ところで皆は帰ってきたウルトラマンの最高傑作エピソードはなんだと思う?
NHKの視聴者投票では「怪獣使いと少年」が最上位に来ていたが、あれは帰ってきたウルトラマンの中でも異色であり、問題作ではあるが最高傑作とは言い難いと思う

個人的には「二大怪獣 東京を襲撃」「決戦!怪獣対マット」の前後編をシリーズのベストエピソードに挙げたい

この前後編は帰ってきたウルトラマンにおける初期エピソードでもあり「ウルトラマンが帰ってきた!」という当時の興奮冷めやらぬ中で間髪入れずに投入された力作だ

そこにはMATの(具体的には岸田隊員の)安直な対応が東京壊滅の危機にまで至ったという、それまでのウルトラシリーズにはない緊迫感と問題提起を作品にもたらしている
その中で郷と地球防衛軍上層部との軋轢や、被災者となったアキ側の人間サイドとしての郷の苦悩などが色濃く描かれている

そして前述の問題を安直に解決することなく、問題点は問題点として提示したまま残した上で、今できる事で何をすべきかということがMATの立場として極めて真摯に描かれている

ウルトラシリーズ史上こういった人間ドラマがここまで描かれたことはこれまでもこれ以降もなく、文句なしに帰ってきたウルトラマンを代表するエピソードと言っても過言ではないと思う
観るたびに胸に迫るものがあり、ウルトラシリーズが子供向けの特撮番組という枠を超えて一個の作品として強い輝きを放っている特異な例だ
これは映画を含めて特撮史上極めて稀有なことであり特筆すべきことだと思う