原作「藪の中」は三通りの解釈ができるよう、物的証拠も
それぞれの証言も敢えて半端にしてあるんだよ。
胸の短刀の件も、男が短刀で自殺をしてその短刀を木こりが盗んだ説と
真砂が刺して後で戻ってきて抜いた説の両方ともに可能性としてはあり得る。
ある程度までは推察できてもこれだけの証言では何れとは断定できない。
「辺り一面踏み荒らされていた」との木こりの証言もあるし、
となると多襄丸と男が争って、結局多襄丸が太刀で刺したが
それを男が庇ったという見方も可能性として無くはない。
真砂が刺したとした場合だと、多襄丸と夫とは戦わないことになるから
踏み荒らされていたという証言は矛盾する。
これも、その荒らされ方の程度を判然させない限り如何とも断定しかねる。

>短刀の件を隠蔽するのに他の出来事を歪曲する必要性があるとも思えない
実際に木こりが盗んでたとしたら、そのために嘘の証言をしないとも言えない。
むしろそこは隠そうとするのが自然の見方とも言える。