日本人が大好きな「安すぎる外食」が国を滅ぼす
「ビッグマック指数」に見る経営者の歪み
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
ttps://toyokeizai.net/articles/-/267008
 では、なぜ日本のビッグマックの価格はタイやギリシャなどよりも安いのでしょうか。
 ご存じの通り、日本の不動産価格は決して安くありません。材料も決して安くはありません。電気代やガス代も高いです。
 利益は全体の付加価値のごく一部にしかならないので、利益水準の違いでは、日本のビッグマックの価格が安い理由の
説明はできません。
 残るのは、付加価値の最大の構成要素である「人件費」です。

 人口がコンスタントに増えていた時代と違い、人口減少・高齢化が進む時代に、最低賃金が安いことをベースにして、
「いいものを、安く、たくさん」という経営戦略をとることは無責任極まりない行為です。
 最低賃金の引き上げに反対する人は、「最低賃金を上げると、中小企業は潰れる」と言います。しかし、どんなに無能な
経営者でも可能な「いいものを安く」という経営戦略を可能にしている「最低賃金の安さ」によるメリットは、いったい
どこにあるのでしょうか。
 最低賃金を引き上げたら、あたかもすべての中小企業が倒産するというような極論を言われても、愚言としか思えません。
最低賃金を毎年5%程度ずつ引き上げていけば、大きな影響を受ける企業は数パーセントという試算になりますし、生産性
向上を実行すれば、その影響も軽減されます。