地上の生物はそこら辺の土くれから自らの体を造り、やがて土に還る。
化学者はどす黒い原油からプラスチックや化粧品や医薬品などの各種製品を造る。
塩素もナトリウムも猛毒である。単体でそれを口に入れるのは危険だ。
しかしそれらが結合した塩は人間にとって必須のモノとなる。
つまり化学者が見かけ上モノを出したり消したりという魔法を使えるのは、
電荷には+と−の量があることを知っているからである。
その様子はマジシャンが、鳩を出したり消したりできるのはテクニックによるものであって、実際に虚空から出し入れしてないのと同じだ。
ところが物理学者は+の質量を相殺すべき−の質量を知らないという。
ならば物理学者の演じる魔術は文字通り種も仕掛けもない、実際に虚空から時計や
ネックレスを取り出したり消し去っていることになる。
すなわち物理学が採用している「場」とはオカルトと親和性が高い世界である。