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クラウザー博士とアスペ教授は「量子もつれ」と呼ばれる量子力学を象徴する現象が理論だけでなく、
実際に存在しうることを証明しようと、1970年代から研究に取り組んできました。

その結果、2つの光の粒などの量子がお互いにどんなに遠く離れていても片方の量子の状態が変わると、
もう片方の状態も瞬時に変化するという、「量子もつれ」の現象が実際に起きることを実験を通して示しました。

「量子もつれ」についてはアインシュタインをはじめ、多くの著名な研究者が疑問を投げかけていましたが
アスペ教授らは実験によってその正しさを証明しました。

そして、ツァイリンガー教授はこの「量子もつれ」という現象を利用すると、ある情報を量子に埋め込み、
それを離れた場所にあるもう一方の量子に瞬時に伝えることができる、
「量子テレポーテーション」という現象が起きることを実験で示しました。

3人の成果をきっかけにいまでは量子コンピューターや量子通信などの研究が盛んとなり
量子情報科学という新しい分野の開拓につながったことが評価されました。


ノーベル物理学賞の受賞が決まった3人のうちの1人、オーストリアのウィーン大学のツァイリンガー教授は
ノーベル賞の選考委員会との電話でのインタビューで「いい意味でとても衝撃を受けていて驚いている」と話し喜びをあらわにしました。

そして「研究は100人以上の若い研究者と何年もかけて進めてきた。
彼らなしに成し遂げることは出来なかった。今回の受賞は協力してくれた若い研究者を勇気づけることにもつながる」と話していました。

ツァイリンガー教授はことし5月、沖縄県恩納村にあるOIST(おいすと)=沖縄科学技術大学院大学から名誉学位を授与されています。

学位授与式にオンラインで参加したツァイリンガー教授はスピーチで「自らのキャリアを振り返り、
若い人たちに伝えたいのは自らの嗅覚に従えということだ。周りに『そんなこと知っている』と言われても聞かなくて良い。
好きなことに取り組めば、あなたが常に競合者よりすぐれているのです」と話していました。