多変数函数論
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多変数函数論(多変数複素解析学)について語りましょう。 最近は数学と何の関わりもない憂国烈士様までアゲアゲしてるしな 岡の論文の日本語訳集というようなものはないのでしょうか?
フランス語はだいたい英語に似てるけれども、あやふやに
読んで居るうちに0.8の理解の冪乗を重ねていくと、結局
誤解・理解不能になってしまうし、だいたい眠たくなってしまう。
あるいは完全な日本語訳がなければ完全な英語訳でも良い。 >>103
英訳があるのはご存知?
Henri CartanのCommentaireがついていて面白い。 >>100
ありがちな話だな
日本人は偉人を利用して他人を叩くからな >>105
偉人を利用して偉人を叩くなら全く問題ない >>103
英訳にはRemmertのVorwortもついている 「人間の建設」は人気が衰えないようで驚きだ
駅の書店のおすすめ文庫コーナーにまだあった >英訳があるのはご存知?
知らないです。出版社、タイトル、著者、発行年などをPlease。 Collected Papers Hardcover – September 1, 1984
English Edition by Kiyoshi Oka Oka, Kiyoshi Collected papers.
Translated from the French by Raghavan Narasimhan.
With commentaries by Henri Cartan.
Edited by Reinhold Remmert. Reprint of the 1984 edition [MR0754337].
Springer Collected Works in Mathematics.
Springer, Heidelberg, 2014. xiv+223 pp. Cartan, Narasimhan, Remmertの順だったかな
亡くなったのは >>122
証明というか、拡張できない正則関数の例を教えて下さい。 1/(z-1)は単位円板上で正則で、z=1を越えては拡張できない。
これは自明としてよいだろう。
このことから
単位円板のどの境界点pに対しても、
単位円板上の正則関数でpを越えて解析接続できないものがあることも
自明としてよいだろう。
すると
1/(z-1)をC^2内の二重円板上の正則関数と思うことさえできれば
二重円板が正則領域であることも自明ではないか? 1/(z-1) が拡張できない?
z=1 以外全部で正則じゃん >>119
>>1/(z-1) が拡張できない?
「z=1を越えては拡張できない。」と書いてある。
目は確か? というか、「気は確か?」と書いた方がよかったかな。 あああそうか
「z=1を越えて拡張できる」の意味が分からなかったわけだ。
言葉の使い方としては
単位円板D上で正則な関数fが
z=1を越えて拡張できるとは
z=1の近傍UとU上で正則な関数gがあって
U\capD上でf=gとなることを言う。 凸領域が正則領域である理由も同様で
領域に含まれない任意の点pに対し
pを含み領域と交わりを持たない
複素超平面が存在するからである。 ハルトーグスの拡張定理によれば、1/(1-z) を|w-1|=1で積分するとz=1
を超えて正則になるのでは?
∫_{|w_2-1|=1}}∫_{|w_1-1|=1} 1/{(1-z_1)(w_1-z_1)(w_2-z_2)}dw_1dw_2
は(z_1,z_2)の正則関数では? つまり、コーシーの積分公式をくりかいして、
f(z_1, z_2)=(2πi)^(-1)∫_{|w_1-1|=1} f(w_1, z_2)/(w_1- z_1) dw_1
= (2πi)^(-2)∫_{|w_2-1|=1}∫_{|w_1-1|=1} f(w_1, w_2)/(w_1- z_1)(w_2- z_2) dw_1 dw_2 >>118-120
1次元は任意の開集合が正則領域になるが、
2次元以上では正則領域にならないような開集合がある。
例えば凸で無い集合はなぜ正則領域ではないか、直接的な反例が作れますか? >>127
>>例えば凸で無い集合はなぜ正則領域ではないか、
凸領域が正則領域だからと言って
凸でなければなぜ正則領域でないかなどという
血迷った質問をしないように
