https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05EDV0V01C21A0000000/

プリンストン大学内のホールで開かれた記者会見には、
気候変動を研究する学生らも参加し、真鍋氏をスタンディングオベーションで迎えた。
「大いに驚くとともに、光栄だ」。真鍋氏は受賞が決まった気持ちをこう語った。

同氏が気候変動の研究に本格的に取り組んだのは1960年代からだ。
「研究を始めたときは、気候変動の研究の重要性については思ってもいなかった。
私の研究の原動力のすべては好奇心だった」と述べた。
研究を「ただ心から楽しんでいた」とも振り返った。


真鍋氏は世界が干ばつや洪水など気候変動による災害に直面し、
住まいを失い、移民せざるを得ない人が生じている現状に危機感も示した。
「我々は気候変動を軽減する必要がある。だが、まず今まさに起こっている気候変動を認識し、
対処する方法を見いださなければいけない」と強調。
「自分がどういう行動を取るべきかも考えているところだ」と述べた。
真鍋氏のジョークで沸き、和やかな雰囲気に包まれていた会場は静まりかえった。

「気候変動を理解することは難しい。
だが、気候変動から生じる政治や社会の出来事を理解することはもっと難しい」とも述べた。
今回の受賞決定は「私にとってはノーベル平和賞だと信じている」と
気候変動が政治や社会に及ぼす影響の大きさを表現した。

日本から米国籍に移し、米国に根を張った研究生活を続けた理由について、
真鍋氏は「日本は互いを邪魔しないように協調する」と日本の慣習をまず説明した。
「私は協調が得意ではなかった。
(米国では)他の人が感じていることをあまり気にせずに行動できる」と述べ会場は笑いにつつまれた。

米国の研究生活について「コンピューターを使いたいだけ使え、好きな研究ができた」とも振り返り、
研究資金の潤沢さや資金申請の複雑さの違いなどもにじませた。