞬、固まった "
しかし、俺は、直ぐに視線を下へと流した…
「人違いです...」

「え、... そ、そうでしたか......。 すみません...」
店員は、か細い声で言った。
...無言のまま... 店員は、バーコードの読み込みを行い、金額を小さな声で言った。
俺は財布から、その金額を取り出した時、慌てたのか無作法に転がしてしまった。
そのまま、ビニール袋を引っ掴むと、足早に店を出ようとした。

「ま、正晴君...」と店員の声に、俺は立ち止った!
「やっぱり! 正晴君だよね...?!」
その不安げな声に、俺は何も言えなかった。
俺は何も言わずに、逃げるようにコンビニを出ようとすると、
「まって! 私よ!! 高校の時、同じクラスだった... 岡崎友理奈」
0155ジョン・スミス
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2022/04/27(水) 08:41:39.53ID:8w64ofz/
>>154
16行目「目の前の店員と目が合う。」に訂正
下から8行目の「そのまま、」の前に
「転がした小銭を拾って、渡した後、」を追加
0156ジョン・スミス
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2022/04/27(水) 08:42:57.51ID:8w64ofz/
>>155
下から8行目ではなく6行目に訂正
0157ジョン・スミス
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2022/04/28(木) 08:05:31.79ID:aeYAOzn7
「悲しみ笑い」

あれは確か、1980年から90年代にかけて日本を沸かせたバブル景気の頃の話だった...
長く付き合っていた彼が亡くなった。バイクに乗っていて車と衝突、即死だった。

私は彼を忘れる為に思い出いっぱい詰まった田舎を後にした。東京に出てからは、
彼を忘れる為に毎晩のようにディスコで踊り狂っていた… 「俺ね、絶対に店長に、
なってみせるよ。そして毎晩あの店を取り仕切るんだ。知っているだろう。
あの店の客筋!?」「すごい人ばかりね! この前も有名人がいっぱいいたもん!」

「そうだろ。見てた! 俺に声かけてくれた人。売れっ子の○○○○だぜ!」「すごい!」
「常連なんだ! 結構俺のこと、可愛がってくれるんだ!」「今、凄く売れてるよね!
この前もTVに出ていたわ!」他人の事なのに、まるで自分たちのことを語るように、
ディスコで働いていた新しい彼。そして私達は付き合い始めた...

この都会で自分を語れば、あまりにも惨めになる。他人の事を自分の事のように錯覚出来る
毎晩の仕組みがここにはあった.........

…そんな日々の中… ある日、田舎から同級生の晴美が悟と一緒に遊びに来た。
三人でディスコに行くことになった。悟「スゲーな! 東京は」私「あ、紹介するわ。
高校の同級生で悟と晴美」彼「俺に声かけなかっただけホメてやるよ」私「!!」
彼「せっかく、ここ一年で築いてきた俺の人間関係、滅茶苦茶にされたら困るじゃん!」

私「ご、ごめんなさい!」悟「よくわからんけど、大袈裟だなぁ〜 あんた!」
彼「分からんでしょうよ! あんたみたいな田舎もんには! ここをどこだと、思ってるわけ、
田舎とは、違うんだぜ! 時間も空間も」悟「要するに、俺が、ここに来たことを
怒っているんですか?」彼「当たり前! ハッキリ言って、あんた! 場違いなわけよ!

ミーコ(私)と一緒じゃなきゃ、とても入店、出来ない人間なんだよ! アンタのその恰好は!」
悟「何をそんなに、怯えているんですか?」彼「怯えているって?! 俺が!? あんたね、
この店のルールというもんがある。知ってる?!」悟「俺は、好きで来たわけじゃない!
こんな虚飾にまみれた子供騙しのカッコつけだけの世界! 一時のブームで終わるよ!必ずね!」

彼「一時のブーム? カッコつけの子供騙しの世界??? あんた! 本気で、そんなこと言っているんか!?
あのな、ここに集まってくる人は、一流の有名人ばかり、誰だって知っている人ばかり、あんたみたいな
田舎丸出しのが居るだけで困るんだよ!店の質が下がるだよ! ここをどこだと思ってんだよ! 
入店チェックの厳しい。かの有名なディスコなんだよ! 本来、あんたは、NGなんだよ!!」

私「私が、無理に誘ったの」彼「どういうつもりなんだ!」と叩かれた!
それを見た悟が「この野郎!!」と彼を殴った! 私「やめて! 喧嘩しないで!!」
店の中で大騒ぎになり、黒服が数人駆け付けて、取り押さえられ店からつまみだされた!

亡くなった彼を忘れようと、遊び歩いた挙句の恋… 別れやすそうな相手を選んで
二度と涙流さないような軽い暮らし続けていくつもりだった...

だって、仕方がないじゃないの… 亡くなったあなたは二度と戻ってこないし…
一人暮らしをするのは辛い… 酒と踊りと歌を覚えて… 暗く輝く街へ出かけた…
そこで覚えた暮らしがいつか生まれながらに思えてくるまで...

田舎での思い出を忘れるつもりだった...あの頃... 今思っても、お笑いだけど…
数人の黒服につまみだされた私達… あの時の私は、惨めさと悲しさで笑うしかなかった...

...だから 笑い続けるだけよ 愛の傷が 癒えるまで 喜びも 悲しみも 忘れ去るまで...
0158ジョン・スミス
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2022/04/28(木) 08:33:34.48ID:aeYAOzn7
>>157
2行目「長く付き合っていた彼に捨てられた... 捨てられたというよりも
逃げられたと言った方がしっくりくるかもしれない......」に訂正
下から8行目「私の前から突然消えた彼を忘れようと、」に訂正
下から6行目「あなたは二度と戻ってこないし…」に訂正
0159ジョン・スミス
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2022/04/28(木) 08:44:12.20ID:aeYAOzn7
>>157
3行目の「私は彼を忘れる為に」の前に
「そして彼を待ち続けたけど、彼は帰ってくることは無かった。」追加
0160ジョン・スミス
垢版 |
2022/04/28(木) 09:06:37.81ID:aeYAOzn7
>>157
下から2行目「数人の黒服につまみだされた私達… あの時の私は、」を消去
「色んなことがあった私の人生...惨めさと悲しさで笑うしかなかった...」に訂正
0161ジョン・スミス
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2022/04/28(木) 09:17:54.99ID:aeYAOzn7
>>160
「惨めさと悲しさ、色んなことがあった私の人生...笑うしかなかった...」
このように、言葉を並べ代えると又、意味合いが違った来るね。
辛く苦しい時や悲しい時ほど笑った方がいいね! 心が癒されるからね。
0162ジョン・スミス
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2022/04/28(木) 13:51:34.80ID:aeYAOzn7
>>157
下から13行目「店の質が下がるんだよ!」に訂正
0163ジョン・スミス
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2022/04/29(金) 08:45:59.77ID:DIu5l13Q
「野ウサギのように」

