厚生労働省[日本人の食事摂取基準(2015年)]策定検討委員会報告書より
https://docs.google.com/viewer?url=http://jsln.umin.jp/pdf/link/ugoki/Lipids42631.pdf

高脂質食/低炭水化物食は低脂質食/高炭水化物食に比べて、HDL コレステロール値が増加し、
空腹時トリアシルグリセロール値は減少するが、LDL コレステロール値は増加し、
食後遊離脂肪酸値 12)や食後トリアシルグリセロール値 13)が増加する。
さらに、高脂質食/低炭水化物食は穀類に含まれるミネラルが不足し、たんぱく質摂取量が多くなるため、
総死亡率、2 型糖尿病罹患の増加が懸念される 14)。

2013 年に発表されたコホート研究のメタ・アナリシス 15)では、炭水化物に比し脂質の多い食事は総死亡率を 1.3 倍増加させた。

脂質の種類により総死亡率が影響を受ける可能性が示唆されたコホート研究もある。
Nurses’ Health 研究、Health Professionals’ Follow-up 研究では、動物由来の食品摂取の多い群では総死亡率が増加したが、
植物由来の食品摂取が多い群では総死亡率は減少した 16)。

しかし、6 か月以上の介入研究のメタ・アナリシス(n─3 系脂肪酸に関する研究は除く)17)では、
総脂質摂取量を減少させても心血管系疾患罹患率や総死亡率の減少は認められず、コホート研究の結果とは異なっていた。

更年期以降の女性を対象とした大規模介入研究 20)では、
総脂質摂取量が減り体重減少が見られた場合、糖尿病発症の有意な減少が認められている。

高脂質食は飽和脂肪酸摂取量を増加させ、
飽和脂肪酸は血漿 LDL コレステロール濃度を上昇させ、冠動脈疾患のリスクを高くする。

このようなことから、アメリカの National Cholesterol Education Program の Step I diet のみならず
Step II diet も、脂肪エネルギー比率は 30% 未満が適切であるとしている 21)。

この National Cholesterol Education Program を評価した 37 の介入研究をメタ・アナリシスした報告 22)によると、
脂肪エネルギー比率 30% 未満で、血漿総コレステロール、LDL コレステロール、
トリアシルグリセロール、総コレステロール/HDL コレステロールの減少及び体重の減少が認められている。