>>620
つづき

背景
C を Q 上の種数 g の非特異代数曲線とすると、C の有理点の集合は次のように決定することができる。
・g = 0 の場合:全く点が存在しないか、もしくは無限個: C は円錐の断面(英語版)である。
・g = 1 の場合:全く点が存在しないか、もしくは C が楕円曲線で、有理点が有限生成アーベル群である。(モーデル定理(Mordell's Theorem)は、後日、モーデル・ヴェイユの定理(Mordell?Weil theorem)へ一般化された。さらにメイザーの捩れ定理[1]は捩れ部分群の構造を制限している。)
・g > 1 の場合:モーデル予想、現在はファルティングスの定理である。C は有限個の有理点しか持たない。

証明
ファルティングスの元々の証明は、テイト予想の既知の場合へ帰着させることと、ネロンモデルの理論を含む代数幾何学の多くのツールを使う方法であった。
ディオファントス近似を基礎とする全く異なる証明は、ポール・ヴォイタ(英語版)(Paul Vojta)により得られている。
さらにヴォイタの証明の初等的な証明はエンリコ・ボンビエリ(Enrico Bombieri)が与えた。

https://mathsoc.jp/section/algebra/algsymp_past/algsymp16_files/number-theory/4-yasufuku.pdf
有理曲面上のボエタ予想 安福 悠 (日本大学理工学部) 2016
(抜粋)
2 主定理の紹介
Vojta の主予想 [3, Main Conjecture 3.4.3] とは,代数体 k,k 上定義され
る滑らかな射影代数多様体 X,k 上定義される正規交叉因子 D ごとに定ま
る,X の k 有理点が満たすとされる高さ関数の不等式である.代数多様体の
標準因子が負であればあるほど,正規交叉因子に有理点が近づけると主張し,
「幾何が整数論を制御する」という哲学が明示化される一つの方法となってい
る.大変難解な予想とされており,Faltings により証明された Mordell 予想
や,ディオファントス近似の金字塔とされる Schmidt の部分空間定理も,特
別な場合として含んでしまっている.また,「一般型の代数多様体には k 有理
点が Zariski 稠密にはない」と主張する Bombieri?Lang 予想や,2012 年に京
都大学数理解析研究所の望月新一教授により証明が発表された abc 予想も導
ける (Vojta [4])ことが分かっている.