本作を見てまず驚いたのが1作目と比較して「日本が豊かになってる」ということ。
洋風の内装のアパートに、壁にはジャズのレコードが飾られ、ステーキ(ビフテキ)なんて食べているし会話の端々に横文字が増える。
戦争の影はなくなり、高島忠夫然り藤木悠然り、ヒロインの浜美枝然り。
非常に垢抜けているというか、言うなればチャラチャラしている。

と、同時に作劇もコメディタッチ。有島一郎演じる多胡部長の行き過ぎた視聴率至上主義も現在の感覚で見ればドン引きだ。
とにかくひとつひとつのシーンが能天気を超えてバカとかアホとか、白痴レベル。

もっともらしいことを言う科学者である平田昭彦も、自衛隊の指揮を取る田崎潤も、場違い。

肝心のコングとゴジラの対決も、人間の思惑と都合により行われる始末。
とにかく画面全てに「資本主義のいやらしさ」が鼻につく描写が多い。

初代ゴジラが傑作とされる由縁、要素を全て剥ぎ取り、戦後の繁栄を貪りゴジラやキングコングすら飲み込む堕落…とここまで書いてきてふと、思い直す。

むしろこれらの「心底不愉快」な乱れた戦後世代の堕落であったり。
その戦争の影すら失くした当時の世相。
それらを完全に皮肉る為の作品ではないのか?
コメディタッチというのはそういう意図があるのではないか?

と、考えると、本作は実に後味の悪いブラックコメディ作品だ。