山田監督「あのおいちゃんの役を、つまり、下町の団子屋さんだからちょっとおっちょこちょいで、軽薄なとこがあって、寅さんの伯父さんですからね、どっか共通するような部分もあったりなんかする。それで寅さんとはしょっちゅう喧嘩になる。
そういうキャラクターと、下條さんご自身のキャラクターをどう重ねていくか、そのおいちゃんのキャラクターを自分に惹きつける、あるいは自分自身をおいちゃんに持っていく、ずいぶんご苦労がおありになったと思うなあ。
でも、やはり独特のおいちゃん像をつくってくださったと僕は思っていますよ」

山田監督が言及している通り、三代目おいちゃんには、初代や二代目にあった「いい加減さ」「軽薄さ」「スケベさ」が鳴りを潜め、代わりに、いい加減な寅次郎の行く末を本気で案じる伯父としての「責任感」が色濃く出ていた。下條正巳の真面目な人柄が、独特のおいちゃん像に反映されていたのだろう。