さて、ここで見逃してはならないのは、この地上において空気抵抗を無視すれば、というフレーズである。
確かに、アポロ宇宙飛行士が月で落としたトンカチと羽毛は同時に落下した。
しかし、同じ実験をこの地球上で行うと同時には落ちない。木の枝から離れた枯れ葉は不規則な軌跡を描く。
野球のボールやサッカーのボールは握りや手首のひねり、蹴り方によって不規則に変化する。
つまり、厳密にはニュートン力学に従ってはいないように見える。
もちろんだからといって、ニュートン力学が間違っているというわけではない。
すなわち石ころやボールなどの質点を一次系、空気などの媒質を二次系とすれば良い。
つまり、一次系の質点はあくまでもニュートン力学に従っているのだが、二次系である媒質が邪魔をする、
つまり運動の本質はあくまでも質点であり、媒質は亜流であり俗物である。
一流の物理学者がやることはあくまでもより還元されたモノの振る舞いであり、
二次的なモノの振る舞いはいずれ一次的なモノから演繹されるだろう。
しかしこの方法論は明らかに倒錯している。