(第三章)

翌日、「欅って、書けない?」の収録があった。

「ゆいぽん一筋の発言はダメだろうが。ゆいぽんの横を見てみろよ!」
土田さんが言った。
前席の織田は司会の二人を真っ直ぐに見つめている。
由依は右隣りの鈴本を見た。唇を尖らせて下を向いていた。
「どう、小林は?」
澤部さんが振ってくれた。
澤部さんは由依のことを好きなのかもしれない。
同じ埼玉出身という事実を差し引いても、他のメンバーより振られる回数が多い気がする。
由依は少しだけ鈴本を見ると、答えた。
「何か、意外とショック受けてるのかなと思ってて、鈴本が。だからゆいぽんって来られるとワケわかんない感情になって…」
左隣りの志田が大きな声で笑った。

メンバーが騒ぐなか、由依はまた鈴本を見た。
一瞬ぶつかった視線は、まぎれもなく一本の線となり表れている。
由依はこころの中の相関図に一本線を書き足した。

数秒後、その線が織田の奇行により引き裂かれたのは、言うまでもない。

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自動ドアが開かないんです。

ああ、わたしもついに透明人間になったのか〜
みんな私のこと見えてないんだな〜
これからどうしようかな〜

とかいう冗談を考えていたら
本当に全くドアが開かないから
透明人間としてのこれからを
本気で考えようとしてました。

--小林由依 公式ブログ『あ、ティッシュがない☆彡』より一部抜粋--
http://www.keyakizaka46.com/s/k46o/diary/detail/8276?ima=0000&;cd=member