危険な甘さ:果糖の生物学 西川伸一 | NPO法人オール・アバウト・サイエンスジャパン代表理事 2018/2/23(金) 15:42
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20180223-00081813/
この研究のハイライトは、私たち人間が摂取する程度の果糖をマウスに経口摂取させても、血中の果糖がほとんど上がらないという発見だ。
これまで、果糖は小腸で吸収され、そのまま肝臓に移行しほとんどが肝臓で代謝されると考えられてきた。とすると、まず血中の果糖が上昇するはずで、それが見られないということは、小腸内で処理されると考えざるをえない。

では食べた果糖はどう処理されるのか?
アイソトープ標識を手掛かりに、果糖由来の分子の出現を追跡すると、大半はグルコースに転換されており、これが果糖を摂取後血中グルコースが遅れて上昇する原因になっている。
同時に、グルコースを摂取した時と比べて多くのグリセレートを始めとする様々な中間代謝物に転換されることを見出している。
もちろん通常私たちが甘み付けに用いる砂糖もグルコースと果糖からできているため、砂糖を添加した食べ物はすべて果糖を食べたのと同じ効果がある。
(中略)
面白いのは、先に果糖を摂取すると、果糖を処理する酵素の発現量が2時間以内に十倍以上高まり、より多くの果糖を小腸で処理できるようになる。
しかも、小腸での果糖の処理は、糖代謝の調節の主役インシュリンには全く影響を受けず、別経路で行われる。
前もって果糖をとることで、果糖の処理能力が高まるこという今回の結果が、甘いものはデザートとして食後にとるという生活の知恵と合致しているのには驚く。
一方、甘いものは確かに別腹で、食事中に果糖が添加された飲料を摂取することは、糖質を摂り過ぎるだけでなく、肝臓への負担を高めることもわかる。