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■最初の発見では尻尾の「クモ」は異常とされた

 2001年まで、このヘビについての記録は、1968年に米国の調査隊によってイランで発見され、誤った分類をされた例がひとつあるだけだった。

 尻尾に付いた奇妙な構造物については、他のヘビが持つどんな器官とも似ていなかったため、先天性か成長途中の異常として片付けられた。

 その後、複数の個体が発見され、いずれにも同じ特徴が見られたことから、2006年に正式に新種として認められた。

 学者らはかねてから、その特徴的な尻尾は獲物を誘うために使われるのではないかと予想しており、今回、見事に鳥を捕まえる姿が確認されたことによって、その説が正しいことが学術的に確かめられた格好だ。

 研究者チームによると、スパイダーテイルド・クサリヘビの成体が捕まえるのは、ムシクイ類を中心とした渡り鳥に限られていたという。

 留鳥が一切餌食にならないのは、おそらくそうした鳥がこのヘビの策略を見抜いているからではないかと推測される。

 今回の研究ではまた、ヘビの尻尾の疑似餌は生まれた後から発達しはじめ、成体になるまでは完全な形状にならないことも明らかになった。

 研究者チームは、発達途中の疑似餌を持つ若い個体がトカゲを誘って捕まえる様子を確認しているが、鳥を誘うのが成体だけかどうかはわかってない。