ある時、老人が海辺を歩いていると、
一匹の亀が民衆から石を投げつけられていた。

なぜこんなことをしているのかと問うと、 「この亀は竜宮城の人攫いだからだ」と答えた。
それを聞いた老人は民衆にこう言った。

「ならばしかたがない。続けなさい」 

そしてこう続けた。
「ただし、実際に竜宮城に行ったことのある者だけこの亀に石をぶつけなさい」
民衆は、とまどい、やがて一人また一人とその場を離れ、 石をぶつけているのは老人浦島ただ一人だけとなった。