【小説】欅坂守屋「バトルロワイアル?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
2018年2月22日
0:00
今泉「友梨奈!起きてっ!友梨奈ぁ!!」
ただ事ではない声に少女たちは目を覚ます。
今泉は傍らに眠る平手の腕を揺する。
平手「……ん……」
平手は目を覚まし上体を起こす。
周りを見渡すと見慣れない教室にいた。
机やイスはないが何の変哲もない至って普通の教室だ。
逆に何もないことが異常さを引き立てている。
今しがた起きたばかりのメンバーたちも同じように周りを見ていた。
平手「ここどこ!?」
今泉「わかんない!」
首を横に振る今泉。みんな同じ状況のようだ。
一体何が起きているのか、起ころうとしているのか。 船の管理室にて大人二人がその様子を見ていた。
黒服4「守屋茜の死亡が確認されました……」
澤部「フウ――」
澤部は少女のウォッチへ終了の放送する。
澤部『欅坂46"バトルロワイアル"――、これで終了でーす!』
米谷「…………」
澤部『さっすがだぞお〜〜よねさ――ん!よく頑張ったなあっ!!それじゃあ全ての禁止エリアを解除するので、港まで来てくださーい』
2018年"バトルロワイアル"=第四回大会 欅坂46 in 榮島
2月23日 23:15 終了――
港に着くと、拍手で出迎える澤部とそれを警護している黒服がいた。
澤部「いや〜〜すごいなあ!まさかよねさんが――」
米谷「そういうのいいから。早くシャワー浴びさせて」
優勝者 十九番 米谷奈々未(17) 東京某所
少女たちの映像を視ている20人以上の業界人が集っていた。
土田「いや〜みんなよく頑張った!俺が育てたんだぜ?」
指原「今年はなかなか見ごたえありましたね!ハラハラしましたよ〜」
秋元「あの子たちにああいうのやらせたら間違いないと思ったのは間違ってなかった」
指原「ホントですよ!でも来年はどうしましょう?今年以上のグループなんてあります?」
土田「乃木坂は絶対やらせたくないし、48グループはどっかあんだろ?HKTは?」
指原「マジムリですから!」 土田「なんだよ〜〜びびってんじゃねーぞ!」
指原「あ!話題に出て来たチーム8の子たちとかどうですか?」
土田「ああ〜ねると米さんが言ってたな。面白そうなのか?」
指原「いい感じの子たちですよ。あでもト〇タさんに怒られちゃいますよね」
秋元「いや、元々この企画をやらせるためだけにエイトを作ったようなものだ。47都道府県で誰が一番強いかってな。主力メンバーが高校生になるまで育ててたんだ」
指原「マジすか!?」
土田「何それ!すっげー面白そ〜〜〜〜!!!」
秋元「業務連絡。来年、第五回大会はチーム8」 船 控室
澤部「よう米さん!お疲れさんしーごーろくななはちぃお水♪」
ペットボトルの水を持って、米谷のいる控室に入る。
米谷はごろの悪いギャグのせいではなく、話したくもないといった感じで嫌そうな顔をしている。
米谷「……何か用ですか?疲れてるんでほっとしてほしいんやけど」
澤部「つれないなぁ!俺は嬉しいんだぞぉー!」
米谷「それより、まだ出航しないんですか」
澤部「あー今ちょっと黒服が忙しいからな。ところで――首ぃ、スッキリしたなあ!」
米谷「…………」
常時爆弾を首に巻き付けている状態で過ごしていたため、外した後の解放感は素晴らしかった。
危険エリアに入らなければ爆発しないとはいえ、身につけているだけで圧迫感で落ち着かなかった。 澤部「"コンタクト"も外したんだな?」
米谷「……ほんまに信じられへん」
怒りの目で睨み付けて来る。
運営はプレイヤーの右目にカメラ機能を有するコンタクトを埋め込んだことを教えていない。
先程黒服に教えさせ、その目からコンタクトを外れた。
澤部「ごめんな〜!でもこれは遊びじゃなくてTVShowだからさ、やっぱ映像がないとな」
米谷「…………」
澤部「トイレとかはちゃんとAIが自動的にモザイク処理して100%隠れるようにしてあるから安心していいぞ〜!まあアイドルはトイレしないか!」
米谷「最低……」
澤部「ところでさーよねさーん。なんでねると平手が死んだ後、すぐに守屋を殺さなかったんだ?」