ここは路地にひっそり佇む個室付きの居酒屋。
「ごっめ〜 ん… 時間に遅れちゃって・・・」

「いいよ、いいよ。私も今来た、みたいなもんだし… ほら、閉めて閉めて」とハルミ。
「あ〜ありがと…っ、はぁ〜 落ち着くぅ―」

「何、その頭?!」とハルミ。「オカシイ!? 変?」
「変わったね! 何よそれ! ワハハハハ」と大声で笑う自信家のハルミ。

「そんなに変?」「やめなさいよハルミ! 冗談よ、別に気にしなくていいわ」と
アケミが慰めてくれる。アケミは続けて「ハルミはすぐユリをからかって面白がるんだから。
それにしても、どうしたの? その銀髪。何か、心境の変化?」「可笑しい?」
「可笑しくはないけど、どうして銀髪にする気になったの?」とアケミ。

「彼に言われて・・・」「また、あの男! あいつの言いなりになってない?!」とハルミ。

ハルミが続けざまに「あいつの都合のいい女になってない?! 信じられるのは彼だけの、
あいつに依存していない? それはね、自分に自信がないからよ。男にとって都合のいい女で
終わらない為には、たまには、わがまま言った方がいいわよ。恋愛依存症になりすぎてもダメなのよ!」

「やめなさいよ、ハルミ!」とアケミが遮る。

「アケミ、いいの。ハルミの言う通りよ。私、彼の都合のいい女になってた。
彼なしでは生きていけない。彼と離れるなんて考えられない。信じられるのは彼だけの...
そう、あいつに依存していた。彼の好みに合わせて、ファッションや髪型を変えてみたり、
無意識にスマホで彼のアカウントを追ってた...

あいつに捨てられたくないから恋愛依存症になっていた... ハルミの言う通り。
確かに、恋人が変わるたび...恋人が「これ似合うと思うよ!」と言った次の日からファッションチェンジ!
毎回、ファッションやメイク、髪型をガラリと変えていた」
0164ジョン・スミス
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2022/04/30(土) 06:42:49.30ID:ml5VScWm
「泣いてもいいんだよ」

先日、予期せぬ人の涙を目撃した...
最も涙とは、無縁の人と思っていたので、強く心を揺さぶられた...。

男が公衆の面前で泣く事についてちょっと考えてみた。
そういえば、生まれてこの方、いわゆる公衆の面前で泣いたことは無いような感じがする。

誰かの前で、泣いたこともあったような記憶が、ぼんやりとあるのか、ないのか、それは、
既に霧の中で… はっきりと思い出せない... それは多分、かなり幼い頃のことなのだろう...
「男たるもの女々しく泣くな! 人前で泣くな! みっともない」と親父から幼い頃...
泣いてばかりいた俺に向かって聞かされた言葉だった.........

そんな俺も母が亡くなった時は泣いた... 自然と涙が零れ落ちた......

亡くなる一週間前、俺は結婚後、初めて子供、妻を連れて帰郷し
病院に入院している母の看病に行っていた。

その頃、既に母は食べ物を食べては吐き、一日に口に出来るものは、
スプーン一杯のアイスクリームだけだった...

夜七時、夕食が運ばれてきた。母はそれに気づかず、辛そうに眠っていた...
そして午後八時になって、食器を片付ける音が聞こえて来たので、俺は母をそっと起こし
少しでもいいから食べて寝るように勧めた。

母は、ゆっくり起き上がると、茶碗を手に持って目をギュッとつむって、おかゆをかきこみはじめた。
俺が「そんなに急いで食べたら、また、吐いちゃうから、ゆっくり食べなよ」と言うと、
母は「だって、自分が早く食べて、学を家に帰してやらなきゃあ、家で待っている美枝子や孫が、可哀想だ」

...そんなこと言っていた母が、それから一週間後の今日、
 僕ら兄妹や僕の家族(妻・子供)みんなが見守る中で息を引き取った.........

男だって、人前で泣いてもいいじゃないかと思う... 
 ...そうさ、
       男だって、人前で... 泣いてもいいんだよ...
0165ジョン・スミス
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2022/04/30(土) 06:47:23.72ID:ml5VScWm
>>161
意味合いが違ってくるね。
0166ジョン・スミス
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2022/05/01(日) 07:37:45.71ID:lcsFanEP
「ひとりぼっちで踊らせて」

あれはバブル景気真っ只中の1992年。ジュリアナ東京が芝浦に開業し2年目の頃だった...
街のを歩く人々が白い息を吐き始めた11月の夜。俺はいつものように三人の仲間と煙草を
ふかしながら歩いていた。「なあ、俺達いつも安いディスコばっか行ってるだろ…
実はさ、この近くに洒落た店が出来たんだぜ! 値踏みがてら覗きに行こうぜ!」

ノボルが周囲に聞こえるくらいの大きな声で遊び場の提案を始めた。
「お、いいな。たまには、冒険してみないとな!」
ノボルの提案に俺達は、ほとんど反射的に頷いていた! 俺はノボルとタケル、ミツルが、意気揚々と談笑して
いる少し後ろに立ち、銜え煙草で三人の会話を聞いていた。
俺たちは、こうして毎晩のように欲望と悲哀にまみれた夜の街を歩き続けていた...

