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つづき

素イデアル
G の抽象的な記述だけではなくて、そのアーベル拡大においてどのように素イデアルが分解するかを理解することが数論の目的にとってより本質的である。この記述はフロベニウス元を用いて、二次体における素数の因数分解の様子を完全に与える二次の相互律を非常に広範に一般化するものである。つまり、類体論の内容には、(三次の相互律といったような)より高次の「冪剰余の相互律」についての理論が含まれるのである。

類体論の一般化
数論における一つの自然な展開は、大域体の(アーベルとは限らない)一般のガロワ拡大に対する情報を与える非可換類体論の構成と理解を行うことである。ラングランズ対応が非可換類体論と見做されることが多く、そして実際にラングランズ対応が確立されたときには大域体の非可換ガロワ拡大に関する非常に豊かな理論を含むことになるのだが、しかしラングランズ対応はアーベル拡大の場合の類体論が持っていた有限次ガロワ拡大についての数論的情報のほとんどを含んでいないのである。しかもラングランズ対応は類体論の存在定理に対応するものも含んでいない、即ち、ラングランズ対応における類体の概念は存在しないのである。局所および大域の非可換類体論はいくつか存在し、それらはラングランズ対応の観点に対する別の選択肢を与えてくれる。

つづく