米谷「……最後のチームメイトくらいは別れを言って、せめて墓に埋めたってあげたかった……」 島には寺院や墓地のマークがあり、過去三回の大会で戦死した少女たちはそこに供養されている。
せめて自分が殺める人間は埋葬したいと言う。
澤部「守屋が眠ってる間にズドン!でよかったんじゃないか?」
米谷「それは私の正義に反する」
澤部「ふ〜〜ん」
米谷「……何?」
わざとらしく納得すると気になったようなので本題に入る。
澤部「コンタクトの他に言ってなかったことなんだけどな、支給したウォッチ……あれ――心拍数なんかも測れるんだよな」
米谷「――!?」
澤部「体温や発汗量等いろいろデータとして見れてな、まあつまり嘘なんかついてたりすると判っちゃったりするんだなーこれが。すごいだろー?」
米谷「…………へえ」 澤部「で〜何が言いたいかってーと、米さん。全部、気づいてた?」
米谷「そんなん、知るわけないやんか。なんでそんなことを教える?」
澤部「いやな、ねるはわざわざウォッチも外してこの船に襲撃しに来たんだ。危うく全滅させられるところだったんだぞー」
米谷「襲撃の話は聞いたけど……」
澤部「コンタクトは齋藤が殺されて溺れるくらい泣いて外れたみたいなんだが、故意に外したのだとしたらそれを米さんに伝えてるはず」
米谷「うちらの会話を聞いていたんなら分かるはずやろ。そんなことねるから聞いてへんわ」
澤部「お前らはそんなバカじゃないだろー。米さんがコンタクトのある右目を閉じて筆談でもされればこっちからは気づけないんだよ」
米谷「…………」
沈黙するということは実際にコンタクトを塞いで筆談していたことを意味する。 澤部「さらにねるは脱出の方法まで思いついていたみたいだったしな。米さんも。その方法を互いにどうやって打ち合わせしてたんだ?」
米谷「ねると打ち合わせなんかしてないから互いの脱出方法は知らない。ただ"最後の瞬間が来るまで教えない"という条件が同じだっただけで」
澤部「おおそうくるか!じゃあ米さんの脱出方法は何だったんだよ?」
米谷「私が今ここにいるってことはどういうことですか」
澤部「うんうん!!脱出方法なんて絶対あり得ないんだよ。最初は俺たちも嘘だと思ってたんだ――」
後半は悪ふざけを止めて、真剣に問い質す。
ウォッチを見せながら言葉を続ける。
澤部「でもな――米さんが嘘をついたのは、最後の最後でだ」
米谷「……最後?」
澤部「守屋と対峙した時、米さんからず――っと嘘の反応が出続けていた」 米谷「あ……?あん時……私が何を――」
澤部「自分で分かってるだろー!脱出だよ!脱出ぅ!!」
米谷「脱、出――……」
澤部「”脱出の方法がない”というのが嘘で、本当は脱出の方法があったんだろ?」
米谷「……」
米谷は冷酷な表情で回答する。
米谷「はい」
澤部「!!おいおいおいおい〜〜、えらくあっさりと……ええ!?」
まさか肯定されるとは思っておらず、驚きを露わにする。 澤部「こっちから聞いとてなんだけど、あの状況でマジで脱出できたのかあ!?」
米谷「だから"はい"。私は脱出方法を思いついていた」
澤部「エエッ!!!」
米谷「ねるに思いついて、うちに思いつかないわけがない」
澤部「じゃあなんで守屋を脱出させなかった?」
米谷「決まってるやろ。違反して殺されるリスクを負ってまでたった一人を生かすなんて合理的やない。だったらそのたった一人を殺して安全に生き残った方がいい。そう判断した」
澤部「さっすが米さん!!冷たいな〜〜〜〜」
米谷「普通やろ」
澤部「でも違うんだな」
米谷「……何が違う」 澤部「何もかも知っていた米さんは、俺たち運営側に気づかない"何か"をど〜〜〜〜にかしてその脱出方法で守屋だけは生かした」
米谷「――ハ?」
澤部「だから、たった一人生き残っているんだろ?今も、あの島で」
米谷「………………」
沈黙が続く中、米谷の額に汗が浮く。
長い沈黙の中米谷が喋るのをわざと黙って返事を待つ。
米谷「――馬鹿馬鹿しい。私は守屋を…………」
澤部「あるぇ〜?おじさん、名探偵になったつもりだったかなぁー?」
米谷「……仮に守屋が生き残っていたとして、ルールなんてないゲームに何か問題ありますか?」
