5−0というゴールラッシュで優勝に華を添えた大宮戦は、まさに1年の集大成を見せるかのようだった。
開始1分で阿部が得点を挙げ、小林がハットトリックを記録する。
さらに苦しい時にチームを救っていた長谷川竜也が、次世代の力を示す得点を決めてみせた。

歓喜に沸くスタジアムのなか、両手で顔を覆い、ピッチで泣き崩れる中村の姿は忘れることができない。

実は、冒頭の中村との会話には続きがある。

「今までで一番、強かったかもしれないですね」と言ったあと、彼は「いや、2018年のほうが強かったかな」と言い直したのだ。
2017年にJ1初優勝を飾った川崎は、翌2018年に前年をしのぐ強さでJ1連覇を成し遂げた。

そして今、そのチームは鬼木監督の手によって、新たなるサッカーを模索し、さらに進化しようとしている。

間違いなく、2017年の川崎は語り継がれていくことになるだろう。
だが、今の川崎はそれを超える可能性を秘めていると思うと、また、あの日、等々力で感じたワクワク感が戻ってくる。

「2017年のチームも強かったけど、2020年のほうが、2021年のほうが......」

そんな会話が聞こえてくる未来を期待してしまうのは、筆者だけではないはずだ。

原田大輔●取材・文 textbyHaradaDaisuke