https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1073-1.pdf
数理解析研究所講究録
1073 巻 1998 年 1-48
RIGID 解析入門
加藤文元
九州大学大学院数理学研究科
この小論は 1998 年 5 月 6 日から同 8 日まで京都大学数理解析研究所にて開催さ ’
れた研究集会「リジッド幾何学と群作用」 において筆者が行った講演「p 進解析入門
I、II」の報告として、 その予稿をまとめ、更に幾つかの点について必要と思われる部
分を付足したものである.
CHAPTER 1
TATE による RIGID 解析.
1. 基本思想.
まず、 簡単な例について複素解析的状況との比較から始めよう 1

複素解析の時と全く同様に解析学を展開しようと
すると、 実は非常に本質的な問題が生じる. これを具体的に見てみよう:

即ち_、解析接続の原理_、つまり「 一致の原理} (principle of unique continuation)」に関
する問題点である. よく知られている様に、K の距離位相は全不連結 (totally disconnected) である、即ち 2 点以上からなる部分集合は連結でない (例えば [Gouv^ea 1997,2.3.8] を参照). 特に任意の開集合は決して連結ではない 4. 従って、意味のある解析接
続の概念を得る事はこのままでは不可能である; ある点のまわりで局所的に巾級数で
書けても、その点以外の点のまわりでのその関数の性質は、それがどんなに近い点で
あっても、 もとの点のまわりの性質とは全く関連が無い、 という事になってしまう.
読者は、 これらの問題は上記の関数の解析性の定義に現れた「局所的」という概念
がそもそもの災いの発端であると気付かれるだろう. 念のためもう -度整理すると:

つづく