澤部「大ありだよ!ルールなら最初に説明しただろー!"たった一人の優勝者が決まるまで殺し合いをしてもらいます"って!!!」 澤部「自分でも違反したら殺されるリスクを恐れてただろ?」
米谷「たった……一人になるまで――」
澤部「見てもらいたいものがあるんだ」
タブレットを出してある動画を見せながら説明する。
澤部「これは米さんがつけていたコンタクトの映像だ」
米谷「…………」
先程、守屋と対峙した時の映像・音声が映し出される。
しかし、薄暗くて対面にいる守屋の姿はとても見えにくかった。
澤部「ついさっき米さんが守屋を撃った時の映像だ。つっても暗い森の中木の下の陰で暗くて見えにくい。そう、守屋の姿がはっきり見れないんだ」
米谷「……性能が悪いんじゃないん?私にはちゃんと守屋が見えてましたが」
澤部「おっかしいな〜〜。HDまではいけるんだけど、やっぱ4Kじゃないとダメか――」 米谷「だったら守屋のコンタクトを見ればいいだけの話やろ!」
澤部「守屋のコンタクトはな分校で菅井に殴られた時から外れてたんだよ。知ってんだろ?あとはウォッチさえ外れれば準備完了、だから最後預かったんだよな?」
米谷「………っ」
澤部「チョーカーは爆弾とGPS、それと心拍計が入ってるんだよ。つまりチョーカーのロックが外れればそいつは死んだという反応を送って来るだけなんだって!」
澤部「米さんさ石森の首をちょん切ってチョーカーを持ち帰り一人きりで解体しようとしてたよな?ずっと見てたんだぞ!結局諦めたと見せかけて分解の一歩手前まで来ていた。そうなんだろ?」
澤部「会話中に守屋自身にチョーカーを取り外させた。米さんが銃を撃ったタイミングに合わせて」
米谷「あれは……、自分が生き残るために保険として…………」 澤部「だとしてもあんな長時間かけて、米さんほどの賢児が解体の糸口を掴めないはずがない。あのチョーカー単純そうな作りしてるもんな〜細いし」
澤部「それにねるのヤツはコンタクトを外してフリーだから何でもできるからな。ねると合流した米さんはコンタクトのことを聞いたがあえて残していた。最後に俺たち運営側を騙すためだけに」
米谷が小さく歯ぎしりをしながら訊ねる。
米谷「……どうやってそれを確かめる」
澤部「今黒服が守屋を埋めた土を掘り返してる。もちろんそこにチョーカーのGPS反応がある」
米谷「!!!――や……」
澤部「あん?」
米谷「やめて……。死者を冒涜するもんやない……」
澤部「たっはははははあ!!!がんばるな〜〜よねさーーん!」
米谷「くっ――……」 澤部「もういいって米さん、終わりにしよう。そこに守屋はいなくて、チョーカーだけ埋まっているんだろ?そうなら二人とも殺さなければならない」
米谷「!!あ、あんた――!!」
銃を取り出して米谷へ向け、黒服からの連絡を持つ。
澤部「もうすぐ掘り返し終わるだろう。チョーカーだけならお別れだ」
米谷「待ってくださいッ!!!」
澤部「ん〜命乞いかー?」
米谷「…………。せめて、茜と……みんなと同じ場所で――」
怯え切って肩を震わし泣いている。
全てがバレた以上、自分だけ船で死ぬたくないのだろう。
澤部「…………。わかったよ」
米谷の願いを聞い入れた。 ゲーム中、船で長濱を助けてあげられなかったことを悔いていた。
最期くらいはメンバーの純粋な意思を尊重して死に場所を選ばせる。
生かすという選択はないのにも理由があった。
澤部(米さんはどうにかしてチョーカーを外して守屋を生かしている。武器を持った守屋が俺を襲ってくるはずだ。どっから来るか――)
守屋に撃った弾丸が「最後の一発」と言っており、その銃を回収している。
まだ弾があるはずの火縄銃もわざわざ米谷が杖代わりに船まで持ってきている。
スナイパーライフルにもマシンガンにも弾はない。つまり銃はもく恐れることはない。
万一に備え米谷の背中に銃を突きつけた状態で先を歩かせる。
脚を撃たれた米谷にスコップを持たせて杖代わりにさせる。
澤部「もう少しだ」 タブレットを見ながら守屋のチョーカーのGPSが近づく。
最後の地にたどり着くと、黒服は穴を掘っていた。
澤部「おーいまだ掘ってんのかー?」
