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つづき

① X は位相空間
まず、「X は位相空間である」ことを示す必要があります。位相空間の定義はここでは省略します。

「X は位相空間である」を示すためには、X の開集合系を決定するなどの方法があります。ほかにも、別の位相空間を定義してから、その位相空間から誘導される位相を考えることもあります。次回具体的な例を作る際には、後者の方法をとりたいと思いますが、具体的な方法についてはそのときに議論しましょう。

⑥ C の開集合への同相写像 φi:Ui→C
上で定めた開被覆の各開集合 Ui に対して、「C の開集合への同相写像 φi:Ui→C」とは、C のある開集合 Vi に対して、同相写像

φi:Ui→Vi
を考えるということですね。この Ui と φi:Ui→C の組 (Ui,φi) を座標近傍系といい、今考えている座標近傍系全体の集合 {(Ui,φi)}i∈I をアトラスといいます。

同相写像 φi の行き先は C ということで、C の各点には複素数の値が定まります。したがって、X の一部分に、φi を通して C による座標が貼り付けられるということです。

X の開被覆に属するすべての開集合に対して座標近傍系が定義されているので、X の各点に座標が定まったといえます。

また、座標近傍系は、今考えている特定の開被覆に対して定めれば十分であることに注意します。

ここは僕が最初に誤解したポイントでした。座標近傍系はあくまで「今考えている開被覆に対して」定めればよいのであって、その開被覆に属さないような「任意の開集合に対して」定める必要はないということですね。

なお、φi が同相写像であるとは、φi が次の3つの条件を満たすことをいいます。

・φi が全単射
・φi が連続写像
・φ-1i が連続写像
さらっと「同相写像である」と書いていましたが、条件を示すのが結構大変だとわかるでしょう。

つづく