おそらく
「凸でない領域はなぜ正則領域とは限らないか」
の書き間違いだろうが、日常生活でも
こんな間違いをしていると
良いことはないよ。 多変数(2以上とする)の関数の問題で、
変数の個数が特別の場合にだけ、例外的なことが
あるというような話はないのかな?トポロジー
などでは空間の次元などでそういうことがあったりも
するようだけれども。 >>130
解析ではそのようなことはない
特別なPDEに次元の制限が付くことはあるが、それは方程式の形による制限で
空間次元の性質ではない >>130
シュタイン多様体の埋め込み問題では
1次元が未解決で2次元以上は解決済み 多変数関数論の意味のある未解決問題ってどんな問題がある? これよりは見込みがあると思われる
P.A.Griffithsの予想
C^nの開集合の解析的な(相対)閉部分集合Xが
局所的にSteinなら
XはSteinか 有名なアバンダンス予想や藤田予想も
複素幾何の重要な未解決問題だが
多変数複素解析の問題と言ってよい コンパクトなケーラー多様体の
ケーラー的解析族における
多重種数の変形不変性も
有名な未解決問題。
代数多様体の場合には多変数関数論の手法で
解決されたので
ここが突破できれば多変数関数論の
新たなブレイクスルーとなる。
解決できれば
ブレイクスルー賞くらいはもらえるかもしれない。 残された問題は難しいのばかりですね。
今は特異点のある場合の研究が多いですかね。
ところで、Gromov がやったシンプレクティック多様体への概正則曲線のように
正則性を落とした(概正則構造の)研究ってありますか? 概複素構造で積分可能でないものの
条件を付きの変形が
力学系的な視点から研究されているのを
セミナーで聞いたことはあるが
理解はしていない >>138
>>今は特異点のある場合の研究が多いですかね。
MMPを中心とした研究はそうだね。
特異点そのものの研究は難しい >>138
難しいといっても
多重種数の変形不変性は
代数的な場合は解けたわけだし
方法も最初は解析だったけど
すぐに川又先生が代数的な証明を見つけたわけだから
一般の場合も解けてしまえばあっけないのかもしれない
多様体の場合の結果を特異点の種類によって小出しに結果を出しても
論文は書けるかもしれないが
本質的な進展を遂げたことになるかどうか。 >>138
そういう興味からであれば
今度女性研究者たちの集まりで
McDuffさんが話されるから
聴いてみられると面白いかもしれない >>138
>>今は特異点のある場合の研究が多いですかね。
特異点のあるシュタイン空間上では
領域のシュタイン性が局所シュタイン性によって
特徴づけられるかどうかは未解決。
Griffithsの予想と似ているが
こちらは特異点集合の次元が0である場合には解けている
(by Andreotti and Narasimhan) 特異点がキーワードだと
やや萎える感じがあるが
漸近解析だと意外に多くの新しい方向がある。 YauがTianの学位論文で示唆した方向がその一つだった。
最近でもpseudonorm projectとか言っていろんな進展があるようだ。 最近のFinskiの仕事など、Demaillyのcomplex Morse theoryの
方法を古典的なスペクトル解析とからめて
おもしろい方向に広げている Xiajun Wuの
Chern classes of coherent sheaf and Bogomolov inequality
は
去年シンガポールの集会で聞いたBismutたちの仕事とは独立らしい
立派なものだと思う Wuの話は日本・中国・韓国共同の若手研究会での講演
そこでは特異点がある場合はどうかという質問が
時々出た。 >>138
>>今は特異点のある場合の研究が多いですかね。
ちょっと前の話になるが
対称有界領域の商空間上の公式に関連して
特異点のある空間の交叉コホモロジー群が
盛んに研究された。
Cheeger Goresky-MacPherson予想というのがあったが
これも未解決。 特異点ではないけど、Demaillyは退化するエルミート計量を扱っている。 >>153
確かに学位論文では退化するエルミート計量を
扱ったが有名なのは特異エルミート計量で
これは特異性を許した計量
特異エルミート計量と退化エルミート計量は
区別するべき >>154
特異エルミート計量と退化エルミート計量って何が違うの?
