私はヒッグス粒子に懐疑的であるが、しかしヒッグス機構には擁護すべき点はある。
すなわちそれはヒッグス機構は真空に相転移及び粘性といった実在気体、実在流体の性質を持ち込んだことである。
つまりヒッグス機構では質量とは物体の動かし難さ、ヒッグス場の抵抗とされる。

そしてそのメカニズムを説明する際、一般向けの解説として水飴の例えが使われた。
すなわちコップの中の水を棒でかき混ぜた場合、それが水飴ならばより大きな力がいる。
つまり水飴の粘性、抵抗こそが質量に他ならないというわけだ。

ならば必然的に水飴の例えに突っ込む人が現れる。
なぜなら、確かに水飴の例えによると物体の動かし難さ、すなわち慣性は説明できる。
しかし同じ慣性の止まり難さ、すなわち等速直線は説明できない。
もし真空が水飴状の流体で満たされていたならば、地球などの天体は速やかに停止するはずである。

しかし水飴の例えは極端にデフォルメしたものであって、水飴であろうがさらさらな液体であろうが粘性がゼロでない限り五十歩百歩だ。