酷い(笑)いろんな意味で。
来年の『ゴジラVSコング』の予習も兼ねて初鑑賞。
戦争の傷跡もすっかり過去の物となり、日本全体が豊かに右肩上がりの高度経済成長の真っ只中にある最初のバブル期の正に日本が一番浮かれて楽しかった時代の映画。
何だか今見ると吐き気すら覚える。
正直今のこの時代では能天気にアタマ空っぽにして見ることは出来ない。
行われるのは日米代表怪獣同士の異種格闘技最強決定戦。
猪木対アリの怪獣版。
猪木対アリがプロレスとボクシングの初めからどう考えても無理がある無茶な試合だったのと同じく、ゴジラVSキングコングもこの2頭を戦わせる為にいろんな無理が生じている。
製薬会社がスポンサーのテレビ番組の視聴率アップの為にキングコングが連れてこられる。
この辺はオリジナルのキングコングと大差なし。
製薬会社の多胡部長と言う言わば本作の元凶となるキャラクターが強烈。
まるで昔のハリウッド映画に出て来るチビ・メガネ・出っ歯の日本人、差別と悪意のカリカチュアの様なキャラクター。
目的は視聴率アップ=金と欲だけの人間であり本当なら悪の科学者やら侵略宇宙人が担う役目をこの大した目的も悪意すらない凡庸な中年の男がこれだけの大惨事を引き起こし尚且つ何の責任も負わない。
全てが笑えないコントの様でゴジラとキングコングも欲に塗れた人間の都合で戦わせられるだけの存在に堕しており非常に間抜け。
高島忠夫が出てくるとバラエティを見てる様で画面に緊張感が無くなる。
そしてお馴染みの茶色のドーランを塗って槍と盾を持ってウンバウンバ言ってる「土人」
この時代だからしょうがないと言えばしょうがない。
(昔ひょうきん族でやってた「アダモステ」とか今やったら大変)
しかし『ゴジラ・キングオブモンスターズ』の人間ドラマ部分(と言うか脚本)がダメダメなのって日本の怪獣映画を見まくり研究し尽くしてると思われるドハディ監督はその部分迄忠実に再現したのかとすら思ってしまう。

文句ばっかり垂れてますが(笑)
実物のタコを合成した大ダコのシーンは逆転の発想と言うか凄い迫力であると同時に不思議で異空間の様な、怪獣とのアクションシーンであり同時にとてもアート。
ジオラマ用のミニチュア人形と日用品を組み合わせたアート作品が有りますが、大ダコのシーンはまるで人間の方が小さくなったみたいな『縮みゆく人間』やみたいな50〜60年代の恐怖SF映画を想起させます。
『ゴジラVSコング』はNetflix版『DEATHNOTE』で知られるボンクラ監督、アダム・ウィンガードなので壮絶なボンクラ怪獣映画になりそうで逆に期待値が上がってます。