「正定値性が崩れる点がある」という意味で使ったのだが |z|^2はz=0で退化する退化エルミート計量
|z|^{-2}はz=0で特異性を持つ特異エルミート計量
区別すべきなのは当然 Mittag-Lefflerの部分分数分解はわかっても
Weierstrassの乗積定理はわからないというのと一緒 おそらく、そういう誤解は138の
>>残された問題は難しいのばかりですね。
と根は一緒 多変数関数論の未解決問題をブレイクスルーするための
強力な武器はどの辺にあるのでしょうか? 昔セミナーでそれに似た質問をしたら
先生がフランスでの講演で
一つの予想を述べられたとき
「解く方法は?」と質問されて困ったと
言われ、
「それは山に今から登ろうかというとき
鎖はついていますかと聞くようなものだ」
と答えられた。
その答えを聞いて「バカなことは聞くな」と言われたように感じたし
「方法がないのなら勉強しても仕方がない」
と思って、そっちの方面はおいておくことにした。
しかし多変数複素解析全体は結構広かったので
食べていくくらいのことはできた。 >>162
なんだかとても恥ずかしい質問をしてしまいました。
申し訳ありませんでした。 イキるだけの材料と元気を持っている者を
爺呼ばわりは失礼 多変数関数論やるのに、岡やカルタン流をやるかヘルマンダー流の解析をやるか、どちらが良いのだろうか? ハルトークス流やポアンカレ流もあるだろうし
E.M.Stein流やFefferman流もあるし
Grauert流やSiu流
そしてDemailly流もある
ほかにもたとえば
野口流とかFornaess-Sibony流とか
まあその二通りというのは少なくとも
トレンディーではなかろう ポイントは解析の分野で
特に複素解析的な嗜好を満足させることのできる
問題を探すことだ >>168
>>多変数関数論やるのに、岡やカルタン流をやるかヘルマンダー流の解析をやる
>>か、どちらが良いのだろうか?
その二つが入り口だったのは1965年。
今から57年も前。
この二つがあるので
多変数関数論の勉強を富士登山に例える先生もいた。 でも入口(最初に読む本)は今でも変わらないと思うけど。
野口先生の本とかあるけど、野口先生の本は岡流。
大沢先生はヘルマンダー流って感じで、大まかに分けられる。 カルタンの定理Bが多変数関数論のすべてのように言う人たちがいる。
そういう立場からすれば確かに
岡・カルタンの方法とヘルマンダーの方法があるわけで
野口は前者、大沢は後者と分けられる。
しかし、ちょっと見方を変えると
ハルトークスの仕事はワイエルシュトラスの
「多変数においてはすべての領域が正則領域」
という誤った主張への反例から始まったわけで
Fornaess-StensonesのPrinceton講義録に沿って反例を片端から勉強していくのも
立派な勉強法ではないか。
ちなみに、Fornaess自身は今世紀に入ってから
北京でL2理論の講義録を残していて
わかりやすいので評判が良い。
日本の院生でこれを読んで修論を書いた人を知っている。 今週は
OberwolfachとBochumで研究集会があった。
Complex Geometryが二派以上に分かれて
活動している印象がある。
多変数函数論はもはや富士山ではなくなった。 カルタンの定理BへのL2理論的アプローチを最初にやったのは
AndreottiとVesentiniの1962年の論文だが
ヘルマンダーは完成度が高く使いやすいので
みんなヘルマンダーの方法と言うようになった。 AndreottiとVesentiniの方法は
小平理論がもとになっているので
小平の消滅定理が載っている
小林昭七の「複素幾何」あたりも
多変数関数論の入門としてはよいだろう。 野口潤次郎 「岡理論新入門: 多変数関数論の基礎」 裳華房 (2021年)
↑これですが,証明は丁寧ですか? >>177
読んだことがないので「丁寧なんだろうなあ」としか言えないが
ネットで読めるところだけ読んだ印象では
著者の宣伝文句の「Weierstrass preparationもL2 estimateも使わない」
というのが誰に向けた言葉なのだろうかと思う。
両方とも知っていて岡理論を勉強したことがない人は
そんなにいないと思われるから、著者としては岡理論を一通り勉強した人に
「こんなに簡単に説明できることがあるんだぞ、エッヘン」
と自慢したかったからこの本を書いたのであろうと思われる。
だから初心者にはお勧めできない。 >>178
ありがとうございました.
初心者にはスタンダードな本のほうがいいということですね.
結局,無理しているわけですよね. >>178
自分のように多変数関数論が専門じゃない人の需要がうある。
代数幾何をやっている人が多変数関数論を勉強したい人には、
丁度いいんじゃないかな。代数の人はL2評価とかは嫌がるよね。
逆に自分のような解析屋からすると、逆にL2評価ゴリ押しの
ヘルマンダー流の本の方が理解しやすい。
こっちは、連接層のコホモロジー系列とかいややから。 ただ、今までの野口先生の本と何が違うのかは、見てみないと分からない。 >>182
現地で参加していた人からのメール
日本からの参加者は約3名 C^nの領域の場合、ケーラー計量で考えているから、
ケーラー多様体への拡張、一般化等幾何への発展はどのくらいおこなわれていますか?
