「の・ようなもの」ってそんなにいいかなぁ
ソープ嬢役の秋吉久美子が綺麗だったってやたら言われるけどそれより昔の作品の方がはるかに魅力的に描かれてるし
森田芳光のあの狙ったようなハズしがかえって気恥ずかしい作品だったぞ
後年撮った「間宮兄弟」とかの方がまだ良かったと思う

「狂った果実」の主人公が働くスナックのマスターは一方的にやられてたわけじゃなくて最初は元キックボクサーらしく相手の金持ち学生達をぶちのめしてた
でも相手は多いししかも軟弱なサークル所属じゃなくてアメフト部の学生という設定
やられてた奴らも立ち直ってきて多勢に無勢、数と体力にものをいわせて元キックボクサーのマスターはやられる(ここはマスターの女がレイプされる場面よりせつない)
しかしリアルでも多分こうはなるという説得力ある場面でこれは活劇ではないという根岸吉太郎の声が聞こえるようなシーン
確かにとりわけ斬新な表現というわけではないのかも知れない
多くのATG作品でもアメリカンニューシネマでも描かれていた哀しい現実だ
カッコよく乗り込んでグラス食ってペッと吐き出してビビらせてキックやパンチで暴れても体力と人数で勝るアメフト学生にはやがて老いたキックボクサーはやられてしまうのだ
そこからさらに主人公の哀しい反撃があって決定的に悲劇的なラストに繋がるのだが、パトカーの赤灯が禍々しさを醸し出すゴールに向かっての息切れした無様な疾走が胸をえぐるほど美しいのだ