>>281
「仁義なき戦い」シリーズは、ポスト六十八年の内ゲバの時代を象徴するものとして
熱狂的に迎えられた。それは、三島由紀夫が絶賛して六十八年の学生に迎えられた「総長賭博」
に代表される、古典的かつ美学的なヤクザ映画をこえる新しさとして受け取られた。
 しかし、東映の実録シリーズは笠原.深作コンビから中島貞夫監督による「脱獄広島殺人囚」
「暴動島根刑務所」「実録外伝大阪電撃作戦」などへ変貌していく。福田和也が言うように、
「暴力の横溢の中でのならず者の祝祭というテーマは、深作によってではなく、より本質的には
中島貞夫によって具現化され、展開された」(現代暴力論―もしくはヤタケタな東映映画作品について)
という事は可能である。  糸圭秀実 (1968年)