長きにわたって、女優と歌手の両輪を回し続けてきたからこその魅力がある。心にあるのは74年公開の映画「無宿」(やどなし)で共演した勝新太郎さんの“金言”。
「勝さんに『最近レコードを出したんですけど、聞いてもらいます?』って言ったら『おお、聞く聞く』ってすぐ聞いてくれて。そしたら『おまえな、ずっと歌やった方がいいよ。だけどな“役者の歌”で行け』って。あれはすごく響いててねえ」。

 役者の歌−。梶は勝さんの歌唱を「(同じ歌でも)全部違うもん。音に遅れようが、音より早く歌っちゃおうが、その時の自分の感性で歌っちゃってるから、その場で歌っている」と語る。
そして「バックで演奏してる人は大変だと思うんだけど。でもそれを感じさせない歌の素晴らしさがあって。私はそれ(役者の歌)を言われた時に『なるほど、あのこと言ってるんだ』と思いましたよ」と振り返った