1995 年1月に阪神大震災が発生した.
このとき,「菜摘み」の文化に培われた救荒植物利用の知恵は少しでも役立てられたのであろうか.
阪神大震災の後に発行された調査論文では,
「避難所生活が長引くにつれて被災者の栄養バランスが崩れ,とくに野菜や果物からとるべきビタミン類が不足した」
と報告されている(たとえば,金沢,1995; 森下・久保,1997).同時に,
「被災地周辺には食用可能な雑草が少なくとも 49 種自生していたにも関わらず,食用となる雑草の利用は全く認められなかった」とも報告されている(梅本,1996).
現代の飢饉ともいえる大規模地震などの自然災害が起こった時でさえも,救荒植物はまったく利用されることがなかったのである.

救荒植物を利用した食教育・環境教育・防災教育の可能性
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