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つづき

定義(等角同型). ふたつのリーマン面 S と R が等角同型 (conformally isomorphic) または単に
同型 (isomorphic) であるとは,ある正則(等角)な同相写像 h : S → R が存在するときをいう.
定理 7.1 (一意化定理) 任意のリーマン面は,次のような形のリーマン面 R と等角同
型である:
R = X/Γ
ただし X = C?, C, もしくは D であり,Γ は P SL(2, C) のある離散部分群.
まだ P SL(2, C) が X がどのように作用するのかが説明されていないので,現時点ではかなりあいま
い主張であるが,この X/Γ がモデルに相当するリーマン面である.とりあえず,「任意のリーマン面
は,ごくごく簡単なリーマン面を,P SL(2, C) という比較的素性のよくわかっている群の部分群で
割ったものと同等だ」という部分に意味がある.1 以下ではその構成方法を概観するが,その手順は
はあたかも,地球から地球儀を構成するかのようである.地表をくまなく歩いて地図帳を作り,それ
を使い慣れた材質に写し取りながら模型を構成していく.
まずは準備段階として,定理の証明に必要な「基本群と被覆空間」の用語を復習しつつ,リーマン
面の普遍被覆空間を構成する.2

8 リーマン面の一意化定理
一意化定理の証明を終わらせよう.手順としては,

8.2 商リーマン面の構成

8.3 リーマン面の一意化

単連結リーマン面の一意化定理. まず次の定理は証明無しで用いよう:
定理 8.5 (ケーベ,ポアンカレ) 任意の単連結リーマン面 X は,C?, C,もしくは D と
等角同型である.
証明は簡単ではない.まずコンパクトな場合(C? )とそうでないでない場合に分け,さらにグリーン
関数が構成できる(D)かできない(C)かで区別される.

つづく