10分ほど歩くと、周囲の地味な店に対して、一段と際立った円形の大きな建物が見えて来た。
「あれだよ、あれな、 スゲーだろ! あの外観!! 如何にもって感じだな。 いい女もきっとたくさんいるぜ!」
この頃の俺達は気の利いた酒と女に夢中だった。ネオンサインに彩られた豪華絢爛な外観が、
接近するにつれ、ホール内から漏れてダンスミュージックの激しいユーロビートが聴こえてくた。

随分な音量で流すもんだなぁ〜と少し驚いた! 入口付近にいる2名の男が、近づく俺達を品定めするような
目線で見て来た。俺達はいつも夜の街に出かける時は、きちんと着飾ることにしていた。
無事、ドレスコートとボディチェックの様なものが済んだ。「随分と厳重なんだなぁ〜、値段高そうだけど、
大丈夫かな…」ミツルの独り言の様な言葉を俺以外の連中は誰も聞いちゃいなかった。

ノボルとタケル湧き出る好奇心を抑えられず、子供のように駆け出して行った。そして、ホールへと続く大きな
扉を勢いよく開けた! 扉の向こうに現れた空間は、日常のしみったれた生活空間とは、全く異なった様相をしていた!
「へへっ、お前ら、ダンスホールなんて来た事ないだろう?! 主に目当ての女と踊る事なんだよ!
まあ、適当に、いい女見つけて、楽しくやろうぜ!!」「こんなとこ...スゲー高いんじゃないのか!?」

いつも行く満員電車さながらのディスコとは違い、人の数はそれほど多くはなかったが、今まで
見て来たどの空間よりも広く大きかった。それでも数百人はいた。せわしなく周囲を照らす
ミラーボールもなければ、天井や床がリズムに合わせて光りだすわけでもなかった。
清潔感に満ちた紳士淑女達がヒューマントラックのリズムに合わせて控えめに踊っていた。

こういう落ち着いた場所も、悪くはないと俺は素直に思っていた。俺は、暫くホールの隅に立ち尽くし、
一番安い酒を注文して、喉を潤しながら周囲を観察していた。カップルが踊る中、
    ふと、10メートルほど先で、ひとりで踊る女性に目が留まった!
    ー 赤いドレスと肩まで伸びた髪がふわふわと揺れていた ー
0167ジョン・スミス
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2022/05/01(日) 07:47:03.98ID:lcsFanEP
>>166
2行目「街を歩く・・・」に訂正
13行目「ユーロビートが聴こえて来た。」に訂正
下から12行目「ノボルとタケルは・・・」に訂正
0168ジョン・スミス
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2022/05/02(月) 07:15:29.87ID:aZ9w22kF
「夜の色」

あれは1995年の頃...私は...
ドイツ北部の大都市ハンブルグ、その中央駅からユーロシティに乗り込んでいた。

行先はデンマークのコペンハーゲン。正面が真っ黒のちょっと異様な姿の車輛で北欧への旅が始まる。
 …まずは、美しい街並みの旧市街が、世界遺産に登録されているリューベックに到着。
 ……… 車窓からも天に向かって聳える教会の尖塔の数々が眺められる ………

北の荒涼とした大地を列車は坦々と進み、優美なフェーマルン橋で海を越えて島へ渡る。
その突端のプットガルテンでドイツの旅は終わり列車はそのままフェリーに乗り込んでいく。

列車ごとフェリーに乗り込む。船旅はおよそ1時間。多くの乗客は、列車から降りて船内で食事をしたり、
デッキから、バルト海を眺めたりして過ごす。公海上でもあるので免税店で、買い物をする人も多い。
私は船内で軽い食事をした後、デッキからカモメが飛び交うバルト海を眺めていた......

 ...ふと、そんな時、脳裏に浮かんだ......
        ...旅の途中で出会った、とある女性が語った話を思い出していた......

 ...ある日、私は長い欧州旅行の途中、ドイツで出会った一人の年配の女性と出会う......
彼女の名前はエリカ。エリカは自分の体験談を私に話してくれた。お母様は、自分は死に向かいながら、
私を生に向かって投げたと言う。ユダヤ人強制収容所へ向かう貨物列車の中、沢山のユダヤ人を
すし詰めにしたその貨物列車の小さな換気用の窓から赤ちゃんが外に放り投げられた。

貨物列車が、強制収容所の門をくぐれば2度と帰れないであろう。その事実を知った母親が、
せめて、我が子だけでも助かるのならと、祈る気持ちで列車がある村を通る時、スピードが
落ちたところで、母親は赤ちゃんを外に投げた。その赤ちゃんは、近くにいた心ある女性に

拾い上げられ引き取られた。誕生日を決めてもらいエリカと名付けられた。そこまで
危険を冒してエリカを引き取った女性は、とても愛情深くエリカを大切に育ててくれた。
その後、エリカは21歳で結婚し、3人の子供に恵まれ、今では孫もいると言う...

...そんな話を思い出していた......
 ... 人は生きていると同時に、生かされているのだと感じた ......

ーーー そんな時、海上を低く飛んでいた渡り鳥が白夜の空高く飛んでいった ーーーーーーーーー
0169ジョン・スミス
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2022/05/02(月) 09:04:29.18ID:aZ9w22kF
>>168
下から14行目「...旅の途中で出会った。故郷へ帰るところだと言う
とある女性が語った話を思い出していた......」に訂正
0170ジョン・スミス
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2022/05/02(月) 10:58:46.25ID:aZ9w22kF
>>157
「かなしみ笑い」タイトル訂正
0171ジョン・スミス
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2022/05/03(火) 07:34:01.24ID:iLaiHGWe
「五月の日差し」

高校を卒業して、大学入学してからは暫く、実家から通っていたけど、
実家から離れて一人暮らしすることにした。通う大学が実家から遠かったからだった...

自立する為に思い切って両親に相談すると、父の反対を受けた。そんな父を
母の協力もあって、やっと説得して許可をもらうことが出来た。実家へは電車で三時間。
寂しそうな父の姿が目に浮かぶ...

 …暖かい五月の日差しの中...実家で引っ越しの為の準備をしていた......
今日、この住み慣れた場所から、引っ越しをするんだと思うと、…胸が熱くなった…
衣装を段ボールに詰め、部屋を整理していると、押し入れの奥に、
 …長い月日が過ぎて...色の褪せたリボンで結んである " 小箱 " を見つけた!