黒服「!澤部さん……。相当深く………穴を、掘ったようです………」
タブレットを見るとやはりGPSは穴の中にあるようだ。
守屋はチョーカーを外してバレないようそのために掘った穴に隠したのだろう。
澤部「ったくぅ〜〜どけ――!ちゃんと見張ってろよ〜〜」
へばっている黒服に代わりに穴を掘る。
黒服「ゼェ……ゼェ……」
疲労した黒服はチョーカーを外した守屋が奇襲して来ないか周りを拳銃で警戒する。
加えて米谷が逃げ出さないようにすぐ近くにいさせていた。 これで死んだと思わせてた意外な人が生きてたら凄いな 澤部「は〜〜〜〜」
こんなところに守屋がいないなんて解っている。
とっとと堀り返して、何もないのを確認してから米谷を殺そう。
大方米谷が帰ったら島に助けを送るつもりだったのだろう。
ずっと夜空を見上げていた時間があり星の位置を観察し続けて、覚えたまま帰って調べれば地球上のどの辺りに位置する島なのか判るはずだ。
そこまで澤部は見透かしていた。
澤部「!」
大分深くまで掘るとスコップが固いモノに当たった感触が伝わる。
澤部(やっとチョーカーが出て来たかー)
土をどかすと、チョーカーではない違うモノが中にあった。 澤部(ん?何だあ!?米さんのやつ、何を埋めた!?)
何が埋まっているのか気になりすぐ掘り進めるとそれは文字通り顔を出す。
澤部「も…………、り……や?」
穴の中に守屋茜がいた。
――なんで守屋がここにいる?
俺を殺すために、穴の中でずっと待機していた?
どうやって息をしていた?
チョーカーは首に着けたままだ。
信号は確かに死を送ってきていた。
米さんはチョーカーを外さず電磁場障害でも起こして壊したのか?
というか、そもそも、これは――。
彼女はごく一般的に土葬された屍となっていた。
散々裏をかき守屋は生きていると確信しており、高く積み重ねて来た推理は根底から崩壊する。
??「守屋茜、享年20歳。そして――」 澤部「!?」
上を仰ぎ見ると、穴の淵に少女が立っていた。
米谷「故、澤部佑。31歳」
米谷が冷ややかな目で穴の中の自分へ銃を向けている。
まだ生きているのに名前の前に故をつけられる。
澤部「ちょ、ちょっと待てええええええええいッ!!!!」
米谷「……何ですか?」
澤部「んんん何で守屋が死んでるぅうう!?」
米谷「何でって、殺したからですよ。私が、この銃で」
澤部「何!?!?――その銃どっから出した!?まだ弾丸があるのか!!?最後の一発って言ってただろー!!!!!」
米谷が持っていた銃はゲーム終了後回収した。ならその銃は守屋が持っていた銃なのか。
だとしたらもう弾はなんてないはずなのに、あたかもあるかのように向けているのか。 米谷「私がわざとあんたらに預けたのは最後に守屋が持っていた方」
今持っている銃は最後平手が落とし、元々は守屋が右手と共に斬り落とされた銃だ。
装填弾数は六発で内訳は以下の通り。
一発目は、守屋が平手へ撃ち躱される。
二発目は、平手が今泉の胸へ撃った。
三発目は、平手が米谷の脚を撃った。
四発目は、平手が守屋の腹へ撃った。
五発目は、米谷が守屋の胸へ撃った。
米谷「だから――これが正真正銘、最後に一発……!」
澤部「お――い黒服ぅ!!!こいつを殺せ――ッ!!!!」
黒服からの返事がない。
一生懸命穴を掘って気付かなかったが何かあったのか。 澤部「く、黒服はどうしたあ!?」
米谷「寝てますよ。もう二度と起きやしませんけど」
穴掘りで体力を消耗していた黒服は襲来するはずの守屋を警戒して外を向き、米谷に対しては無警戒だった。
その無防備の背中から心臓へナイフを刺した。
米谷(人の身体べたべた触りやがって……。殺す理由つくってくれてよかった)
黒服にとって大切な嫁入り前の身体に触れたことが死に値する行為となった。
ゲーム終了後、船に戻った時に身体検査され所持している武器は回収された。
そのことは解っていたから、近くの草むらにナイフと銃を隠して置いておいた。
澤部「何で俺に銃を向けてるぅー!!!何でぇえッ!!!?」
米谷「何で何でってうるさいやつやな。さっき自分で言うてたやん」 澤部「あぁあああん!?俺が……何を――?」
米谷「"たった一人の優勝者が決まるまで殺し合え"って。そのルールに従ってるだけ」
