「女」を初めて見た。

木下は脚本を練らない習慣だったらしいが、そのデメリットが如実に出ている。
腐れ縁の男と別れられない女の性を描いていたはずなのに、クライマックスになって方向性が一変して、
悪人男に付きまとわれる女の恐怖を描くサイコ・ホラーになってしまってる。
個々の場面の演出には力が入っていて、その演出力のゴリ押しには最後まで圧倒させられるが、
見終わってみると、
「で、結局は何が描きたかったの?」
という疑問だけが残る。

それにしても、クライマックスのスケールと迫力は凄い。
昭和23年の時点で、何でアレほどまでの壮大な大火災場面と群集大パニックが撮影できたんだろう。
逃げ惑う大群衆の描写は、昭和29年の「ゴジラ」よりも派手だし、迫力がある。
実際に熱海の繁華街で人為的に火事を起こして撮影敢行したようにしか見えないのも、目を見張った。

どうやって撮影したのか、本当にわからない。