ひろみへ

お前が逝って13回目の冬が来る。お前が遺していった「お前の分身達」は18と15になった。
二人とも受験生・・青春真只中だ。

理恵はお前と同じ高校の3年生。来春には母娘で同窓生になるね。大学は俺の母校を目指している。
エプロン着けて、台所仕事をする後姿は本当にお前そっくりだ。

理沙は中学3年生。「お母さんとお姉ちゃんの高校に絶対入るんだ」と頑張っている。
姉の背中だけを見て育って来たから、同じ道を歩んで行くんだろうなと思っている。
小首をかしげて左手で髪をいじる仕草は、お前に瓜二つだ。

二人ともお前に良く似て、学校の成績も良く頑張屋さんだから俺は何も心配していないよ。
頑張りすぎて体を壊さないよう、見守ってくれよな。


お前が逝って5年後に親父が・・・それから3年後にお袋が逝った。
四十前の俺が3回も喪主を務めたよ。   大嫌いだ・・喪主なんて

お前に病気が見つかり、治療の甲斐も無く僅かばかりの余命を宣告された時は、二人で
泣いたなあ・・泣いて泣いていろんな話をして、いろいろ約束をした。
お前との約束は絶対守るから安心していいよ。でもなぁ〜 一つだけ出来そうも無い事が
あるんだ。あれは無理だな〜。いやぁ〜 絶対に無理だよ、無理無理・・俺の再婚は。
これだってお前が無理やり押し切った話なんだよな。あの時の状況では俺はただ頷くこと
しか出来なかったんだ。

時々 無性にお前が恋しくて、恋しくて恋しくて、お前に逢いたくて逢いたくて
逢いたくなって、このままお前の傍に逝ってしまいたいと思う時がある。
そんな時はお前の枕を抱きしめて、奥歯噛み締めて耐えているよ。女々しいだろう・・俺は

俺もっともっと頑張るからな、 いつの日か、理恵と理沙の花嫁姿を見届けてそっちに逝ったら
「あなた 良く頑張ったね」と、あの笑顔で褒めてくれよな。     ひろみ