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古典的 Neukirch ・ 内田の定理と単遠アーベル的復元との関係

https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~yuichiro/talk20140311_report.pdf
絶対 Galois 群による数体の復元 星 裕一郎 (京都大学 数理解析研究所) 2014 年 5 月
本稿は, 早稲田大学で開催された “第 18 回早稲田整数論研究集会” において 2014 年 3 月 11 日
に星が行った講演 の報告原稿である.

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1 Neukirch ・ 内田の定理と単遠アーベル的復元

NF の絶対 Galois 群の位相群としての同型類によって, その NF
の同型類が完全に決定される. 別の表現を用いれば, 絶対 Galois 群は NF に対する “完
全な不変量” であるということがわかる. この意味において, “その絶対 Galois 群によっ
て NF を復元することができる” と考えることが可能であろう.
一方, 望月新一氏は, [8] の中で, “そもそも復元とは何か?” という問についての考察を
行い, そこで, “双遠アーベル的復元”, “単遠アーベル的復元” という考え方を提唱した.
この考え方のある側面を簡単に述べてしまうと, これは, “何を遂行すれば所望の復元が完
了したと考えるか” という “復元という行為の完了の基準” の設定の問題であると言える
であろう. 本稿の主題である問の場合に, “双的な復元, 双遠アーベル的復元” の復元完了
基準を具体的に述べれば, 例えば以下のようになる.

つまり, さきほど復習した Neukirch ・ 内田の定理の証明を与えることが, 双遠アーベル
的復元の遂行に他ならない. それでは, この場合の “単的な復元, 単遠アーベル的復元” の
復元完了基準は何であろうか. それは例えば以下のとおりである.

つまり, 復元の “入力” から “出力” を生成する関手的な手続きを与えることができた
とき, “単的な復元” は完了するのである. このように, 2 つの対象 (つまり, “Fo と F・”)
を比較して復元を議論するのではなく, 単独の対象 (つまり, “F”) によってその復元を議
論するので, “双” ではなく “単” なのである. また, 上の具体的な例からも推測できるよ
うに, 通常は, 単遠アーベル的復元を遂行すれば, その系として, 双遠アーベル的復元が得
られる.

つづく