試写の際、池波はスタッフにこう言い放ったという。
「品のない演出だ。松竹には五社じゃなくて自前の良い監督が何人もいるのに、
どうして使わないんだ!」
「『闇の狩人』なんかは、確かに金もかかっているし、客もそれなりに入ったらしい
けれども、これは観るに値しない大作ですね。大作にもこういう駄作もある」
「今度の『闇の狩人』と去年の『雲霧仁左衛門』、どちらも松竹作品で五社英雄が
撮ったんだけれども、この二本だけは非常に不愉快な思いをしました。一言で言えば
監督がダメだから。血に狂った劇画のような、エロと血しぶきのバイオレンスをいまでも
新しいと思い込んでいるのだから、どうしようもない」