色即是空は言葉によって実体に執着することを否定する智慧の段階を表現しています。

それに対して、空即是色は何も存在しない無という極端な考え方を否定すると共に、言葉のない体験に執着することも否定する智慧の段階を表現しています。

空即是色は大乗仏教が重視する智慧で「後得智」と呼ばれるものです。
言葉による認識はあっても、それらを実体視せず、執着もない状態であり、最終的には、言葉のない直観的な認識と言葉をともなう認識が完全に一致・両立します。
この智慧があってこそ、人を救うことができるのであって、小乗仏教の阿羅漢とは異なる大乗仏教の仏の智慧であると考えられました。

後得智を使う菩薩は諸法の実相を知る根本智を得ているので、後得智で使う世俗諦は凡夫の世俗諦とは違って勝義の方を指しています。