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最も有力な説

 しかし、寄生生物説はすぐに却下された。小さな生物は長い糸でAquiloniferのトゲにつながれている。この状態では、宿主の体をむしばむことは難しい。

 他の種がヒッチハイクしていたとも考えにくい。タダ乗りされたAquiloniferが、そのままにしておくはずがないだろう。
「長い前足か何かを使ってすぐに切り離していたでしょう」と、ブリッグス氏。(参考記事:「キツツキに乗って空を飛ぶイタチ、写真はホンモノ?」)

 そういうわけで、よりほほえましい3つ目のシナリオが最もあてはまるだろうと研究チームは考えた。
大きな生物と小さな生物は、体の構造が似ているだけでなく、互いに結ばれている。
つまり、小さな化石はAquiloniferの子どもであると考えるのが自然である。この研究は、学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に4月4日付けで掲載された。

「化石でも現生の節足動物でも、このような育児行動を見るのは初めてです」。糸でつなぐことで、子どもたちを天敵から守っているのだろうと、ブリッグス氏は付け加えた。

 赤ちゃんたちは、ただつながれたまま身を任せていたわけではない。親が移動する間、自分でも付属肢を動かして上昇したり体を操作し、プランクトンを捕まえて食べていたと考えられる。