あの事件は、結末がかなり不思議に思える。

彼はNHKラジオ番組のスタート時すでに高齢で、法律の厳格性にルーズな年齢、
そして世代だ。無とん着を促進したのは、古い落語に対する熱愛だろう。悪意はない。
そしてルーズな部分を指摘され、ひとつを残して放棄し、金銭的な賠償も終えた。

ところが、その残したひとつの地位をも手放させようと立ち上がり、
徹底的に全てを失わせようと追いかけ続けた2人がいた。そこにいったい何の
目的があったのかというのが、今も不思議に思える謎の部分だ。

彼をそれほど憎む勢力といえば、遠い過去にあったうっかり差別発言の一件だ。
その時の暴力的な報復が、訳あってくり返されたのではないかと思えるほどだ。

結局、昭和落語のデータベース作成や保存活動などリスナー本意の美談へは進まず、
落語論評界から彼の姿を消し去ろうとした、激しく徹底した糾弾の意味は何か。
相手が亡くなるまで圧迫をやめなかった2人が欲しかったものは何だったのか。