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つづき
・The ´etale theta function and its Frobenioid-theoretic manifestations
(2006 年)
p 進局所体上の退化する楕円曲線(= Tate curve)のある被覆の上に存在するテー
タ関数に付随する Kummer 類をエタール・テータ関数と呼ぶ。このエタール・テー
タ関数や、テータ自明化に付随する Kummer 理論的な対象は、様々な興味深い絶対
遠アーベル的な性質や剛性性質を満たしている。これらの性質の一部は Frobenioid
の理論との関連で初めて意義を持つものになる。また、このエタール・テータ関数
は、IUTeich では、pTeich における標準的 Frobenius 持ち上げに対応する対象を定
める予定である。この Frobenius 持ち上げの類似物を微分することによって ABC 予
想の不等式が従うと期待している。このようにして不等式を出す議論は、 
「正標数の完全体の Witt 環上の固有で滑らかな種数 g 曲線の上に Frobenius 持
ち上げが定義されていると仮定すると、その持ち上げを微分して微分層の次数
を計算することにより、不等式
g ? 1
が従う」
という古典的な議論の IU 版とも言える。

・Topics in absolute anabelian geometry I: generalities (2008 年)
このシリーズ(= I,II,III)の主テーマは、絶対遠アーベル幾何を、「Grothendieck
予想型の充満忠実性」を目標とした視点ではなく、「群論的なアルゴリズム=ソフト」
の開発に軸足を置いた視点で研究するというものである。この第一論文では、様々な
準備的な考察を行う。代表的な定理では、玉川安騎男氏に伝え聞いた未出版の結果か
ら、(半)絶対 p 進遠アーベル幾何では初となる Grothendieck 予想型の「Hom 版」
を導く。因みに、この定理は IUTeich とは直接関係のない結果である。
・Topics in absolute anabelian geometry II: decomposition groups
(2008 年)
IUTeich のための準備的な考察とともに、IUTeich とは論理的に直接関係のない
配置空間の絶対遠アーベル幾何や、点の分解群から基礎体の加法構造を絶対 p 進遠
アーベル幾何的な設定で復元する理論を展開する。ただ、後者の p 進的な理論では、
上述の「Frobenius 持ち上げの微分から不等式を出す」議論を用いており、哲学的
には IUTeich と関係する側面がある

つづく