>>295
つづき

座標変換はまず φ?1 で M に戻してから ψ によって座標のある集合 V ' に写す写像である。間に座標が決められていない空間 M を挟む形になっているものの、座標変換全体はユークリッド空間の部分集合 U ' からユークリッド空間の部分集合 V ' への写像になっている。すなわち M を経由しているという事実を無視し、座標変換を合成写像としてではなく全体で 1 つの写像として捉えると、それは普通のユークリッド空間からユークリッド空間への写像である。

m 次元座標近傍の族 S = {(Uλ, φλ) | λ ∈ Λ} が M 全体を覆っているとする:

M= λ∈Λ U_λ.
このとき、S を座標近傍系 (system of coordinate neighborhoods) あるいはアトラス (atlas) という。アトラスというのは地図帳のことで、局所的な地図であるチャートをいくつも集めて作った地図帳という意味である。

位相多様体
M をハウスドルフ空間とする。M の任意の点 a に対して、a を含む m 次元座標近傍 (U, φ) が存在するとき、M を(境界のない)m 次元位相多様体 (topological manifold) という。

これまで、局所座標 φ(a) はユークリッド空間 Rm に値を取ると考えてきたが、代わりに半空間 Hm = {(x1, x2, ..., xm) ∈ Rm | xm ? 0} に値を取ると考え局所座標の定義を修正すると境界のある位相多様体が定義される。

可微分多様体
m 次元位相多様体 M の座標近傍系 S = {(Uλ, φλ) | λ ∈ Λ} の任意の 2 つの座標近傍 (U1, φ1), (U2, φ2) に対し、U1 ∩ U2 が空でないならば座標変換

φ _1* φ _2^-1:φ _2(U_1 ∩ U_2) → φ _1(U_1 ∩ U_2)
のすべての成分が、Cn 級関数(n 回連続微分可能関数、すなわち n 回微分可能でありかつ n 階偏導関数がすべて連続となるような関数)となるとき、S を Cn 級座標近傍系という。

特に n = ω すなわち、全ての座標変換が実解析関数であるときは特に解析多様体 (analytic manifold) という。

つづく