カルタンの定理と小平の消滅定理など非常に似ているようにみえますが、
両者の関係性はありますか? >>184
岡理論はc^n上なので
ユークリッド計量を用いたが
CP^n上でFubini-Study計量を用いて
同様の結果を得たのが武内
武内以前に岡理論が正則領域の完備ケーラー性を言っていると
指摘したのがGrauertの学位論文
これを踏まえて小平の消滅定理を
完備ケーラー多様体上へと一般化し,
岡・カルタン理論を小平理論の非コンパクト版として
再構成したのがAndreottiとVesentini。
Andreotti-Vesentiniの方法(またはH\“ormanderの方法)で
代数幾何や微分幾何の多くの重要な問題が解かれた。 >>185
ご解答ありがとうございます
やはり、小平の消滅定理が岡・カルタンの定理Bと結びついて、
さらに完備ケーラー多様体へと一般化されたんですね。
カルタンの定理Bは代数幾何的にスキーム理論へ一般化されたので、
やはり重要な定理というのは、様々は方向へ発展していくようですね。 >>185
> 武内以前に岡理論が正則領域の完備ケーラー性を言っていると
>指摘したのがGrauertの学位論文
正則領域が完備ケーラーとなる様なケーラー計量が存在するという意味か?
C^nの計量では、領域は完備になるとは限らない >>187
>>正則領域が完備ケーラーとなる様なケーラー計量が存在するという意味か?
正則領域は完備ケーラー計量を持つという意味
もう少し詳しく言うと
岡は1942年の論文で、正則領域の内部で境界までのユークリッド距離を測った関数を
d(z)とすれば、-log d(z)は多重劣調和性を持つことを発見した。
Grauertは1956年の論文で、この関数を用いれば任意の正則領域上に
完備なケーラー計量が作れることを示した。 >>188
ご丁寧にどうもありがとうございます。
多重劣調和関数が取れると、それから作られる計量が正曲率になって、
小平の消滅定理と同様にして、カルタンの定理Bが得られるという感じでしょうか。
このような、多変数関数論を微分幾何的に論じている本はどの様な物がありますか? >>189
ここで書いた計量は、空間のケーラー計量ではなく、
自明直線束のエルミート計量です(小平の消滅定理の、正な直線束になる)。 >>189
>>多重劣調和関数が取れると、それから作られる計量が正曲率になって、
>>小平の消滅定理と同様にしてカルタンの定理Bが得られるという感じでしょうか。
正確には、正則領域X上では-log d(z)を基にして、滑らかな関数で近似したり|z|^2を足したりして、強多重列調和なexhaustion function f(z)を作ります。e^{f(z)}のLevi形式が完備なケーラー計量になります。
e{-f(z)}は自明直線束のエルミート計量になり、その曲率形式は
f(z)のLevi形式で、正です。これを踏まえると、
Xが強多重劣調和関数でexhaustされる複素多様体ならば
任意の正則直線束は正になり、小平消滅定理と同様の方法で
正則ベクトル束に対するカルタンの定理Bが得られます。
この方法で小平理論と岡・カルタン理論を統一的な視点で論じることができます。191のリストの中では中野の本がそれを実行しています。 多変数関数論をやるとなると、
コホモロジー理論とかイデアルとかが
良く理解できてないとだめなんでしょ?
1変数の場合に比べて多変数なりの道具立てが要りますよね? >>191
凄いね、結構出ているんだね
ただ、グラウエルト・レンメルトのシュタイン多様体(シュプリンガー)の和訳本が無い >>193
層のコホモロジーで多変数関数論から脱落するのはよくある話
自分も最初は層が全く分からなくて脱落した。
1変数のノリで解析をやるんだと思っていたら、代数の議論(それも道具の準備)で萎えた >>195
グラウエルト・レンメルトのCoherent Analytic Sheavesもない
このリストには未掲載だが他にも大切なSCVの洋書は色々とある Krantzの本は初心者向きなのでよく読まれている。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています