原点Oに対して静止した観測者oがいる。この観測者の観測する時間はtである。
原点Oからx軸上のマイナス方向1000kmに静止している物体Aと
原点Oからx軸上のプラス方向1000kmに静止している物体Bが
それぞれ、原点Oに向かってt=0秒の時、大きさ2.0m/s^2の加速度で出発した。
t=10の時、加速をやめて等速直線運動へ切り替えた。
それぞれ物体はoから見て速さ20m/sで近づいている。
ここで、もう一人の観測者Cはt=0において
原点Oに対してx軸上の任意の点で静止している。
そしてx軸のマイナス方向へt=0の時、出発し
加速度1.0m/s^2でt=10まで加速し等速直線運動へ切り替えた。
この時Cの速さはx軸のマイナス方向へ10m/sである。
この場合、ABCの相対速度は特殊相対論的な時間の遅れとは無関係である。
Aの特殊相対論的な時間の遅れは観測者oに対する速度によるものであり、
Bの遅れ、Cの遅れも観測者oに対する速度によるものでなければならない。
仮に、それぞれの相対速度が、特殊相対論的な時間の遅れに関与するのであれば
観測者oから見たときのA(速さ20m/s)と、Cから見たときのA(速さ30m/s)では
単位時間当たりの時間の遅れの割合が変わってしまい
Aが原点Oに到達したときの時間の進みにパラドクスが生じる。
これが生じないためにはoを基準とし、絶対静止系と見做す必要がある。
よって、特殊相対論的な時間の遅れにおいて、相対速度は無意味である。
あくまで絶対静止系を基準とする必要がある。基準となる静止系を複数設定する、
つまり、相対速度を考慮した時点で、パラドクスが生じ、ローレンツ変換は破綻する。