澤部「バカかよオイ!?俺はプレイヤーじゃねえぞ!!!!」
米谷「ここは戦場。自分以外の全てが敵プレイヤーやで」
澤部「ふざけるなハァ――!!!!!!!」
懐から銃を取り出そうとする澤部を上から威圧する。
米谷「動くな!」
澤部「ッ〜〜!なんで守屋のチョーカーが外れてないんだ……?おかしいだろ、石森のチョーカーを散々弄って――」
米谷「それも自分で言うてたで。絶対に外せないって。その通りやった。うちもねるでさえも電子ロックを解除するのは無理だった」
澤部「!!!?クソ―!!!!」 米谷「あんたの言う通り、守屋だけは生かして脱出したかった。でもリスクが大きすぎた。だから殺すしかなかった。そして、あんたも――」
澤部「ん待ってくれェ――!!!わかった!わかったから!!この仕事の報酬〇億!!!あと俺の預貯金〇億円!!!それみんなやるから!!!なっ!!?」
米谷「そんなもんいるか。必要ない」
澤部「うぐぅううううう!!!!俺だって上から言われて仕方なかったんだよおおおおおお!!!!」
米谷「上って誰やっ?」
澤部「つ――土田だよ!!!!あのクソさっぶいアゴに言われて仕方なくやったんだああ!!!」
米谷「土田さん……」
大方予想はついていたが、もちろん土田も単独でこんな大それたことはできない。 もっと裏には巨大な闇組織が関わっているに違いない。
澤部はただの端末であるが許すわけにはいかない。
澤部「俺だってほんとはこんなことやりたくなかったんだ!!!ほんとうにすまない!!!!頼むから許してくれええええええええぇええ!!!!」
米谷「さようなら、澤部さん。みんな、あなたのことが本当に大好きでした……!」
一筋の涙を零す米谷。
その綺麗な涙は澤部の心を浄化させた。
隙を見て懐の拳銃を出して撃とうと考えるのを止め、全ての罪を心から懺悔する。
澤部「米さん……。本当に、ごめんよ――……」
最後の銃声が鳴り響き、坊主頭はスイカのようにはじけ飛んだ。
特に澤部の事が好きだった守屋の近くで永眠する。 米谷「茜……」
澤部の言う通り、コンタクトもウォッチもねるから教えてもらった。
ウォッチに関しては、ねるも確証はなかったらしいがどうやら本当だったようだ。
平手を倒した後、目を閉じてコンタクトをしていない茜と筆談していた。
二人生き残ることはできず、私のやりたいことを伝えると勝ちを譲ってくれた。
負けず嫌いな茜は、負けて諦めることはあっても最初から負けることはしたことがない。
私のことを信じてみんなのために自分が犠牲になったのだ。
米谷(サクリファイス――)
澤部たちを倒すために、船ではなく再び島に上陸する必要があった。
茜の演技に賭けて、あたかもテンプレ通りに見せかけて殺した。 運営側に疑わせここまで来させ、隠しておいた武器で仇を討った。
澤部への敵討ちは茜と二人で取ったのだ。
米谷(必ず迎えに行くから。待ってて、みんな――)
時刻は0時を過ぎ、日付が変わり2月24日になる。
無事とは言い難くも誕生日を迎え満18歳になった。
米谷「Happy birthday……,to me」
これから行く国の言葉で自身を祝う。
漢字欅21名、ひらがなけやき1名、澤部、黒服4名の計27人で訪れた島を、ただ一人の優勝者だけが船に乗り本島へ帰る。 グダグダになってすいません……
文字数制限が、ヤバえぐすぎて全然進まないです。
次は一週間後の話です。
本当にもうすぐ終わります。明日 ねんさん絶対生きてると思ったのに…まさかの展開やったな >>832
「迎えに行くから」とは遺体を島に回収に行くという意味? おつかれさまでした明日も楽しみにしてます
ねんさん… >>841
それだと、迎えに『くる』。だしなぁ…
ただのミスなのかはたまた… 俺の推しは適当なシーンで死ぬと思ってたからまさか最後まで残るとは思わなかった、w
誰も触れてないけど>>790のあかねんの運動会の時のセリフ使われてるのすこ 作者はチーム8ヲタでもあるのか普通にガチ恋口上が入ってて草 >>862
いらないでしょ
ガチ恋向上の後に僕はイヤだとか言われても困るし 1です。
恥ずかしながら別媒体から書き込みしようとしましたが、
