実は、タキオンの存在を認めると、「特殊相対性原理」が崩れるのだ。

「特殊相対性原理」とは何であったか?
   
どんな慣性系でも、物理現象は同じである。
であったはずだ。
タキオンは、どうだろう。
   
異なる慣性系では、同じ出来事が、全く異なる物理現象を起こす。
のである。
   
私、という慣性系にとっては、タキオンは、タージオンと運動量を交換する(弾性衝突する)。
   
あなた、という慣性系にとっては、タキオンは、タージオンと相互作用しない(できない)。

「タキオン」が存在すると、慣性系によらず「区別できない」慣性系(相対速度が常に無限大)というへんてこりんな系が存在してしまうのである。これは、特殊相対性原理に明らかに違反している。

だから、相対性理論を用いてタキオンを語ることはできない。
「無限大」が登場する場合には、気を付けねばならないという良い手本かもしれない。

過去へ走る粒子も、とりあえずご破算である。

タキオンは、「メタ相対論」というまどろみの中に現れた「夢」である、と私は思う。