中央公論 2019年6月号
労働開国の衝撃
▼ドイツ式「お客さん労働者」の二の舞になる!   
サンドラ・ヘフェリン
http://www.chuko.co.jp/chuokoron/
 いきなりですが、ここで意地悪くツッコミを入れてみます。
 本当に彼らは5年で帰るのでしょうか。外国人労働者が数年後、嬉々として母国に帰っていった、という例が
世界にはあまりありません。5年の間に日本語がうまくなるはずだし、仕事にも慣れることでしょう。
 雇い主が、引き続き残ってもらいたいと考えるケースも多くなりそうです。なぜならば、少子化かつ人手不足の
今の日本では、外国人労働者が母国に帰ってしまえば、その「穴」を新たな外国人労働者で埋める必要がある
からです。しかしその場合、日本語も仕事もまた一から教育しなければなりません。既に周りになじんでいる
外国人に引き続き働いてもらったほうが無難だと考える雇い主が必ず出てきます。
 会社が再申請をしてその外国人が日本に残ったり、またはその外国人が結婚などの理由から日本に残ったり
する可能性もあります。そんな彼ら彼女らは既に「ある一定の期間、日本で働く労働者」ではなく、立派な「移民」
です。ところが日本政府は「いわゆる移民政策はとらない」というスタンスを崩していません。
 この一連の流れについて、どこかと似ていると思ったら、それは私の母国ドイツでした。