>>131
>女が階段を上がる時

小津や溝口が終生格の高い作品を取り続けたのに対して、
成瀬は一歩間違えると、お昼のテレビのメロドラマに堕す。
女が階段を上がる時は、風俗メロドラマ。
成瀬にしか撮れない(だれにもまねできない)、格調の高い作品は「浮雲」

小津:「生まれては見たけれど」や戦前の喜八ものなどを見ると、いかに小津が才気煥発だったかわかる。山中以上。麦秋、小早川家の秋、早春、浮雲(カラー版もいいが、戦前の白黒の「浮雲」の方が叙情深い)もお薦め
溝口:「浪華悲歌」「祇園の姉妹」「残菊物語」も必見。「浪華悲歌」は小津「俺に撮れない写真」、飢餓海峡の構想を練っていた内田「結局、ミゾさんの浪華悲歌一本だな」と巨匠連がこぞって絶賛した作品。ただし現在は30分ぐらい映像が失われている。
黒澤:「酔いどれ天使(ミフネがやけにかっこいい)」「野良犬」「生きる」「羅生門」「隠し砦の三悪人」「蜘蛛の巣城」「生き物の記録」「椿三十郎」「悪い奴ほど良く眠る」も必見。後期の作品では「乱」ぐらい。
木下:実験的な遊びをやりすぎて映像を台無しにしているが「笛吹川」が意外な傑作。木下独特の毒のある「日本の悲劇」木下の才気ぶりを伺える喜劇「破れ太鼓」なども必見
今井:「米」この映画により裁判が覆った「真昼の暗黒」「夜の鼓」「仇討」「武士道残酷物語」
田坂:やはり「女中ッ子」が必見
市川:市川さんはあれやこれや撮っているから、ちょっと首をかしげるものもある。(もちろん、市川さんにしてわだが)。「おとうと」が最高。「股旅」もおもしろい。