Over writing(現時点で646まで)しか1レスで書けないようです。こんなの初めて……
書くごとに減っていくので、ちまちま出しになるかと思いますが許してください! 2018年3月1日
TV
「おはようございます。3月1日木曜日、最初のニュースです」
「秋元康プロデュースのアイドルグループ『欅坂46』の失踪から一週間が経ちました」
「今回の事件で失踪したのは欅坂46のメンバー全21名、けやき坂46のメンバーである渡邉美穂さん(18)。芸人ハライチ澤部佑さん(31)です」
「2月21日の夜、テレビ番組の収録終了後から少女らの足取りがつかめず、監視カメラ等から行方を追っておりますが未だ見つかっておりません」 「失踪三日後の2月24日未明、神奈川県沖に無人の船舶が漂流し、事件との繋がりがあるとみて捜査を続けております」
「いや〜これは大変な事ですよ!しかも紅白出場歌手でしょう?」
「それよりこんな大勢の子が忽然と行方不明になるなんて前代未聞じゃないですか?」
「もう一週間になりますけど、彼女たちには生きていてほしいですね」 某掲示板
1名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:07ID:
漢字欅終了のお知らせ
2名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:17ID:
ひらながけやきの時代がキター!
3名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:27ID:
ケヤカス涙目で草草の草
4名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:37ID:
ケヤキッズ息してる〜〜〜〜? 5名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:47ID:
失神の次は失踪かよwwwww
6名無しって、書けない?2018/03/01(木) 09:57ID:
炎上芸とかもう飽きたから。どうせ生きてるんでしょ
7名無しって、書けない?2018/03/01(木) 10:07ID:
誘拐だとしたらもうタヒんでんじゃね?
8名無しって、書けない?2018/03/01(木) 10:17ID:
べみほまでまきこむんじゃねーよ 大阪府私立○○高等学校 体育館
米谷の通う私立高校では卒業式が行わていた。
同級生が行方不明になっている米谷の心配をしている。
LJKA「米谷さん、まだ見つかってないんだよね……」
LJKB「やっぱりグループごと誘拐されちゃったのかな……」
LJKC「せめて生きていて欲しいよ……」
LJKD「あ〜奈々未ちゃんと一緒に卒業したかったなぁ……」
毎日会っていたわけではないが同級生も米谷との思い出がある。 クラスの終盤となり、名前の順の最後で呼ばれる。
校長「米谷奈々未」
欠席しているが、卒業できるため名前だけは呼ぶ決まりになっている。
校長は卒業証書だけを右から左の移そうした時だった。
??「はいッ!!」
大きな返事が体育館に響く。
一同が振り返ると後方の出入口に同じ制服を来た一人の少女が立っていた。
生徒E「お、オイ!あれって!!」
生徒F「ま、ま、まさか!!」
生徒G「ほんまかいな!?」
生徒H「欅坂46の、あの――」
全校生徒だけではなく、教師や保護者もざわつく。 彼女は中央の花道を一人ゆっくりと前へ歩く。
??「フッ……」
ざわつきが歓声に聞こえ懐かしさを覚えて心地よく感じる。
わずかに照れくさく片口の端を上げて笑みを浮かべる。
LJKA「よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ米谷さん!?」
LJKB「マジ卍まじ卍!!」
LJKC「やばみざわやばみ!」
LJKD「奈々々未ちゃん!!」
米谷「"な"がいっこ多いねん」
同級生の横を通り過ぎ際にツッコミを入れる。
階段を登り、壇上で呆気に取られている校長先生と対面する。 校長「そ、卒業おめでとう……、米さん……?」
米谷「ありがとうございます」
