イヌは生き延びるために飼い主を食べたわけではない。なぜなら、警察官が到着したとき、床には半分まで餌が入ったイヌ用
の皿が置かれていたからだ。だとすると、嫌な考えが頭に浮かぶ。結局のところ、イヌは彼にあまり忠実ではなかったのだろうか。

 2023年12月に学術誌「Forensic Science, Medicine and Pathology」に発表された論文にある通り、ペットが死んだ飼い
主の体を食べる事件が論文になるケースは少なく、どのくらいの頻度で起こっているのか正確なところはわからない。

 だが、科学捜査関連の学術誌には、そうしたケースが数十件報告されている。これらの記録からは、ペットは私たちを食べる
ものなのか? いずれにしろ私たちは本当に単なる餌になるのか? など、ほとんどの飼い主がまじめに考えたくもないような
状況が見えてくる。

 同時に、科学捜査における動物行動学からは、そうした疑問への答えや、ペットの視点を欠いていると、彼らの行動を私たち
がどれほど誤解してしまうのかも明らかにしてくれる。ここでは、科学捜査の証拠からこれまでにわかったことを紹介しよう。

イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/062700244/