>>924
> 話を戻すが、青識がカチンスキーの原文を手に入れたらヤバイ事になるって事がわかったわ
> アンチ青識側は原文をいち早く手に入れ、論文の欠点を模索しないと大変な事になるね
> 記事では青識側が不利とされてるが、もし、フォロワー5万人の発信力を使ってその論文を見つけ出したらどうするよ?
> 個人的には青識側が有利と思うけどな

九段新報
表現の自由戦士たちの「エビデンス」を読んでみた その1
2018.10.13
http://blog.m.livedoor.jp/kudan9/article/54281727?guid=ON&;p=4&type=body

Kutchinsky, B. (1973a). The effect of easy availability of pornography on the incidence of sex
  crimes: The Danish experience. Journal of Social Issues, 29, 163-181.
 本日最後はこちら。カチンスキー報告ではないのですが、そのカチンスキーが書いた論文です。
この論文の要点は「ポルノ流通で性犯罪が減った理由はいろいろ考えられるけど、どれも違いそうだからやっぱポルノが性犯罪を抑制したんや!」ということです。
しかし時代を考えると仕方がない面もあるとはいえ、いろいろ雑すぎていまの時代にエビデンスにするのは不適当でしょう。

 まずやはり大きな問題は性犯罪の認知件数を警察統計に頼り切りな点です。
さすがにカチンスキーもその問題点をわかっているらしく、性犯罪の変化の可能性として「人々の性犯罪に対する認識が変わった」ことと「警察官の意識が変わった」ことをあげています。
 前者についてはインタビュー調査を通じて調べているようで、それ自体は興味深いのですが、4つの種類の性犯罪のうちいくつかに対しては、人々の意識の変化が被害の通報を減らしていると認めているにも関わらずそれを無視してその可能性を排しています。
むしろ「人々の意識がリベラルになった」と肯定的な評価を下している節もみられるくらいです。
 カチンスキーの議論を借りてポルノと関連させるのであれば、ポルノの普及によって被害者が被害を被害と認識できなくなっている可能性を示唆するものと解釈することすらできるはずで、そのような可能性を無視する議論には疑問が残ります。

 また警察官の意識に関しては、当の警察官に直接質問紙調査を行っているようですが、この方法それ自体に疑問があります。
いかに匿名の調査といえど、「あなたは性犯罪の捜査とかどうでもいいですよね?」とか聞かれてイエスと答えるバカな警察官がいるわけはありません。
匿名の調査でも向社会的な回答をしたいという回答者の欲求は当然勘案されるべきであり、目的によってはこのような方法がそぐわない場合もあります。
 また「性犯罪を重要に思う」といっても、「でも大半でっち上げだしさー」などと思っていればお話になりません。
要するにそもそも警官が性犯罪をきちんと認識しているかが保証されていないので、調査に表れた態度を鵜呑みにできないのです。
警察官の態度を明らかにするのであれば、自己報告の調査ではなく実際にどのような捜査が行われているかの報告や統計を取るべきでしょう。

 このような方法論的な問題があるため、もちろんこの論文をエビデンスとして扱うことはできません。
また性犯罪を警察統計に頼っている点からいっても、カチンスキーのほかの論文も期待できないんじゃないかなと思います。