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つづき

OLAP高速化のために探索的データ分析を高速に実行するフレームワークも開発する。OLAPのクエリー(問い合わせ)を実行する前に機械学習ベースのアルゴリズムによってその内容を分析し、クエリーにとって最適なスキーマ(構造)を設定する。クエリー実行計画に加えてデータ構造も最適化することで、探索的データ分析を高速化する。

■PostgreSQL互換、OSSとして公開

新しいRDBはOLTPエンジンとOLAPエンジンの両方を搭載する。両エンジンに対応するクエリーのコンパイラーも開発する。完全に新規開発のRDBではあるが、SQLクエリーなどアプリケーション開発者にとってのインターフェースはオープンソースソフトウエア(OSS)のRDBであるPostgreSQL(ポストグレスキューエル)互換とすることで、使い勝手を良くする。
新RDB自体もOSSとして公開する計画だ。

RDB市場は現在、米オラクルや米マイクロソフトといった海外の巨大IT(情報技術)企業の独壇場だ。そうした中で国産RDBに勝機はあるのか。

開発リーダー役を務めるノーチラスの神林飛志会長は「DBの分野で近年、パラダイムシフトと言うべき目覚ましい技術進化が起こっている。この動きに対応するためには、既存DB製品もアーキテクチャーを根本から作り替える必要がある」と語る。全ての製品が作り直しになるのだから、新規開発の製品にもチャンスがある。それが国産RDBを新規開発する理由だという。

RDBの世界で近年、最も目覚ましい技術進化が起こっているのはトランザクション処理だ。現在の主要RDB製品で採用されている「2相ロック(2PL)」や「マルチバージョン同時実行制御(MVCC)」といったトランザクション処理方式は、1980年代末までに開発されたもの。それから四半世紀、トランザクション処理方式に大きな進化はなかった。

しかし13年に「SILO」という新しい方式が提案されてから「トランザクション処理方式の常識が大きく変わり始めた」(慶応義塾大学環境情報学部の川島英之准教授)。このSILOは、今回の新しい国産RDBにも影響を与えている。

つづく