- そっと、リボンをほどいて、その小箱を開けてみると -
 …綿にくるまれたどんぐりが入っていた......

...これは、当時、仲の良かった " あの子 " からのプレゼントだった。
 ...まだ幼かった頃の遠い日の記憶が蘇って来る ...
⋯楽しかったけど、ちよっと切なくて甘酸っぱい記憶が⋯⋯⋯
…幼い頃のあの子との…どんぐり拾いの記憶………

- " 突然 " - あの子から渡された! 渡されて、黙ったまま逃げ帰ったあの子...
その後、互いに顔を合わせることも無く、話しづらくなっていった...
...そんな遠い記憶...。  ...その後、あの子は引っ越していった...

.........あの純真で素直な頃のあの子の笑顔を思い出す・・・
今では、あの子の気持ちが痛いほど分かる。

...あの時、何故? 素直に「ありがとう」と言えなかったのだろう...
    ......... 素直に『ありがとう』で、良かったのに...ね。
0172ジョン・スミス
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2022/05/03(火) 07:39:18.79ID:iLaiHGWe
>>171
「五月の陽ざし」タイトル訂正
0173ジョン・スミス
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2022/05/04(水) 06:44:14.06ID:z5dFw4XV
「ジョークにしないか」

「すみませーーーん! 生、もう一杯、お願いしまーーーす!」
俺はいつもの居酒屋で同僚と日ごろの憂さ晴らしをしていた...

「いゃあ〜 仕事終わりのビールは旨いなぁ〜」上機嫌で同僚が言う。
「ああ、そうだな」と俺は頷く。

「お前さ、この頃元気がないぞ! どうしたんだ!? 悩み事でもあるんか?! 言ってみろ! 
聞いてやるぜ! ワハハハハ」「いゃー、娘を慰めるつもりで思ってもいないこと言っちゃってね。
それ以来、娘とうまくいかなくてね...」「面白そうだなぁ〜 どんなこと言ったんだ」

「男に振られて落ち込んでいた娘を慰めてやろうとしてね。『お前、人間は顔じゃないぞ!』と、慰めるつもりが、
『お前の顔は人間じゃないぞ!』と言ってしまった! …それまでお父さんの言うことをよく聞くいい子で、
素直だった娘の反抗期が始まった...」「ワハハハハ… 笑える、笑える… お腹がよじれる… お腹がよじれるよ…
可笑しくて、可笑しくて… ワハハハハハ…」「笑い話じゃすまないんだから…」「わかった、わかった… 

ごめん、ごめん…ワハハハハ…」「それと、最近さ、娘だけじゃなく嫁とも、うまくいかなくてさ…」
「まあ、よくあることさ。気にすんなって… ワハハハハ…」「最近、嫁が怖くてさ、もう大変! すぐに怒るし… 
ほんとに変わった。昔は、亭主関白じゃないとダメとか、言ってたのになぁ〜」「人間、そんなもんだって… ワハハハハ…」

「俺のこと何かにつけ御託並べてウルサイと、ウルサがるくせに!、何かと、いちいち小言がうるさくってさ…」
「そんな時は、パシッと一言! 『いい加減にしろー!』って怒鳴れば! ワハハハハ…」
「そうか、よし! 今度、馬鹿な小言煩く言うと『このバカモノ!」って言ってやるよ!」
「小言を言う。小言が多いのが女という生き物。そう、そんな時は、それでいいんだよ。 ワハハハハ…」


...それから一週間経った...休みの日の前日の夜のことだった......
いつものように嫁があまりにも煩く馬鹿なこと言い出したから、
「このバカモノ!」と怒るつもりが、「このバケモノ!」と怒鳴ってしまった! 
…その後、口喧嘩は夜明けまで続いてしまった........
0174ジョン・スミス
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2022/05/05(木) 07:40:35.29ID:Dk1gljkX
「Maybe」

「加山さんっ」お局のもとに馳せ参じる。「はい。何でしょうか?」
「これっ、コピー取って来て頂戴! 出来たら急ぎで。この後、会議で使うのよ。20部ね」
「分かりました。コピーが終わったら原本とコピーを持っていきます」
「原本はこちらに戻して、コピーは会議室に運んでおいて」「分かりました」

私は、とある商社の経理部に所属する入社1年目のOLだった。若くて初々しいOLが、
書類を堤出してくれば粗を探してやり直しを命じ、就業時間を過ぎて、まだ更衣室で鏡を
眺めている子が居れば「あなた、化粧ばかりに力を入れないで、さっさと仕事してくれる?!
いくら可愛くたって、経費計算は進んでくれないのよ?!」と嫌味を言うお局様がいる。

私は、このところ仕事のミスが重なり、お昼も外へ食べに行くことも出来ず残業していた...
だましだましやっていたが、さすがに今日は体調が良くない。ストレスを溜込み過ぎたのか、急な吐き気に、
襲われてトイレに駆け込んだところだった。息を整えていたら、若いOL達が化粧室入って来た。
パウダールームで化粧を直しながら声高に話す若いOLたち。お局様の陰口を言っていた...

 ...私はお局様に誘われて一度だけ飲みに行った時に言われたことを思い出していた...
「あなた、バカね。もっと要領よくやりなさい! 仕事なんて、適当にやって愛想ふりまいている
人間が勝つのよ。真面目にやったって、要領のいい子には、かなわないんだから...