苗字ではなく愛称で呼ばれたことに笑顔で応え、卒業証書を受け取る。
その後次のクラスの生徒の名前が呼ばれ式は続けられる。
クラスの席に戻らずそのまま体育館を後にしようとする。
担任の先生に声をかけられるも、具合が悪いと言ってかわした。
??「奈々未……!!!」
米谷が体育館から出ようとした時、保護者席でただ一人立ち上がり呼び止める女性がいた。
米谷「!!」
呼び止められ、足を止めて立ち止まる。 生まれた瞬間から18年間、ずっと聞いてきた声だった。
誰だかなんて振り返らなくても判る。
でも振り返ることはできなかった。
今その人の顔を見たら涙で何も見えなくなってしまうから。
米谷(――お母さん。ほんまに来てくれたんやな……)
喜怒哀楽の様々な感情が湧きだし、数えきれず返しきれない恩を思い出す。
地元で一番の進学校に通わせてもらったのは母の英才教育のおかげだ。
それをある日突然「東京に行ってアイドルになる」なんて言ったのだから「はいどうぞ」なんて許されるわけがない。 でも、デビューしてからは徐々に応援してくれた。
余談だけど、だから余計に途中加入して来たあの子のことが許せなくて最初にあんな心ないことを言ってしまった。
今となってはただの八つ当たりだって分かってる。思い出すだけでも恥ずかしい。
けど面と向かって謝れたことで成長できた気がする。
3学期に数回登校するために帰省してたから1か月ぶり位だけどずいぶん会っていなかったように感じる。
海を渡り目標を達成するまで帰れない。
もしかしたらもう未来永劫会うことはなく、これが今生の別れになるかもしれない。 長い考えも現実時間では10秒程度で、ようやく実母へ振り返る。
母「!!」
米谷「ありがとう」
五文字で全ての気持ちを伝え、体育館を後にする。
母「な、な、み……っ!!!」
母親は崩れ落ち、涙で溺れる。
行ってしまう娘を追いかけることができなかった。
母らしく我が子の帰りを待つことにする。 校門に黒塗りの高級車が停まり、正装に身を包んだ初老の男性が立っていた。
?「奈々未様。お時間でございます」
米谷「爺や、ありがとう。お母さんを呼んでくれて」
"爺や"と呼ばれた男は、キャプテンだった菅井家側近にして令嬢専属の使用人である。
爺「良かったのですか。お母様とお話されなくても」
米谷「これでいいんです。話でもしたら、ずっとここにいたくなっちゃうから……」
爺「左様でございますか」
後部座席に乗り込み、車は発進する。 米谷「――っ」
もう二度と来ることのない学校と地元から離れ、涙のダムが決壊する。
爺はあえて声をかけずに、静かに平常運転を続けてくれた。
澤部に敵討ちして誕生日を迎えた日、神奈川県沖で船を降りた。
航海中に、茜の遺言書に書いてもらった守屋家へ連絡し迎えに来てもらい、数日間仙台にある守屋家に匿ってもらっていた。
守屋家は菅井家とキャプテン繋がりで親密に繋がりがあり、両家のみに全ての真実を話した。
アメリカに行くことも伝えると資金は援助してもらえることになった。 警察に入庁し刑事になって事件の黒幕を追うことも考えなくはなった。
しかし追われる身で両家に護衛されながら生活するのは非現実的であった。
黒幕は菅井家と守屋家に任せることにした。
関西の某空港に着くと、一緒に仙台から来てくれた茜の母親が待っていた。
守屋母「それじゃあ元気でね」
米谷「茜のお母さん、本当にいろいろとありがとうございました。それと茜のこと、すいませんでした……」
守屋母「もう!また謝ってる〜ちゃんとあの子の遺言書を読んで解ってるから」 米谷「でも――……」
守屋母「負けず嫌いなあの子が命かけて頑張って奈々未ちゃんに託したのよ。だから奈々未ちゃんも死ぬ気で頑張ってきなさい!」
米谷「ハイ!!」
メンバーとはいえ他人の母親と抱き合う。
守屋母「黒幕はこっちに任せて、あっちでしっかりね」
米谷「ありがとうございます!お母さん――」
本当に我が子のように愛してくれて優しく、第二の母のようだった。
爺にも礼を言うと綺麗なお辞儀をして応えてくれた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています