ときに201×年。

公園のダンボールに包まっている中年の男。
彼は最近までANS社員であった。

だが30歳を過ぎてから就職の面接は断られ続け、この3ケ月仕事はしていない。
思い切って他業種の就職面接にも出向いたが、どこもANS出身とわかると門前払いか
履歴書を送付しても音沙汰なし。

貯えも底を尽き、1ケ月前から公園ぐらし。
この1週間、ろくなものも口にしていない。

夜空を見上げる彼の目には、昔2ちゃんねるで見た
『新卒でブラックに入ったら人生終了』
という言葉が、まざまざと蘇った。

「どうしてあの時、思い直さなかったのかな・・・俺」
悔やんでもしょうがないことはわかっていても、後悔の涙が込み上げてくる。

仲間とクラブで踊り、カラオケで唄った。
焼肉に回転寿司。食べたいものを食いまくっていた。
すべてが今思えば夢のような日々。
とっくに電池が切れたスマホが虚しい。
声を殺して泣いた。

彼の背後に影があった。
「おーい、ターゲットみっけぇ!」
金属バットを片手に不敵な笑いを浮かべる少年たちであった・・・