愛想を振りまくことも、仕事で手を抜くことも出来ないのなら、誰もが無視できない
ぐらいの戦力になって、それを誇示しなさい! 私は嫌われてなんぼだと思っているわ」

確かにお局様は仕事が良く出来た。どんなに嫌味なこと言っても、どんなに若い子に辛くあたっても、
誰も彼女を無視することは出来なかった。そんなことをしてボイコットでもされれば、自分たちの仕事が、
回らなくなるとみんな分かっていた。もし、お局様がおとなしくしていたら、おそらくみんなにいいように

使いまわされて終わりだっただろう。だから彼女は己を誇示するのだ。嫌味を言い。敵に回すと厄介な
存在だと示す。その嫌味ですらも、決して間違ったことを言っているわけではなかった。

確かに私が真面目に仕上げた仕事が、いつの間にかほかの女の子の手柄になっている事態があった。
その子はふわふわとしていて、化粧が上手くて甘え上手で、いうなれば男受けのいい子だった。

確かに、常々そんな愛想が良くて要領のいい子にはかなわないと思っていたところだった...
そんなモヤモヤした気持ちとストレスを抱えていた私... そんな私の気持ちを、
救ってくれたのは苦手だったお局様のあの時の言葉だった.........
0175ジョン・スミス
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2022/05/05(木) 11:10:15.28ID:UXIrPg2B
オールワン清掃

又野たいきん


きちがい8
0176ジョン・スミス
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2022/05/06(金) 06:20:02.06ID:2NFy5olm
>>174
11行目「若いOL達が化粧室に入って来た。」に訂正
0177ジョン・スミス
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2022/05/06(金) 08:08:10.16ID:2NFy5olm
「シニカル・ムーン」

…月が雲に見え隠れする… まだ肌寒い春の夜...
ふたり歩くのが似合いそうな春の夜は四月
片寄せ合い桜の花びらが散る中をふたりで歩いていた...

すこし肌寒いくらいの風が寄り添いやすい
言いたい言葉だけ 言わせないつもりか 皮肉な流し目
…分かったような顔で月が私たちの心を見透かし覗く…

好きだと言えば不安になる 言われていなきゃ不安になる
…言えないことから伝わってしまう… 皮肉なものだね…

肩に回した指に積もる花弁がひんやり冷たい!

ちよっと驚きながら
ここで、 ーーー " 目が覚めた " ー

私の不安が夢になって表れたと思った。
私は、何とも言えぬ苦笑いの気持ちを噛みしめつつ、
ベットの中、隣では彼がまだスースー寝息を立てながら横になっていた。
彼を起こさないように、静かにベットから降りて出窓の外を眺める。

月が高いところで冴えた光を放っていた。
月の光が眩いほど窓のガラスを光られていた。

月って地球の衛星にしては大きすぎるよね。
月って不思議だなと、月をずっと眺めているうちに
何故か、月は何でも知っていると思うようになっていた...
0178ジョン・スミス
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2022/05/07(土) 05:31:48.77ID:enV4VqQu
「鶺鴒」

ーーー チチッ チチチチッ ー 甲高い囀りで鳴く鳥の声で目を覚ます。
我が家は川沿いにあり、鶺鴒は一年中、見かける鳥。つがいで行動していることが多い。
しきりに連絡を取り合うのでよく鳴く。姿が見えなくても、あ、いるなと気づく!

七十二候の「鶺鴒鳴(せきれいなく)」は白露の第二候で9月12日頃。
鳥にあまり詳しくない方は、秋に鳴き始める鳥と思われるかもしれないが、

鳴き声は一年中、聞こえる。鳴き声は、高く鋭いので秋の始め澄み渡った
高い空に、一層、響き渡るように感じられ、大気が澄んできたことを、
感じさせるからかもしれない。

鶺鴒は、水辺を好む鳥で古くから日本にいる身近な鳥。『古事記』ではイザナギ、
イザナミに夫婦の交合を教えた『嫁ぎ教え鳥』として登場したり、人が稲を
背負って家に入る頃に、鳴く稲負鳥が鶺鴒と言われている。

鶺鴒は作物などにつく害虫を、捕って食べる益鳥なんだからと、遠い昔、
お年寄りから聞かされた。鶺鴒は地面で、餌をついばんでいる時でも、
飛び回っている時でも、雄と雌は離れることなくいつも一緒。この仲睦まじい
様子を見て、昔の人は夫婦も恋仲にある男女も、こうあるべきだと教えられたと言う。

昔の本に、鶺鴒の別名オシエドリともいうと書いてある。男女の付き合い方を教えた
オシエドリが訛ってオショーデンになったと言われている。

そんな河原や田んぼに降りて、長い尾を上下に振って歩く鶺鴒は、昔の人に
益鳥であるばかりではなく、男女の恋とは何か、愛とは何か、について
教えてくれた貴重な鳥でもあったと言う。

昔の人には毎年、田んぼの畦塗の頃に、鶺鴒の夫婦がやって来て、農作業を見守るように
すっと傍にいて、高らかに歌ってくれたり、掘り起こした土から出てくる虫を
食べてくれて、人を怖がらずに畦に舞い降りて、チョコチョコと寄って来る
鶺鴒は身近に感じ親しみやすい鳥だったのだろう。

そんなチョコチョコ歩きが得意な鶺鴒は、人が近づくと少し歩き、近づくと、また少し歩き、
警戒しながら、一定の距離を保とうとする傾向があり、その様子が何となく愛らしく、
人の目にも止まりやすい鳥でもある。

ーーー 新緑の季節、明日は、少し遠出でもして
          山歩きなどのトレッキング、自然探索でもしてみるか、
0179ジョン・スミス
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2022/05/08(日) 07:24:22.79ID:C2B6/Bgi
「ごまめの歯ぎしり」

俺は大卒入社五年目の会社員。まあ、そこそこに仕事はこなすが、特に何か
良くできると言う事もなく、稀にミスをする。昇進して人の上に立って
やろうという気もあまりない。

自分が何をやりたいのかなんて事を深く考える事も無い。それでも、仕事内容に
不満があるわけでもない。給料面でも恵まれていた為、辞めようと考えることも無かった。
しかし、そんな俺にも、唯一、会社に来たくなくなる原因があった。それが、
上司でもある課長の清水だった。

「おい、この書類、間違っているじゃないか!」
その日も、俺のデスクに書類を叩きつけた課長の激が飛ぶ!

パソコンの画面をぼーっと眺めていた俺は、その声でハッと我に返ると、
書類に目を通すか、通さないかのうちに、椅子から立ち上がり、課長の前に頭を下げた。
「すみま・・・」と言いかけたところで、俺は額を課長の頭頂部にぶつけた!

