最初は知らないといっていた求女をじつは知っていると告白したところで、
半四郎はうそつきのヒーローになってしまった。

そもそも切腹を求めたのは求女のほう。そうさせただけなのになぜ井伊家が
非難されるのか分からん、という勘解由の主張は正しい。

ちなみに勘解由とは百官名で、書類の有効無効を判定する勘解由使に由来する。
その名のとおり理路整然とした反論に、半四郎はきちんと答えていない。

だいたい話を聞いたら切腹して死ぬと金丁まで打っているのに、
最後に大乱闘をして罪もない井伊家の家来を殺してどうなるというのか。

すさまじいまでの矛盾に満ち満ちた作品。