お藤「誰があんな汚い子、家に連れて行ってご飯なんか食べさせるものか…」
お藤って冷たい女だな、と観客は思う。しかし…
次のカット、お藤がチョビ安にやさしくご飯を食べさせている。
(お藤のセリフとは全く逆の展開に観客はなんとなくホットして、お藤に好意を持つ)

チョビ安「おばさん、竹馬買っておくれよ」
お藤「いけません、あんなもの、ケガします」
次のカット、お藤がチョビ安に竹馬を習わせている。
(これも、買ってやらないんだな、と観客に思わせながら、実は竹馬を買ってやったお藤に観客は好感を持ち嬉しくなる)

お藤「あんな子、だれか子どもの好きな人にやっちゃおうか」
左膳「だめだ、アイツは道場に行かせるんだ」
お藤「いいえ、あのこは寺子屋に行かせて習字を習わせます(キリッ)」
あんな子、誰かにやっちゃおうか、とチョビ安が嫌いなのか、と観客に一瞬思わせながら、実は愛情を持っていて(習字を習わせに行かせる)事を考えていたお藤に観客はホットする。

このシナリオは素晴らしいと思う。