俺は身長が180センチ。課長は160センチ足らず。予想に反して近くにあったその頭に
激突してしまったのだ! …悶絶する俺… 悶絶する俺に呆れながら、課長は特に痛がる
様子もなく渋い顔で俺を睨みつける…

「今日中に直しておくように、出来たら私のデスクまで持ってこい! いいな」
それだけ言うと、その場を後にした。俺は額を押さえ、周りのみんなに笑われている
のを感じながら、恥ずかしい思いで身を縮ませて椅子に座った。

仕事帰りの夜、俺は会社の同僚と行きつけの駅前の居酒屋に来ていた。
乾杯が終わると、話題はすぐに今日の俺のヘッドバットの話題で盛り上がった。

「それにしても、今日のお前のあれ、笑いを、堪えるのに必死だったよ。ワハハハハ…」と
同僚の一人が大笑いしながら言う。「そうそう、何が一番可笑しかったって、課長が全く痛がって
いないんだよなぁ〜 ワハハハハハ…」今日は頻りにその話題で盛り上がり、酒のつまみにされていた。

「もう、その話はさ、もう済んだことだし、やめてくれよ!」と課長に個人的に嫌われている俺は、
いつもこいつらと飲むときは、課長の愚痴をよく零すが、今日は自分の醜態を晒したのが、
恥ずかしかったこともあり、あまり長く、この話題を引きずって欲しくはなかった。
でも、いつも以上に悔しい思いをしていたのだった......

終電が近くなり、みんなは帰ると言うので、駅前の居酒屋で、みんなと別れた俺は、
まだ肌寒い夜風に吹かれながら、ネタにされた悔しさもあってか、いつにも増して深酒になった。
路地を抜けた所にある自宅マンションに向かい千鳥足で歩いていた.........
0180ジョン・スミス
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2022/05/08(日) 07:31:20.05ID:C2B6/Bgi
>>179
下から2行目「ネタにされた悔しさもあってか、いつにも増して深酒になったことを後悔した。」に訂正
0181ジョン・スミス
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2022/05/09(月) 07:59:48.30ID:/PDq86ym
「ロンリーカナリア」

彼から私が住むマンションに午後五時に迎えに来る約束。久しぶりのドライブの
約束だった。その言葉を信じて、約束の時間の五分前からマンションの前に立っている。
もう、約束の時間をとっくに過ぎている。一時間も、携帯には何の連絡もない。

久々に会えることに舞い上がっていた気持ちが、もう既にマンションの前で、
ひたすら待つ自分を惨めに思う気持ちに変わっている...

もうすぐ来るかもしれないと、信じて待っている自分がいる。
もう部屋へ戻ろうとした時、彼からもう少しで着くという連絡が来た。

苛立ちを伝える言葉を送ろうかと思ったが、取り敢えず気を取り直して
分かったとだけ返事を送る。それから10分ほど経つと、彼の車がやってきた。

私の前に止めて、車から降りずに、運転席から窓を開けて笑顔でこっちに手を振る。
それを見て私は、車に駆け寄り、助手席のドアを開け車に乗り込む。

「ごめん! 最近、テレワークの仕事が忙しくて、夢中になり、約束した時間を過ぎちゃった!
本当にごめんね」と申し訳なさそうに彼は苦笑いで言う。私たちはとっくに冷めている...

こっちだって忙しい中で、約束したんだよと言いたい気持ちを飲み込む...
彼が仕事で忙しいことは十分知っている。それはわかっていても...
こちらも笑ってごまかすことにした。

...何気ない仕草でも、些細な変化で気付いてしまう......
…そう、彼の何気ない変化が...

少し前までは、高ぶっていた気持ちがあった。異性として好きという気持ちは、
...いつの間にか消えてしまった.........
彼のこと好きだったから...小さなことでも気づいてしまう......

...このまま自然消滅していくのだろうか.........
私が困らせること言うと、あなたの目がさみしく曇る...
...苦い蜜 かじってみた小鳥みたい...震えてる Lonely canary…

そんな時、「連れていきたいとこがあるんだ。今から行ってもいいかな?!」と聞いてきた。
そう聞かれて軽く頷くと、

緊張を隠すように真っ直ぐ前を見て運転している彼が言う。
「夜景が綺麗に見えるスポットがあるらしいんだ」
0182ジョン・スミス
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2022/05/10(火) 08:16:45.55ID:yQZ3oYqB
「あばよ」

しばらく姿を見せなかった尚子が突然訪ねてきた。ショートケーキが入った
紙の小箱を持っていた。尚子は私の部屋におしゃべりに来る時は、たいてい
駅前のケーキ屋さんでケーキを買って来る。

紅茶を入れ、しばらく他愛のないおしゃべりをしたのだが、なぜか、尚子の
様子がおかしい。彼女はひどくおしゃべりな女で、たいていは一方的にしゃべり
まくり一人で笑い転げたりして大騒ぎする。それが今日は何故か、いつもと違った。

いつもの元気がない。私は「どうしたの? 元気ないみたいね」と思わず言った。
「うん...」と、彼女は、何か辛そうに、煮え切らない返事をした。
「わかるぅ… ?」と彼女は甘えたような声を出す。
「わかるわよ」と私は答える。大体は想像がつくのだ。

「でもさぁ、私も落ち込んでいるけど、あんたも元気ないじゃん」といきなり彼女から
発した言葉にギクッ!とした。自分では気づかなかったが、どうやら私のほうも様子が、
おかしかったらしい。しかし、私の方は何がどうあろうと、この口の軽そうな女に、

私の直面しているトラブルを打ち明ける気はなかった。私は気を取り直してこう言った。
「私は普通よ。ちょっと体の調子が悪いだけ…」あまり上手な言い訳でもなかったが、
彼女の方は、自分が直面している悩みで頭がいっぱいらしく、私のことを
追及するどころではない様子だった......

