初公開当時の社会情況も勘案しないといけないでしょうね。
この時代、一度逮捕されてしまえば、もうマスコミは犯人扱いの実名報道。
××容疑者とか被疑者とかいう単語すら一般には存在しなかった。

ただし、営利誘拐事件はまだ頻発していなかったから罪が軽かったのも事実。映画の事件では人質の子供は無事に返しているから、おそらく懲役5年程度で釈放されるはず。

問題は、共犯のヤク中夫婦の殺害を立証できるかどうかだが、別件逮捕は当たり前という時代であり、営利誘拐では確実に逮捕できる証拠は揃っているので、まず誘拐で引っ張っておき、同時に共犯殺害も追及するというのが当時の捜査の常道だと思う。

映画では、刑事が破産した被害者に同情し、あえて主犯を泳がせて死刑を確実にした、という筋書きになっている。
つまり、一般市民に成り代わって正義漢の刑事が悪党を退治した、というストーリーで観客にカタルシスを感じさせたいという意図があったのだと思う。

「馬泥棒は理由を問わず縛首」という米国西部劇と同じシチュエーションですね。