「聞いてくれる…」と彼女が言い出した。
私に聞いてほしかったらしく、私も「うん」 … 彼女が「…実は...」
0183ジョン・スミス
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2022/05/11(水) 07:48:26.92ID:yhm0q/PA
「夜を往け」

最近は、夜中に気の向くままに走り続け… 日が出たら、たどり着いたところで、
食事処を探して食事をして家に帰るということが続いている…

気まぐれな俺のマイブームが、いつまで続くか、わからないが、今こうやって、
…ただ、何も考えずに走るのが好きだ…

今夜も、こうしてバイクを走らせている… 少し遠出のツーリング… 深夜のツーリングは楽しいものだ。
なんと言っても他の車がいないのが快適だ。真っ暗な中にバイクのライトだけという微妙に
見通せない視界が、走ることに集中させ、頭をクリアにさせる。

また夜ならば、夏の炎天下の道路で遠赤外線で、じっくり焼かれることはない。
この辺りは、住宅街だろうか… 誰かが捨てたであろうコンビニのビニール袋が風に
…吹き上げられて空中で弧を描いて舞っていた……… ……… ……… 

やや広い道路には人気はなく、電球の切れかけた街灯が一つ… …遠くの方でチカチカと輝く…
街灯も少ないが、見通しは悪くはない。真っ暗な中、自分のバイクのヘッドライトの
明かりに浮かび上がる周囲の真っ黒な住宅... そのまま住宅街を抜ける………
 ......まだ目的地は決めていない......

  ー 今夜は目的地を決めずに、行けるとこまで行ってみようと思った ー
何故か、そんな気分だったのだ。とにかく西へ向かうということだけは頭に入れている。
既に中京圏まで視野に入れていた。何もかもが忘れられる。…そんな当てのない旅… 

 ……… ツーリングの世界に一人きりになったような心細さと開放感が心地よい ………
0184ジョン・スミス
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2022/05/12(木) 07:09:08.14ID:3DLwDc6j
「100人目の恋人」

私は海を見下ろす小高い丘にある白いリゾートホテルに来ていた。
このホテルは、どの部屋の窓からも海を一望に眺めることが出来る。

「素晴らしい眺めね! 広い海が一目で見渡すことが出来るわ」と私は、
一人で燥いでいた! 彼は部屋のイミテーション暖炉の傍らのソファで銜え煙草で炎を
見ながら「お前、あいつに俺から手を引けと嚇したんだってな」と言う。

「嚇していないわよ! 諦めて欲しければ、嚇したらどうかしら…」と言っただけよ!
私は続けざまに「実は、彼女から先に脅してきたのよ! 私に彼から手を引けと、
それに汚い手使ってもいないのに、勝手に妄想して… 汚い手使うのはやめてって、

言って来たのよ! 私、何も、汚い手なんか使ってもいない。ただ、彼が好きで愛しているだけよ」と
言ったわ! そしたら彼女、『この尻軽女! 売女!と罵って来たのよ! そして続けざまに、
あなたは所詮、彼の遊び相手!、一時の遊び相手よ!! そんなことが分からないの!!

彼は、真剣にあなたなんか愛してなんかいないわよ! どうして、そんなことが分からないのよ!!』と
散々罵られたから、だから私、言ってやったわ! 『私、続かないたちだから、
私の昔の恋人を並べ立てて彼に言ったらどうかしら』ってね」

「それで100人目の恋人って言ったのか?!」と彼は大笑いしながら言う。
「何笑って言うのよ!」と私が言うと、彼は「いゃあ、ごめんごめん…
悪かった。100人目の恋人ね… 女にとっちゃ、何にも自慢にならないね。
逆にマイナスだ。そんな女、好きになる男っているか?! 中には、居るかもしれんが...」と
彼は笑いながら言ってる。

私はほっぺを膨らませ、怒って背中を向けた!
そんな私の背後に近寄り、耳元で「そんなことで、君を好きになったんじゃないよ!」
0185ジョン・スミス
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2022/05/12(木) 07:28:40.30ID:3DLwDc6j
上島竜兵さんが亡くなった。志村けんさんの時よりもショックだ!
人柄が滲み出ていた芸人さんだけに悲しい...
謹んでお悔やみ申し上げます。
0186ジョン・スミス
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2022/05/13(金) 07:57:56.03ID:kiayazGB
「あほう鳥」

「慎吾のバカ!! もう知らない!!!」
アイツの言葉が頭の中でずっと、ずっと、一日中、こだましていた...
俺、坂下慎吾は今日、彼女と喧嘩しました。

喧嘩の理由は、俺の浮気。
浮気そのものは、これまでも何度かしたことがあったが、ああやって怒鳴られたのも
頬を叩かれたのも初めてだった。

浮気がばれる二、三日前は、
「きっとさ、世界には、決められたレールってものがあって、あたしたちはその上を
歩いているだけなんだよ」
昼休みの学食。俺の彼女である、目の前に座る女は、割り箸を
割りながら、いきなりそんなことを言い出した。

「だけど、あたしたちはそんなものは見えないし、そのレールから無理やり外されることも
出来ないし、外れたと思っていても、実はまだレールの上だったりしてさ」
そう言って素うどんを啜る彼女。

俺はあまりの訳の分からなさに、少し奮発したカレーライスに手を付けられずにいた。
「そしてその人のレールは、至る所で交差したりするんだよ。そうして人と人は出会うわけ」と
いう彼女に「...悪いけども、お前が何が言いたいのか、俺にはサッパリわからん!」

「だからさ…」彼女は、うどんを食べる仕草を中断し、俺の目を見ながら言ってきた。
「きっと、あたしたちは、出会うべくして出会ったんだよ」
そう言って、彼女はニコリと笑い転げて言い続ける。

「いわば、運命ってやつかな?! ...運命の人。赤い糸。呼び方は色々あるけど、
多分、あたしにとってあんたは、そういう人なんだと思うよ!」

「運命か、… ジャジャジャジャーンか... そんな大それたもんじゃねぇと
思うぞ! 俺は…」「それじゃあ、何?! 偶然?!」
少し不貞腐れたような顔で、詰問してくる彼女!

「その割には、出来過ぎてるだろ…」「じゃあ、何よ!」
「決まってんだろうが!」俺は、笑みを浮かべて言葉を重ねた。
「必然!」キョトンとした顔つきで彼女「いゃだあぁー」

ワハハハハ わははははと互いに笑い転げる俺たちは、バカカップルのアホウドリだった......
...俺の浮気がバレる、二、三日前までは.........
0187ジョン・スミス
垢版 |
2022/05/13(金) 15:54:54.41ID:kiayazGB
>>186
下から2行目「バカップルのアホウドリだった......」に訂正
0188ジョン・スミス
垢版 |
2022/05/14(土) 08:27:21.85ID:fr68UwUc
「泥は降りしきる」

「え? … これ、どういうこと?!」
私は、目の前の光景が信じられず、
持っていた買い物袋を床に落とし " ボー然 " とした!

童顔のせいか、実際の歳よりも若く見られる。
30歳と言うと " 一様 に驚かれる " !
高校生に間違われることもあるくらいだ。

そんな私にも、合鍵を渡し合う彼氏がいる。付き合って二年目になる。
彼とは、頼み込まれて行った同じ会社の他の部署との合コンで知り合い
なんと、お互いに " 一目惚れ! "

180pを超える長身で、イケメンな彼! 性格も面倒見がよく、結構よくモテると言う噂を
聞いたことがあった。そんな彼と目が合った時、 " ビビっと来た! " のだった...

" 一目惚れ " なんて信じていなかったが、これには自分でもビックリした!

そんな運命の相手と思っていた彼が今、 " 目の前 " で他の女性の肩を抱いていた!
今日はお互いに、早く帰れると言う事で、夕食を作りに行く約束をしていた...
つまり、私が、この時間に、この部屋に来ることは、百も承知のはず!
結果、この " 光景 " とは… 私に見せつける為なのか、...?!

…裏切られた思い... そんな悔しさと、悲しさと、情けなさで...
… " 合鍵 " を彼に投げつけ! … 私はその場から逃げ出した! …

-「おい! 待ってくれ!!! 誤解だ!! … 詳しいことは、後で説明する! … 美香!」-
背後から、私の名前を呼ぶ声が聞こえたが... 知ったことじゃない! ...
      ― とにかく、その場から、一刻も早く逃げ出したかった! ―

      ……… 私は、涙と鼻水で顔を、グシャグシャにしながらひたすら走った ………
0189ジョン・スミス
垢版 |
2022/05/15(日) 09:05:54.73ID:xBj+K/7r
「湾岸24時」

「首都圏を走りながら、見える夜景を楽しもうか…」と彼に言われ、
車はマンション近くの、細い道から大通りを走り出した…

カーステレオからは、どの局かもわからないラジオがずっと流れている...
運転している彼は、ペラペラ話すことはなかったが、会えて良かったとか、
元気そうで良かったとか、こちらを気遣う言葉をぽつぽつとかけてきた。

以前だったら、彼の優しい言葉に酔って穏やかな気持ちになっていただろう...
しかし、これまでの気持ちが嘘のように、彼の言葉はカーステレオのラジオの
ように聞き流す対象になっていた......... 

それでも、適当に相槌を打ちながら、体中を巡っている別れの予感を無視しようとした。
お互い、しばらく無言のまま... 彼は、真っ直ぐ前を見て運転している。

コロナ禍の影響もあってか、車が少ない… 車はスピードを
緩める事も無く、首都高を走る… 首都高を走りながら見える夜景。。。

首都高都心環状線 芝公園入口 芝公園付近with東京タワー …
芝公園ICから浜崎橋JCT方面へと進み… 全長約14qのC1をぐるりと
左回りに一周… ビル群を間近ですり抜け、赤坂のオフィス街や丸の内のビル群…

再び、芝公園IC、東京タワーが現れる。レインボーブリッジを目指している…
左手に東京湾内の夜景... 橋を抜けて豊洲... 有明の夜景が続く......

...私は、無言のまま夜のハイウェイ首都高を走る景色を眺めていた.........
0190ジョン・スミス
垢版 |
2022/05/16(月) 07:31:25.53ID:l+oCPA+N
「追いかけてヨコハマ」

横浜駅東口を【ベイクォーターはこちら】の標識に従って歩くと
見えて来たベイクォーター … 横浜港の入り江に位置するベイクォーター 
テラスのあるレストランや洋服屋、家具屋などが並ぶ商業施設・・・

今、この中にあるカフェでお茶をしている私。あの人を追いかけて横浜までやって来た。
…突然、私の前から逃げるように姿をくらましたあの人。手掛かりは何一つなかったが、
何故か、この街にあの人はいると思った。この街のどこかに、あの人は必ずいると思ったからだ。

みなとみらいランドマークタワーで少し時間を潰す。コスモワールドの観覧車から一望する景色を
眺めてから、次は中華街へ向かって海沿いを歩く… 中華街では肉まんや小籠包などを食べ歩き…

そして今、山下公園にいる。海の脇を歩きながら、いい具合のベンチを見つけ腰を下ろした。
…陽射しは強かったが、樹々が直射日光を遮ってくれていた。先ほどまで、滴るほどの汗をかいて
いたけど、座って暫くするとじんわりとした汗に代わっていた。

海ならではの " ザバーン " という波が打ちあがる音はしない。そんな初夏の静かな海を眺めていた。
後ろでは、芝生で幼稚園児とみられる幼い子供たちの遊んでいる声が聞こえてくる...

本当に相性が良い二人なら、目と目が合った瞬間に分かり合えるものなのかもしれない。
相手を追いかける様な恋は疲れるだけだし、きっと、うまくはいかない...

相手も、逃げたくなるのだろう… 後から振り返ると追うだけ時間の無駄たった
なんてことになるかもしれない… わかっている。自分では十分わかっていた。

恋愛の達人、女友達のミキは「素敵な男性ほど、追いかけてはいけない!」と言う。
「素敵な男性と出会い。自分から積極的に追いかけてみたけど、残念ながら付き合え
なかったり、例え付き合うことは出来ても、恋愛が始まったら頑張りすぎて短命に
終わってしまうわよ」と聞かされていたのだった......

せっかく追いかけても、数か月後には、彼が新たな女性に走ってしまうわよと、
女が追いかける恋愛は、うまくはいかないわよと、大切にしてくれないわよと、
 …女から追う恋愛が失敗しやすい理由を、
   ...ミキの苦い経験談から色々と聞かされていたのだけど......
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